自宅から日帰りで行ける範囲で、どこかに楽しそうな道はないかとGoogleマップを探っていたところ、埼玉県入間市に「茶どころ通り」という名称の道を発見。ストリートビューで確認したら、広大な茶畑をつらぬく道であることが判明。念押しのつもりで「茶どころ通り」でキーワード検索してみたら、入間市観光協会の公式サイトに「日本でも有数の約6㎞にわたる茶畑の一本道です~(中略)~ぜひ、狭山茶の主産地『入間市』で、茶畑の真ん中を走り抜け、広大な茶畑をお楽しみください!」との文言が。これは行かねば! ということで、猛暑日にも関わらずクロスカブで出かけてみました。
事前情報を公式サイトで
入間市観光協会の公式サイトに、おすすめの茶どころ通りコースと周辺のおすすめスポットを紹介する観光パンフレット的なPDFが上げられていたので、まずはそれをダウンロード。

圏央道・青梅ICのすぐ北の「今井馬場崎」交差点を東に進む道が、茶どころ通りであるとのこと。その他にもPDFには見どころが紹介されているので、プリントアウトして持参することに。あとは熱中症対策として冷たい飲み物も持たねば!
四方八方、茶畑だらけ!

現地に来てみて、びっくり。「今井馬場崎」交差点を過ぎてすぐのあたりはそれほどでもなかったものの、数百メートル進んでみたら、道を取り囲む四方八方が茶畑だらけ。
しかも交通量が少ないものだから、のんびりクルージングも楽しめます。この日は海の日、祝日だったにも関わらず!

綺麗な形で植えられているのは、狭山茶。狭山茶というぐらいだから、埼玉県狭山市が主な産地かと思いきや、ここ入間市が主産地なのだそうです。狭山丘陵で栽培されているから狭山茶、なんですね。ちなみに狭山丘陵とは埼玉県(所沢市、入間市)と東京都(東村山市、東大和市、武蔵村山市)にまたがっている丘陵地帯。『となりのトトロ』の舞台にもなっていると言われています。

茶畑の上空には、無数の防霜ファン。小さなプロペラが上空の空気を地表へ送り、作物を霜から守る装置。
狭山茶を栽培するこのあたりは、大規模な茶園としては国内最北限だそうで、霜対策は重要。しかし厳しい気候のもとで育ったからこそ狭山茶の茶葉は肉厚になり、濃厚でコクのある味わいになるのだとか。
狭山茶の茶摘み歌の一節に「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」というフレーズもあるそうです。静岡茶(静岡県)・宇治茶(京都府)・狭山茶(埼玉県)という、日本三大銘茶の産地と特徴を唄っているんですね。
茶畑の中の小高い展望所

「今井馬場崎」交差点から約5㎞進み、茶どころ通りも残すところ約1㎞というあたりで。小高い展望所を発見。入間茶業公園という名前の、小さな小さな公園でした。

立て看板に「21世紀に残したい・埼玉ふるさと自慢100選(埼玉新聞社主催)」とあります。それによると入間の茶畑は、名所・自然・史跡・文化財の各部門で第一位を獲得とのこと。

展望所にはベンチと見晴らし台が。

見晴らし台からは広大な茶畑を見渡すことができます。
涼しい時期なら、ここでのんびり休憩するのもいいでしょうね。ただしこの時期はダメ。炎天下、立ち止まっていると暑すぎる。水分補給をして、すぐに走り出さないと。
日本一の道標も
入間茶業公園から400mほど進むと、今度は左手に大きな道標が見えてきました。

この道標、高さが日本一の道標(4.1m)として昭和61年にギネスブックに記載されているんだとか。道標には「北狭山茶場碑入り道」と彫られています。
茶どころ通り、いろいろと立ち寄りスポットがあるものです。
しかし暑い。さすがにもう空調の効いた建物の中に避難しないと!
狭山茶料理のレストラン
日本一の道標から南に約2㎞行ったところに、入間市博物館があります。入間市観光協会の公式サイトには、そこが「全国でも珍しいお茶の博物館」として紹介されていました。
だったらその博物館で涼もう、涼みながら狭山茶のことを学ぼうということに。
で、熱風を浴びつつ行ってみると、博物館の敷地内に、狭山茶料理のレストラン「茶処 一煎(いっせん)」を発見。

博物館で狭山茶のことを学ぶのは後にして、まずは昼メシにします。冷房の効いたレストランで冷たいものを飲み、冷たいものを食べたい。なにより塩分補給もしたい。

ウェイトレスさんが運んできたグラスには、水ではなくて狭山茶が入っていました。無料で冷たい狭山茶が飲めるなんて、さすがです。そして、うまい! さっき眺めてきた茶畑を思い浮かべながら、ゴクゴクといただきます。

筆者が注文したのは、冷やしかき揚げそば(950円)。そばは、茶そば。
茶そばもかき揚げもおいしかったですが、なによりありがたかったのは、そばつゆの塩味。身体が塩分を欲しがっていたのですね。食事を終えた後、そばちょこに直接口をつけて、そのまま飲んでしまいました。塩分が身体に染み渡っていく感覚が確かにありました。
博物館で茶の世界を学ぶ

食事の後は、いよいよ博物館へ。入間市博物館は、観覧料おとな200円。空調が効いていて、火照った身体に気持ちいい空間。
1階は特別展示室や市民ギャラリー、2階では「入間の自然」「入間の歴史」「茶の世界」が学べます。

「入間の歴史」コーナーには、昭和中期の住宅内部を再現した展示物も。入間の団地の生活空間だそうですが、広さ3畳ほどの台所と、4畳半の茶の間には当時の家電や黒電話が置かれ、タイムスリップした気分に。

こちらは昭和初期の農家を再現したもの。薄いゴザの敷物、囲炉裏の上には鍋、仏壇に神棚、奥の台所は土間で、かまどや井戸もあります。エアコンも扇風機もなくて、涼むための道具はウチワのみ。でも今と違って、猛暑日なんて言葉もなかったんだしなあ。
最高気温が35℃以上の日を指す、猛暑日。この予報用語が使われ始めたのは2007年(平成19年)。40℃以上の日を指す酷暑日は、今年2026年から。
この先、どこまで暑くなるのやら。

そしていよいよ「茶の世界」コーナー。地元の狭山茶はもとより、日本や世界各地のお茶についても紹介。中国、チベット、イギリスなど世界各地のお茶について、茶葉や道具、飲む部屋の情景ジオラマなども展示。千利休が大阪城内に建てた茶室の実物大復元もあります。
しっかり学んでいるうちに、身体の火照りもだいぶ落ち着いてきました。
広大な茶畑を眺め、茶を飲み食べて、茶の世界を学ぶ。狭山茶をめぐる入間市のお散歩ツーリング、みなさんもぜひ!
