テント泊の際は基本、シュラフを使って眠るわけですが、シュラフだけでは背中が痛くなりますから、下にマットを敷いて横になります。そのマットには、いくつか種類があるということを以前、お伝えしました。
■記事はこちら→「キャンプツーリング」悩みの尽きない〈キャンプ用マット〉選び
もっとも安い銀マット、安くはないけど寝心地のいいインフレータブルマット、パンク知らずで気楽に使えるクローズドセルマット、パンクは怖いが一番コンパクトに収納できるエアーマット。今回はその中から、インフレータブルマットについてお話ししたいと思います。
一番のメリットは寝心地のよさ
インフレータブルマットは、クッション材を側生地で包んだもの。エアバルブを開けてマットを広げれば、中のクッション材が膨張します。ある程度まで膨張したら、足りない分の空気は自分で吹き込み、マットをふくらませて使います。インフレータブルマットの寝心地がいい理由は、クッション材と空気のダブル効果のおかげでしょう。空気だけでふくらますエアーマットや、クッション材の力だけが頼りの銀マットやクローズドセルマットよりも快適度が高い気がします。
なので、それほど厚みがなくても、筆者は気持ちよく眠れています(感じ方は人によって変わると思いますが)。写真のインフレータブルマットは、コールマンのツーリングマットという製品。厚さは2.5cmです(長さは183cm、幅は51cm)。厚ければ厚いほど寝心地は増しますが、その分だけ収納時のサイズが大きくなってしまうので、選ぶ際はその点を注意してください。
欠点として挙げられるのは、パンクのリスク。寝心地が一気に悪くなります。けれども中にクッション材が入っていますから、何もないよりはマシです。また、キャンプ中にパンクしたら半分に折って使う、という手もあります。厚みが2倍になりますからね。長さが180㎝あるマットなら、半分に折れば90㎝。身長が175cm程度までだったら、肩からお尻までをカバーできるでしょう。
パンクしてしまったら
パンクの程度にもよりますが、修理することも可能です。マットのどの部分から空気が漏れているのか。それを調べるには、水の中につけてみるのが手っ取り早い。
筆者のマットも空気が漏れるようになったので、自宅のお風呂でパンク箇所を探してみました。空気を吹き込んでエアバルブを閉め、水の中につけます。すると穴の開いた箇所から、泡が漏れ出します。おーっ、結構な勢いですね。
製品によっては、修理用の生地が付属していたりもします。コールマンのツーリングマットにも付属していました(左上の2枚)。これを適当な大きさにカットして貼ります。接着剤は、〈透明、プラスチックやポリプロピレン・ポリエチレンもOK、曲げ・衝撃に強い、水に強い、硬化後も弾力性があり、曲げや衝撃に強い……〉という弾性接着剤「ウルトラ多用途S・U プレミアムソフト」(ボンド)を使いました。
補修用のシートは、角を丸く切っておくといいです。さて、これでパンクは修理できたのか……。まだ空気が漏れるようだったら、再度お風呂で水につけて、追加の修理を試みましょう。
よりコンパクトなパッキングを望むなら
マットの長さは、自分の身長に合わせるべきなのでしょうか。マットの長さは、メーカーにもよりますが、120、150、165、180など、けっこういろいろ。身長が175cmだったら、マットは180cmぐらいがベスト?
これはキャンプ用マットのトップメーカー、サーマレストのインフレータブルマット(製品名はウルトラライト。廃番品)。筆者はもっとも短い120cmのタイプを愛用しています。もう20年ぐらい使っているので、中のクッション材は完全にヘタってしまいましたが、さすがは天下のサーマレスト。一度エアバルブの接着部分が劣化してポロリと取れてしまったものの、弾性接着剤で貼り直したら復活しました。それ以外、パンクは一度もありません。値段は高かったけれど、モノがいいと結局はお得ということですね。
で、120cmで足りるのか? という話ですが、足りるんです。写真のLEGO人形のように、頭の下にはマットを敷かず、着替えなどの入ったスタッフサックなどを枕代わりに使う。そしてマットは肩から腰の方向へ敷いてやる。身長176cmの筆者の場合、マットはヒザ下までカバーしてくれます(イメージ的には、写真のLEGO人形と同様)。夏だったら、これだけでも充分。春や秋など、足元が寒いようなら、脱いだライディングジャケットを足元に広げてマット代わりにします。
マットが120cmしかない、ということは、吹き込む空気も少なくて済みます。成人男子なら5~6回で完了するはず。吹き込む作業が多いとハアハアゼイゼイ、息が切れますよね? でも5~6回なら楽勝でしょう。
また、収納時もラク。収納時はエアバルブを開いて中の空気を抜きながら巻いていくのですが、長いものを巻くよりも作業が簡単で、スピーディに終わるのです。
だからこれだけコンパクトに
左がサーマレスト(長さ約120cm、幅51cm、厚さ2.5cm)。右がコールマン(長さ183cm、幅51cm、厚さ2.5cm)。幅と厚さは同じでも、長さが違うと収納時のサイズがだいぶ変わります。
長さの違いだけではありません。サーマレストのウルトラライトは、クッション材がかなり中抜きされているため、よりコンパクトに丸められるのです。
光に透かして見ると、細かく無数にくり抜かれていることが分かります。コールマンのも多少は中抜きされていますが、比べ物にならないほど。だから小さく丸められ、しかも製品自体が軽くなる。後継モデル(現行品)のサーマレスト・プロライトは、スモールサイズ〈長さ119、幅51、厚さ2.5cm〉で350gしかありません。お値段は11000円。長さ183cmのレギュラーサイズなら13200円。安くはないですが、筆者のウルトラライトのように長持ちするなら……、お買い得かも知れません。
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