バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回は車体構造のモノショックの 中でも『リンク式サスペンション』にクローズアップ!
そもそも『リンク式サスペンション』とは?
リンクを訳せば、“接続”という至極単純な意味になってしまうが、リヤショックにおける“リンク”は、スイングアームとリヤショックを接続する以上に重要な仕事を担っている。ちなみにこの 『リンク式サスペンション』、車両メーカーによって呼び名が違い、
ホンダではプロリンク、ヤマハではリンク式モノクロスサスペンション、カワサキではユニトラックサスペンション。
呼び方が違ったりするが、これらはまるごとひっくるめて 『リンク式サスペンション』。スイングアームとモノショックの間にリンクと呼ばれるパーツがあるのが 『リンク式サスペンション』の大前提と思っていれば間違いない。
『リンク式サスペンション』のここがスゴイ!
プログレッシブ効果が使える!
…なんていきなり難しい言葉を使ってしまったが、ちゃ〜んと説明しますのでご安心を(笑)。ラジアルポンンプマスターシリンダーのところでもちょっと説明したけど、ブレーキレバーのようにテコの原理で何かに動きを伝える場合には、円運動を直線運動に変換するためどうしても、握り幅に対してストローク量の変化が生まれてしまう。そのストローク量の変化によるブレーキ効力の変化を嫌って作られたのがラジアルポンプマスターシリンダーだった。
『リンク式サスペンション』の考え方は、ラジアルポンプマスターシリンダーとは全く逆となる。スイングアームが押されるときにリンクを介すことでリヤショックのストローク具合を意図的に変化させ、それによってリヤショックの特性を変化させている。これがいわゆるプログレッシブとか、ライジングレートと呼ばれる効果だ。
CRF450LとCRF450Rの、リヤショックの効力を視覚化したグラフを見ると、多少の違いはあるが両方ともストロークが大きくなるとともに、反力が二次曲線的に強まっているのがわかる。これこそがプログレッシブ効果であり、ライジングレート効果である。
つまりストロークの動きだしの部分は最初は反力が低くてサスペンションが良く動くが、大きな凹凸などで大きなストロークになると、自然と反発する力が強まって奥の方でしっかり踏ん張るというわけ。
この特性のおかげで、低速域や凹凸の少ない路面では良く動く乗り心地の良いサスペンションでありながら、強い力が加わってサスペンションが大きく沈み込んだ時には強い力で反発するから、ストロークを使い切ることが少なく、底突きしにくいというわけである。
サスペンションのストロークは有限だ。この短いストローク量のなかで、大きな力がかかっても底突きせず、しかも、低速域ではソフトで乗り心地のいいサスペンションを作りたいなら、このリンクが必要不可欠というわけである。
ほぼ同じ車体&エンジンで、リンクかそうでないかの車両を乗り比べたことがあるが、そのサスペンションの動きの違いに非常にびっくりさせられた。試乗したモデルは、エンデューロモデルでリンクレスのKTMの150EXC TPIと、リンク付きのハスクバーナのTE150i。詳しくはそのときの動画を観て欲しいが、リンクサスとリンクレスサスの解説は7分06秒あたりからしている。
リンク付きのハスクバーナのTE150iの方が初期の動きが柔らかく、奥に行くほど踏ん張りが強くなるようなフィーリング。一方のKTMの150EXC TPIは、サスペンションの動きが初期から奥までフラットで総じてちょっと硬めな印象。
乗り味の違いとしては、ハスクバーナのTE150iはガレ場などが凹凸が激しかったり、ウッズセクションのような難路面で乗りやすい。KTMの150EXC TPIは、初期の沈み込みが少ないので、スロットルワーク一つでフロントをポンと持ち上げられるようなイメージである。リンクひとつでここまでサスペンションの特性が変わるのかと驚いたものだ。
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