一つのスペックに着目して、現行モデルのナンバー1を決める「世界最強グランプリ」。「馬力」後編は、さらにジャンル別のランキングをお届けしよう。

※ランキングは、国内で購入できる現行ラインナップから選出(2021年9月現在)。

アドベンチャーもイタリアの跳ね馬がトップに!

長旅に適したカウルやロングストロークサスによる走破性が自慢のアドベンチャー。オンロードの高速ツーリングが得意なモデルは高出力で、トップ5には150psオーバーが揃った。
中でも1位のドゥカティ・ムルティストラーダV4Sシリーズは170psをマーク。パニガーレV4で培った技術を注入した1158cc90度水冷V4が圧倒的なパワーを生み出す。
2位はBMW・S1000RR譲りの直4を積むS1000XR。ムルティに迫る167psだ。
以下、KTMのトップモデル、Lツインを積むムルティの旧型がランクイン。5位にはハーレー初のアドベンチャーとなるパンアメリカが入った。

アドベンチャーの馬力ランキング ps
1 ムルティストラーダV4Sシリーズ [DUCATI] 170
2 S1000XR [BMW] 167
3 1290スーパーアドベンチャーR/S [KTM] 160
4 ムルティストラーダ1260エンデューロ [DUCATI] 158
5 パンアメリカ1250/スペシャル [HARLEY-DAVIDSON] 152
6 タイガー1200シリーズ [TRIUMPH] 141
7 R1250GSシリーズ [BMW] 136
8 トレーサー9GT [YAMAHA] 120
8 ヴェルシス1000SE [KAWASAKI] 120
10 ツーリスモベローチェシリーズ [MV-AGUSTA] 110

 

↑ムルティストラーダV4はデスモドロミックではなく、スプリング式のバルブ駆動で170psを達成。世界初のバイク用レーダーも搭載する。

スクーターは650ccの海外モデルが1位

続いてはスクーター部門のランキングだ。小は50ccから大は650ccまで排気量は様々。上位に進出したのはいずれも300ccオーバーだった。
栄えある1位は、BMW・C650スポーツ/GTの60psだ。70度前傾シリンダーを持つ270度クランク水冷パラツインは、ショートストローク設計(ボア79.0×ストローク66.0mm)で、ライバルを上回るパワーを発生。エンジン+CVTはフレームマウントされ、チェーンで後輪を駆動させる。647ccながら、745ccのX-ADVを2ps上回った。

スクーターの馬力ランキング ps
1 C650スポーツ/GT [BMW] 60
2 X-ADV [HONDA] 58
3 AK550 [KYMCO] 53.5
4 TMAX560 [YAMAHA] 48
5 マクシスTL [SYM] 40.2
6 C400X/GT [BMW] 34
7 バーグマン400 [SUZUKI] 31
8 トリシティ300 [YAMAHA] 29
9 GTSスーパテック300 [VESPA] 23.8
10 フォルツァ [HONDA] 23
10 XMAX [YAMAHA] 23

 

↑C650スポーツ/GTは、BMW初のマキシスクーター。打倒TMAXを目指して'12年型で登場し、'16年型で一段と進化した。

600cc台は3気筒イタリアンが王座!

ここからは排気量帯のランキングを見ていこう。
まずはミドルクラスの600cc台。900cc台はリッターSSが上位を独占しており、700~800ccのアッパーミドル勢は排気量がバラバラすぎるので、600cc台のランキングとしてみた。
その結果、Ninja ZX-6Rを抑えて、MVアグスタ・F3 675が128psで1位に。並列3気筒は675ccとやや高めの排気量。これに超高回転型のショートストローク設定(ボア79.5×ストローク45.9mm)でクラス最高のパワーを絞り出している。
2位のZX-6Rは636cc水冷直4を搭載し、F3と遜色ない125psを発生する。3位は'20年に復活したCBR600RR。4位に新設計パラツインを積む'21新作のRS660、5位にその兄弟車のトゥオーノ660が入った。

600cc台の馬力ランキング ps
1 F3 675 [MV-AGUSTA] 128
2 Ninja ZX-6R [KAWASAKI] 125
3 CBR600RR [HONDA] 121
4 RS660 [APRILIA] 101
5 トゥオーノ660 [APRILIA] 96
6 CBR650R/CB650R [HONDA] 95
7 ストリートトリプルS [TRIUMPH] 95.2
8 SV650/X [SUZUKI] 76.1
9 MT-07/XSR700 [YAMAHA] 73
10 テネレ700 [YAMAHA] 72

 

F3_675

↑F3 675はモトGPマシンと同様の逆回転クランクシャフトや、ミドルクラス初のフル電子制御スロットルを採用。2010年の登場以来、熟成を重ね、現行型はユーロ4に対応する。リッター換算では約190psだ。

400はベストセラーのアイツがダントツ

一昔前と比べてラインナップの減った400ccだが、近頃は少しずつ増加中。ナンバー1はクラス唯一の4気筒車、ホンダ・CB400シリーズの56psだった。'92年の初代登場から30年のロングセラー車で、度重なる排ガス規制を乗り越えてきた名車だ。
2位は、並列ツインを積むカワサキ・Ninja400の48ps。'18年のフルチェンジでパワーアップを果たし、販売台数が3年連続でクラス1位を記録している。
3位は兄弟車のCBR400R、400Xがランクイン。パラツインは共通ながら、フルカウルスポーツ、アドベンチャーとスタイルは全く異なる。
'07年7月に自主規制が廃止され、400ccクラスは上限59psの縛りから解放されたが、排ガス規制や4気筒モデルの減少により、CB400シリーズの56psが最高となる。

400ccクラスの馬力ランキング ps
1 CB400シリーズ [HONDA] 56
2 Ninja400/Z400 [KAWASAKI] 48
3 CBR400R/400X [HONDA] 46
4 スバルトピーレン401/ビットピーレン401[HUSQVARNA] 44
5 390デューク/390アドベンチャー [KTM] 43.5
6 YZF-R3/MT3 [YAMAHA] 42
7 スクランブラーシックスティツー [DUCATI] 40
8 G310R/R310GS [BMW] 34
9 SR400 [YAMAHA] 24

 

↑CB400スーパーフォア/スーパーボルドールは、エンジン、シャーシとも熟成の極み。スロットル開度などに応じて6000回転を境にバルブ数を2また4に切り替えるハイパーVテックREVOが特徴だ。

話題沸騰の新顔が250クラスを制覇

フルカウルスポーツが人気の250クラス。'10年代は2気筒のNinja250を筆頭に30ps台でシノギを削っていたが、近頃はハイパワー化が進んでいる。
1位は、クラス唯一の4気筒を搭載するカワサキ・Ninja ZX-25Rの45ps。往年のZXR250よりショートストローク(ボア50.0×ストローク31.8mm)とし、パワーを追求した。さらに、またもクラス唯一のラムエアまで採用され、最高速付近で数ps上乗せされる。
2位は、ツイン勢トップのホンダ・CBR250RR。'21年型で新形状ピストンなどを採用し、従来より3ps増の41psに到達した。
3位は'18年型で全面刷新し、パワー増を果たした並列2気筒のNinja250。4位にライバルのヤマハ・YZF-R25が入った。5位はNinja250譲りの心臓を積むアドベンチャー、ヴェルシス250Xツアラーだ。

250ccクラスの馬力ランキング ps
1 NinjaZX-25R/SE [KAWASAKI] 45
2 CBR250RR [HONDA] 41
3 Ninja250/Z250 [KAWASAKI] 37
4 YZF-R25/MT25 [YAMAHA] 35
5 ヴェルシス250Xツアラー [KAWASAKI] 33
6 スバルトピーレン250 [HUSQVARNA] 31
7 TNT249S [BENELLI] 30
8 250デューク/250アドベンチャー [KTM] 29.9
9 CB250R [HONDA] 27
10 ジクサーSF250/ジクサー250 [SUZUKI] 26
10 レブル250 [HONDA] 26

↑ZX-25Rは、10数年ぶりに復活したニーゴー4気筒を搭載。電制スロットルやパワーモード、トラコンなどの電子制御も満載し、'20年の話題をさらった1台だ。

 

前編の総合部門、ネイキッド部門を見逃した方はコチラまで。


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