昭和の匂いが漂う、香ばしいスポットを巡る「昭和レトロ紀行」。今シリーズは、スーパーカブ110(JA44)で茨城県を北上中だ。第3回は、昔ながらのドライブイン。これまた心に残る店だった!

<前回までの記事はコチラ>
自衛隊推しの弁当自販機店で優雅な朝食を【昭和レトロ紀行 茨城編①】
「ヤンキーピラフ」でシャバ僧に気合注入、押忍!【昭和レトロ紀行 茨城編②】

やむなくスルーしようとしたら、間一髪でセーフ

茨城県ひたちなか市の「山茶郷」から、西へ。水戸市にある有名な偕楽園の脇を抜け、国道50号に合流。レッドバロン水戸を通過し、1時間弱で次の目的に着いた。
 
その名は「フジヤドライブイン」。

↑白と黄色の平たい建物とひなびた看板が目印。営業日、時間とも不明。■茨城県水戸市杉崎町1755

↑駐車場の一角に廃屋が。使われていたと思われる看板が置いてある。


まず駐車場も建物もかなりデカい。トラックなどの需要を見込んで、大きな駐車場としているのだろうが、とにかく広い。ただし、本日は1台もクルマがいない。

↑入口。店内は暗く、扉にカギがかかっていた。右側の看板には「ふじ家」とある(写真1枚目)。


入口に行ってみると、中が暗い。いかにも営業していなさそうだ。扉に手をかけると案の定、閉まっている。残念!
 
改めて建物を見てみる。黄色が鮮やかなので、ロードサイドからだと一見、新しめなのかな、と思ったのだが、近づいてみると相当な年季が入っている。なお、黄色×白のツートンの向こうにうっすらと「ホルモン道場」と書いてあり、元は飲食店だったのかもしれない。
 
縁がなかったと思い、スーパーカブにまたがって走り出した。すると1台のクルマがやってきて、こちらを見ている。やがて鍵を開け、中に入っていった。お店の人だ!?
しかし、なんというタイミング。恐らく3か月分の運をフジヤで使ってしまったに違いない(ここで使いたくないなー笑)。
 
再びバイクを停めて入店! 既にお店の人は見当たらない。これは開店しているということなんだろう。さっそく店内を物色してみた。

焼物とエロビデオと食器と家電がコラボ! こ、これは!?

正面奥に食堂、手前は茶碗などの販売スペースのようだ。ザッと販売スペースを回ってみた感想は・・・・・・「カオス」の一言(笑)。百聞は一見にしかず。まずは写真を見てほしい。 

↑店内に入ってすぐ右側に置かれているのが長靴とビーチサンダル、そしてパイプ椅子! 「丈夫な椅子です お買い得品 1000円」とあるが、これは高いのか安いのか・・・・・・?

 

↑靴の隣には木彫りのカモ、鳩(特価600円)。「市価の半額以下」とあるが、これは高いのか安いのか・・・・・・? それにしても手書きポップがいっぱいだ!

 

↑正面には笠間焼。近隣の茨城県笠間市周辺でつくられている名物の焼き物だ。「大特価」「在庫処分 窯元より3~5割安」とあり、100~1500円までよりどりみどり。しかし、これは高いのか安いのか・・・・・・?

↑さらに入口から向かって右手に進む。今度はじょうろ(300円)、「日本各地のせともの」が。特価と超特価がある。これは高いのか安(以下略)。

↑「タカラホーロー調理代」は9000円(台ではなく代)。同じく流し台は1万5000円。これはマジで安いのでは!?

↑その隣はエロビデオ1本200円! 昭和らしく当然VHSだ。昔はUFOキャッチャーだった? 焦ってガラスに突っ込むなよ!

↑またも椅子! 丸椅子もありまんにゃわ!

↑店舗の右奥はこんな感じ。バックヤードが丸見えだし、展示も力尽きたようだ・・・・・・!?


ここからは店舗右側の折り返し。入口の方に戻っていく。言い忘れたが、客は私一人。店内にBGMなどというものはなく、静まり返っている。

↑今度こそUFOキャッチャーかと思いきや、ぬいぐるみを「ダイレクト販売」! 「ゲームで取るより ず~と お得!」で大きなぬいぐるみも390円だゼ!

↑再び食器コーナー。今度は栃木名物の益子焼。益子で買えば650円以上のところを290円だ。これも高いのか安(以下略)。

まだ半分! 50年前の家電が新品未使用で買える 

ようやく中央に戻ってきた。続いて店舗左側を探索だ。

↑孫の手、子供向けおもちゃ、かごなど昭和風な物品が並ぶ。高くても500円。奥に見えるのが食堂だ。

↑大人のお○ちゃかと思ったら、健全な玩具でした。

↑高さ1mぐらいあるコロンビア製スピーカー。2本組で超特価9800円。何年製なんだ?

↑最もカオスな一角。だるま、貝のスタンド、マツケンサンバIIの音声ぬいぐるみ、千代の富士の置物が同居!

↑「 ナショナルまきまきカール 」。調べてみると、山下達郎が1975年にCMソングを歌っていた。50年近く前の新品未使用品! もちろん今は絶版で「ナショナル」のブランドもナツカシイ。

↑電気屋の名残り? のような物品も多い。


 
その他はみやげ物などのレトロな雑貨が大量に並んでいた。

ついに食堂へ、メニューは焼肉定食か生姜焼定食が選べる!

なんだろう、どっと疲れた(笑)。しかし食堂がまだだ。焼肉弁当とヤンキーピラフでもう胃袋の残量がゼロゆえに見学だけさせてもらおう。

↑「食堂 只今休業中 5月7日まで」。取材日は5月20日。やっているのか、やっていないのか、結局わからなかった。

↑広々とした食堂。おっとメニューを見て驚愕!

↑メニューは焼肉定食と生姜焼定食のみ! どちらも3枚850円、4枚950円。

 
 
肉が3枚、4枚と具体的。こんなの初めてだ笑。結構高いなと思ったが、ノンアルコールビール付きだと1000円? 「4枚」だったとしたら50円で飲めてしまう計算・・・マジっすか!?
 
なお、webで検索してみると、昔はそばやカレーがあった模様。外に放置してあった看板のメニューも提供していたのだろう。

食堂の奥(建物の向かって右奥)はゲーム機が置いてあるが、ほとんどが空きスペース。食堂よりこっちの方が広い。昔はもっと席数があり、ゲーム機も多かったのだろう。
 
せっかくなので、記念に何か一品選んで買うことにした。食堂のレジで声をかけると、奥から先ほどのおじいさんが出てきた。会計は食堂で行うようだ。
 
相当なご高齢と見受けられる。お会計の100円を手渡すと「ありがとうございます」とのご返答。
「何年ぐらい営業されているんですか」とお聞きすると「・・・・・・」。何回かお伺いしてもご返答がなかったので、耳が遠いのかもしれない。私は黙礼して店を出た。

↑ちなみに・・・・・・残念ながらトイレは利用できない。

マジか! 純金キーホルダーを100円で購入!

食器におもちゃ、古い家電、みやげ物etc・・・・・・。じっくり見ていくと相当な時間がかかりそう。探せばレアなお宝が眠っている・・・・・かもしれない。

それにしても、カオスな空間は物悲しくもあり、何だか悶々とする。昔は大勢のドライバーで栄えていたのかも、と思うとなおさらだ。
 
昭和レトロなスポットをまわっていると、閉店、廃業の瀬戸際で辛うじて踏み留まっている店によく出くわす。今回のフジヤドライブインは、もはやギリギリ踏み留まれていない気もするが、店を続けることが生活の糧を得るために必要だったり、生き甲斐だったりするのかもしれない。そして万引きとか大丈夫なんだろうかと勝手に心配してしまった。
なお、ご高齢の店主は、一説によると90歳超らしいが、本当なら驚異的だと思う。
 
・・・・・・最後に何を買ったかお見せしよう。

↑水戸黄門のキーホルダー!


 茨城と言えば水戸黄門デショ! 黄門様と助さん格さんのレリーフがたまらない上にキンキラキンだ。

↑しかも五円玉が標準装備! 年号は平成2年だった(もう少しで昭和なんだがなぁ!)。


価格は税込み100円。五円玉付きだから、実質95円だよね。さらに、さらにキーホルダーの後ろを見ると・・・・・・。

↑「24K」と書いてある!


 
ってことは24金。純金がたったの95円。偶然にもお宝をゲットしていたのだ。よっしゃぁー!
※24Kの下に「GP」と書いてある。つまり金メッキであることに気づくのは原稿を書いている現時点。チクショー(笑)。なんにせよ、いい思い出の品になった。

※次回SLに古い商店街、大正カフェ・・・・・・タイムスリップした町を探索せよ【昭和レトロ紀行 茨城編④】に続く!

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