「スポーティに走りたい」という願望は、ビギナーから次のステップに進もうとするライダーの誰もが抱くもの。そんなアナタにピッタリなのが「那須MSLライディングカレッジ」だ。スポーツライディングを主眼とする講座だけに、果たして本当に効果があるのか? タイムを計測して効果を実証するというのが本企画。今回は具体的な講習に入る前の導入編だ!前回記事はこちら

峠道で付いていけず、悔しい気持ちになった人はいますか?

「基本的な走りは問題ないはず」と自分では思っていても、差が出てしまうのがワインディングの走り。仲間とツーリングに行き、峠道に入った途端、置いてけぼりになった経験はないだろうか?

筆者もマスツーリングに行った際、同じような目に何度遭ったことか……。ましてや筆者は撮影でレーシングライダーと峠道に行く機会も多く、その歴然たる差は……もう涙目だ(笑)。
別にレーシングライダーと互角に走れなくてもいいけど、長年バイクを趣味にしているだけにもう少し速く走りたいと常々思っている……。

まさにそんな人に最適な講座が今回紹介する「那須MSLライディングカレッジ」。ワインディングで私と同じような目に遭い、「悔しい」と思ったことがある人はぜひ当記事を読んでほしい。上達のためのカギが隠されているハズだ。

↑会場は那須モータースポーツランド。レッドバロンが運営する2輪専用サーキットで、山道のブランドコーナーのような区間もあり、ワインディングに近いレイアウトが特徴だ。

サーキット向けではなく、あくまで公道でのスポーティさを重視

というワケで前回までの「那須MSLライディングスクール」(以下、スクール)に続いて、「那須MSLライディングカレッジ」(以下、カレッジ)に参加してきた。

前者のライディングスクールは2007年から開催され、これまで紹介してきたように安全運転が主な目的。数多くのライダーをスキルアップさせ、リピーターが続出するほど好評だ。

長年にわたってスクールを開催するうち、参加者から「よりスポーティに走れるようになりたい」との要望が高まったことから、2021年4月よりカレッジがスタートすることになった。

両者の違いは、下図を見れば一目瞭然だ。

↑那須MSLライディングスクールは、街中の安全運転がテーマ。カレッジは安全運転を重視しながら、スポーツライディングに最も軸足を置く。さらにサーキット走行に役立つスキルも若干学べる。


スクールとカレッジの最大の違いは、速度域。スクールより速度レンジが若干高い。スクールと重なる内容があり、8の字やスラロームなどのパイロンレッスン、コース走行を行うが、より速度域が高められている。

とはいえ、スクールと同様に安全運転も重視しており、ステージとしてはワインディングなどの一般公道を想定。ハングオフやヒザすりといったサーキット走行向けの技術は練習しないが、サーキットに役立つ技術も学べるのが特徴だ。

参加条件は、スクールより若干厳しい。スクールは126cc以上なら車種を問わないが、カレッジでは一般公道走行可能なロードスポーツ(126cc以上のマニュアル車 DCTは可)が条件。料金はレッドバロン会員9000円、一般1万円。(税、見舞金制度込み)だ。

服装もより防護性能が求められる。スクールではプロテクターなしでも参加できるが、カレッジでは背中・肘・膝にプロテクターかパッドが必要。プロテクターはレンタルもできる(1000円~、先着順)。参加人数は先着順で定員30名だ。

↑ヘルメットはジェットタイプでもOKだが、「フルフェイスが望ましい」とのこと。革ツナギは不要だが、筆者はツナギで参加した。詳細は那須MSLのサイトで確認を。

受講前にまずは素の状態でタイムを計ってみた

ここまで読んで「本当に速くなれるの?」と疑問に思った人もいることだろう。そこで筆者が身をもってカレッジ体験前と体験後のタイムを計測し、「効果を実証してみる」というのがもう一つのテーマである。

この企画をForRの担当者(中の人)から提案された時、「エグいこと考えるなぁ」と思った(笑)。もしタイムが上がらなかったら、カレッジの評判に関わるだけに責任重大だ。でも、面白いと思ったのも正直なところ。タイムが遅くなってしまった時はまぁ仕方ない(笑)と開き直ってトライしてみたのだ(過去の記事でことあるごとに「匂わせ」していた“企画”とはまさにコレです)。

というワケで、カレッジの内容に触れる前に、カレッジ開催の1ヶ月前に行ったタイム計測の模様からお伝えしよう。

ちなみに筆者は、仕事でサーキットに行く機会は多いものの、実際にサーキットを本気で走行した経験は数えるほどしかないツーリングライダー。さすがに知識があるとはいえ、普段からサーキット通いしているライダーではない。しかもタイム計測したのは、前回まで紹介してきた那須MSLライディングスクールの受講前。「目線」「下半身ホールド」「大きく入って小さく回る」といった基本も忘れている。

幸いにも、測定を開始する前に那須MSLの竹内支配人から理想的なライン取り(通称「竹内ライン」)をレクチャーしてもらえた。マシンはレンタルしたトライアンフ・ストリートトリプル(675cc3気筒 2017年型)。ライセンス取得後のスポーツ走行枠で計測した。

↑写真右が竹内支配人。ラップタイマーをレンタルして装着した(1日500円)。磁気タイプのラップタイマーも使用可能だ。


コースは全周1.2km。8周して一度ピットに戻り、計15周走行した。那須MSLは何度も走っているが、いずれも先導付きで、単独での走行は初。車両はレンタルながら、ムチャのない範囲でもちろん全力走行した。走り終えると10月初旬だったが、汗だくになっていた。

↑とにかく自己流で全開走行!

 

↑腰をイン側にズラしているが、こうして見るとほとんど動いていない(笑)。

 

↑走りまくる! 写真では凄く速そうに見えるが・・・・・・。

 

……結果、ベストタイムは1分00秒59だった。ビギナーの平均タイムは1分程度。遅すぎるわけではないものの、決して速くもない、まさに理想的なビギナーのタイムだ(?)。

なお竹内支配人によると、1分から5秒ごとにカベがあり、50秒を切ると「速い人」と言えるらしい。ちなみに最速タイムは、後に登場する「那須のロッシ」が叩き出した42秒フラットとか……(ヒエーッ)。

↑序盤は1分2秒程。徐々にタイムが縮まり、1分00秒59がベストラップだった。

1分ジャストからタイムを削れるのか、はたまた・・・・・・?

自分としては、全体的なスピードとバンク角が抑えめだったと自覚しているものの、想像していた以上に遅いタイムだった(笑)。しかし、ラインをレクチャーしてもらわなければ、もっと遅かったハズ。とはいえ、理想のラインを描けるわけもなく、特に1コーナーからのブレーキング→進入、2~4コーナーのS字はハチャメチャだった……。また、どのギアを選択すればいいのかサッパリわからず、ギクシャクしていた。
まだまだ改善の余地がある、とは思う。

――果たして、カレッジ受講後にタイムが短縮できるのか……!? 次回から講座の詳細を解説し、その最後に再び計測してみたい。では、乞うご期待!

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