キャンプ用マットのお話、第3弾。今回はクローズドセルマットについて。前回お伝えした「インフレータブルマットとの付き合い方」では、インフレータブルマットの特徴である〈寝心地のよさ〉や〈コンパクトな収納性〉を高く評価しましたが、クローズドセルマットはその点がマイナスポイントとなります。なのですが〈気軽に使える〉、〈パンクの心配も無用〉という点ではこちらに軍配が上がるのです。大きくてかさばるし、寝心地もそれなりだけど、バイクで行くキャンプだったらクローズドセルマットでもいいんじゃない? 筆者は最近そう考えるようになりました。

クローズドセルマットは手軽さで断トツ

キャンプ用マット

 筆者が使用しているクローズドセルマットは、「使える品質の高い製品をリーズナブルに」をテーマにキャンプ用品を製造販売しているブランド、モザンビークのもの(価格は4580円)。一流メーカーであるサーマレストの製品「Zライトソル」(6820円)よりも、3割以上も安い。かといって、AMAZONで販売している激安品と比べれば、約2倍の値段。いわゆるピンキリ、ですね。ということで価格帯の中心に位置しているモザンビーク製品をチョイス。雪山に行くわけじゃなし、バイクで行ける範囲で使うのだからと、こちらを購入。
 使用時のサイズは、長さ183x横幅56x厚さ2cmです。Zライトソルよりも横幅が5cm広いので、その分だけ寝返りが打ちやすい。

キャンプ用マット

 使用時は、ただ広げるだけ。インフレータブルマットやエアーマットと違い、ふくらます必要がありません。気温の高い季節にフーフーと息を吹き込むと汗だくになるものですが、そんな苦労はいりません。撤収時も、ただ畳むだけ。とにかく、ラク。この手軽さが得られるのなら、収納時に大きかろうとかまうもんか、という気にもなります。

携行時は、かさばってしまう

キャンプ用マット

 モザンビークは収納袋が付属。サーマレストのZライトソルは収納袋が別売りで、しかも1000円以上しますから、その点もお得。収納時のサイズは、高さ12×横幅56×奥行13cm。「横幅が56cmもあるのかあ…」という気持ちにもなりますが、「バイクのハンドル幅よりはずいぶん短い」と考えることにしましょうか。コンパクトで軽くて丈夫でパンクもせず寝心地最高で価格も安い、そんなマットはありませんから(2021年9月現在。将来は…?)。

へこみ部分に生じるデッドエアが◎

 保温性はどうでしょう。マットの素材自体の厚みは、約1cm。その素材の両面に凹凸をつけることで、ようやく約2cm。分厚くはないので、寒い季節は背中が冷えるのでは?

キャンプ用マット

 なんて想像をしていたのですが、意外なことに、けっこう暖かい。理由はおそらく、凹凸のへこみ部分にあります。
 シュラフに入って、そのままフラットな場所に横たわったとすると、背中の部分の中綿が体重で押しつぶされますよね? そうなると、背中は冷えやすくなります。
 ところが本製品の場合は、凹凸の凸の部分に当たったシュラフの中綿は押しつぶされるものの、凹、へこみ部分に接するシュラフの中綿は、完全には押しつぶされません。わずか5mm程度の隙間ではあるものの、この部分に生じたデッドエアが、シュラフの保温性を保ってくれるのでしょう。

キャンプ用マット

 さらに片面には、全面にアルミ加工が施されています。このアルミが地面からの冷えをシャットアウト。この効果も少なからずあります。ちなみにモザンビークでは、夏はアルミ面を下にして地面側に向け、冬は上にして体側に向けるよう推奨しています。

焚き火の横で座布団がわりにも

 インフレータブルマットやエアーマットと違い、クローズドセルマットはパンクをしませんから気楽に扱えます。使用方法もカンタン。テントを張り、中にマットを広げ、そこにシュラフを載せれば寝るための準備は終了。

キャンプ用マット

 全長183cmと長いので、写真のように一部を重ねれば、枕のようにもなります。その分、使用時の丈は詰まりますが、腰下までカバーできていれば夏場はOKでしょう。脚部の下にはライディングジャケットでも敷いておけば済みます。

キャンプ用マット

 畳めば座布団がわりにも。焚き火の横に置いて使うこともできる。インフレータブルマットやエアーマットだと、こうは使えません。マキがはじけて火の粉が飛び、穴をあけてしまうことがあるからです。

キャンプ用マット

 クローズドセルマットは、大きくてかさばることは確かですけれども、バイクで運べない大きさではありません。しかも軽い。モザンビークのこれは500g。Zライトソルなら410g。何よりのメリットは、手軽に使え、パンクの心配が無用ということ。このメリットはかなり大きいです。

【関連記事】
「キャンプツーリング」悩みの尽きない〈キャンプ用マット〉選び
「キャンプツーリング」インフレータブルマットとの付き合い方
「キャンプツーリング」どれもが納得の名作テント4選

 

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事