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身体内部を縦横に走るハイウェイがある!?
自分の体の中に血管とも神経とも違う、目には見えないけれど生きていくために不可欠なエネルギーの流れる連絡網が張り巡らされている……。それが東洋医学において確たる概念として存在している「経絡」です。想像するだけで興奮してきませんか? 私は経絡のことを考えると、いつだってドキがムネムネと鼓動が強まります(病気か!?)。
体が不調なとき、原因の究明や改善にも役に立つ「経絡」について、さらにかみ砕いて説明をしてまいりましょう。これまでバイクのハーネスに見立てて紹介をしてきましたけれど、日本列島を縦横無尽に走る高速道路網のほうが全体像をイメージしやすいかもしれません。
経絡が高速道路ならツボはインターチェンジ!?
改めて定説を述べますと「経絡」とは、気(≒生物エネルギー)と血(≒血液。けつと読む)の通り道。身体を縦に走る道が「経脈(けいみゃく)」で、そこから枝のように横へ伸びるものが「絡脈(らくみゃく)」です。ふたつを合わせて「経絡」とは、できすぎですね(笑)。
日本の高速道路に例えるならば、東北道、常磐道、北陸道が経脈で、磐越道、山形道が絡脈といったところ。それらの上に設定されているインターチェンジが、「気」の出入り口でもある経穴……ツボのようだと考えると理解も深まるのではないでしょうか。
縦横無尽に走る高速道路の全線を通じて渋滞がなければ、バイクで走っても爽快なことこの上なし! 同じように身体の経絡を気血がスイスイ流れていたなら、まさしく【健康】だということ。逆に【不健康】な状態とは……お察しのとおり、盆と正月のハイウェイよろしく、あちらこちらで大渋滞が発生しているシチュエーションです。そりゃあイライラもしますし疲労度も二次曲線的にMAXへ!
ポイントに刺激を与えて全体の流れを良くする
そんな【滞り】を鍼やお灸、マッサージやあん摩などで取り除いていくのが東洋医学の真骨頂。ツボを刺激すると、渋滞の原因となっているインターチェンジの出口ゲートが一斉に開放されるような効果を得られるというわけです。大きな【滞り】が解消すると周辺の流れもスーッとよくなる。まさに道ですね。
胃ルート、肺ルート、大腸ルート、腎ルート……
さて、日本の代表的な高速道路は、その道が通る地方の名前がそのまま付けられていることも多いのですが、人体を縦に流れる12本の経脈には、それぞれに対応する臓腑の名称が据えられています。
……久々の超ロングツーリングを終えて無事帰宅し、待ちに待った風呂上がりの一杯をあおったとき、思わず口から「くぅ~っ、五臓六腑(ごぞうろっぷ)に染みわたるねえ~ッ!」と出てくるもの(として話を進めます。ナウなヤングは分からないかな……!?)。この五臓六腑、詳細は知らなくとも、何となく体内にある内臓全体を指している言葉だと認識している人は多いはず(として話を進めます)。
実はこちらも東洋医学のルーツとなった中国伝統医学が由来でして、具体的に申しますと五臓は肝・心・脾・肺・腎で、六腑が胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦(さんしょう)です。こちらの五臓に心包(しんぽう)という「心臓を包む外膜」を加えた六臓六腑、合計12臓腑それぞれの名前が経脈には付けられているのです。
前回でも触れた「手の陽明大腸経」のようなものが他に11本ある、ということ。手から始まったり、足先からスタートしたり、目の横や胸が起点となっている経脈もあります。それぞれの脈(道)の上に経穴(インターチェンジ)がうまい具合に配されつつ終点へと向かい、流れてきた気(車両)はすぐ近くにある別の脈へと向かい、その起点から再び流入して進んでいく……。
その体中に張り巡らされている合計12本のルートを気は順繰りに約15分ほどで巡っているという話を聞き、私は「へぇぇ! 思ったより速いなぁ。ハヤブサ並か!?」と思ったものです。
内臓の調子がよくないぞう……そんなときは脾経のツボを
全身を高速で流れてしかるべき気血が滞りやすい部分があります。それは足の内くるぶしからスネの骨(脛骨)の内側を上っていくライン。ほぼ100%の人がそこを押すと激痛を感じるはず。ここは「足の太陰脾経」という絡脈の通り道なのです。下で紹介している「三陰交(さんいんこう)」をはじめ、効果絶大なツボがあるところで、痛みのあるところを揉みほぐしたりお灸をしたりすると内臓全体がポカポカして元気になっていきますので、是非チェックしてみてください!
> 120歳まで乗り続けるために〈第8話〉 ライダーのための「経絡入門」
> 120歳まで乗り続けるために〈第10話〉 ライダーのための「病気について」
> 120歳まで乗り続けるために〈第11話〉 ライダーのための「不定愁訴について」