過去を知ることはバイク、いやどんな世界でも面白い

何事においてもルーツを調べてみると知的興奮が味わえます。例えば今、自分が乗っていたり興味のあるバイクの原点について書籍やネットをひもといてみるのは、とても面白いこと。

筆者はスズキGSF1200Sを長年所有しており、そのエンジンのベースは油冷時代のGSX-R1100なのですが、まるで別物です。興味が湧いたので調べてみると、「GSF用にリファインするとき、排気量は増しているのに最高出力は大幅にダウンしている。その分、低速域から極太トルクが発生するよう、カムシャフトプロファイルも別物になっているのか……。ん? 実用回転域の力強さを重視する点は、その後の水冷GSX-Rシリーズや2021年に新型化されたハヤブサでも同じだなぁ」とスズキ開発陣が大切にしている【こだわり】まで確認をすることができ、愛車だけでなくメーカーへの愛着まで一層深まりました(以下は私が以前「モーサイ」に寄稿したもの。もしよろしければご一読ください)。

【油冷エンジンの名車たち】GSF1200/GSF1200Sはスズキ伝家の宝刀を投入した強烈ウイリーマシン

 

おまじないと同レベルから効果的な医療へ

では、本題を始めましょう(笑)。

東洋医学のルーツは古代の中国で生み出された医学理論と技術、いわゆる中国古代医学にあります。

いい機会なのでさらに遡ってみますと、まだ恐竜が地球上をのし歩いていた約6500万年前に霊長類が出現しました(以降も現時点での定説)。そして約700万年前に初期の人類が誕生して、170~20万年前に有名な北京原人がユーラシア大陸で勢力を拡大。

北京原人のイメージイラスト

●石器を持つ原人(北京原人・ジャワ原人)イメージ。180万〜170万年くらい前にアウストラロピテクスから進化したとされています

 

まだ言語も獲得していなかった当時の人類は、病気や治療という概念もなく、本能のままに傷口や痛い箇所をなめたり、押さえたり、さすったりしていたと考えられています。

5万~7万年前に言葉を話せるようになってからは、悪い霊が人へ取り憑くことで病気になるという概念が世へ広まり、治療とはそれを祓うことと同義に。祈祷や呪符、祭祀などの呪術的行為を行う人を【巫(ふ)】または【巫医】と呼び、ある種、宗教的医療の側面を持っていました。これが東洋医学の原型とのことです。

人類、試行錯誤の集大成が本にまとまる

東洋医学の原型……その具体的な内容は、考古学的に実在が確認されている中国最古の王朝『殷(いん)』時代のものとされる竜骨(実際は牛の肩甲骨&亀の甲)に甲骨文字で刻まれた占いの内容などに見ることができたそうです。それが今から3000年以上前のお話。以降も言語や文化の発達に伴って個々の疾患が分類しつつ、各症状に対処するための治療方法なども生活の中で試行錯誤がなされていきました。

たまたま、体の特定部位を尖ったもので刺激したり、たき火の燃え残りで温めたりしたら、離れた部分の凝りや痛みまで改善した。たまたま、とある草を煎じて飲んでみるとお腹の不調が治った。たまたま、呼吸を整えながら軽い運動をしてみると元気になった……。

漢方薬の材料。生薬が並ぶ写真

●「医食同源」という言葉も広く知られているところ。我々が普段から口にするものの中には薬効あらたかなものも多いのです

 

そんな広大な中国大陸を舞台にした莫大な人数による壮大な人体実験(?)の結果を集大成した東洋医学のルーツたる歴史的書物が、殷から下ること約1000年、『漢』の時代に編纂されて世に出ます。それが【黄帝内経(こうていだいけい)】という中国最古の医学書です。

気の思想(陰陽学説、五行学説)、鍼灸、漢方、気功、導引……、令和の時代に我々が学んでいる内容の真髄が約2000年前には完成の域へ達しており、今なお研究が進められているという事実に、少なくとも筆者は深い感銘を受けました。

数千年、いやその背景も考えると実に数万年という単位で星の数ほどの人間により試され、蓄積されてきたノウハウというのはいかばかりか。それを全18巻に分かりやすくまとめ上げたという点にも、元雑誌編集者としては驚くしかありません。

体をオーバーレブさせないように……!

かくいう2000年前の医学書、黄帝内経にも【食養生】についての記載があります

中のひとつを抜粋すると、「過食をしすぎれば胄腸が損傷され、血膿を下したり痔となったりする。飲酒をしすぎると気が上りっぱなしになり、体力の限度を超えれば腎気(生命が持つ根源の力)が弱くなり骨までもろくなってしまう(大意)」……。

暴飲暴食が体を傷つけることは数万年前から不変の真理なのですね。現在を生きるホモ・サピエンスであるライダー諸兄姉よ。末永くバイクライフを楽しむためにも、過去からの警鐘に耳を傾けましょう!

チョコレートを食べる桜井つぐみ

●アルコール、糖、脂肪……。取り過ぎると体に悪いとされているものは得てして非常に美味。難しいことは分かっていますが少しでも節制を!

 

 

【関連記事】
> 120歳まで乗り続けるために〈第2話〉 ライダーのための「ツボの重要性」

> 120歳まで乗り続けるために〈第4話〉 ライダーのための「天人合一思想」

> 120歳まで乗り続けるために〈第5話〉 ライダーのための「陰陽学説」

 

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事