バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉なんだけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそも何がどう凄いの? なんでいいの? そのメリットは!?」なんて今更聞けないし…。そんなキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回はエンジンの冷却方式を表す用語の『水冷』をピックアップ。

Water-cooled engine

エンジンの中を冷却水が循環することでエンジンを冷やしている水冷エンジン。イラストはBMWのF800系エンジンの水冷システム。イラスト右上側の板状の物体が水冷エンジンのシンボルパーツ、ラジエターだ。

そもそも『水冷エンジン』とは?

バイクのエンジンはガソリンと空気を混ぜた混合気を燃やしてその膨張力を動力として利用している。スロットルを開けると混合気の供給量が増えて、それに応じてエンジンの回転数が上昇。その分バイクの速度が上がる。ただこの混合気が燃える際には当然ながら熱が発生する。この熱を冷却水を使って冷ましているのがいわゆる水冷エンジンだ。

Water-cooled engine

エンジンのウォーターポンプから圧送された冷却水は、熱源となるシリンダー周囲を冷やす。そこで熱くなった水はラジエターへと送られ走行風で冷却され再びウォーターポンプに戻る。


どうやって冷ましているかというと、水冷エンジンには、燃焼が起こるシリンダーや燃焼室の周囲にウォータージャケットと呼ばれる水路が設けられている。このウォータージャケットにポンプで冷却水を循環させることでエンジンの熱を冷却水に移すことでシリンダー付近の熱を下げている。100℃近くに熱せられた冷却水はラジエターと呼ばれる冷却装置へ運ばれ、ここで走行風を受けることで放熱。再びエンジンを冷却しに戻るというサイクルを繰り返している。

Water-cooled engine

ヤマハ・WR250Rエンジンのカットモデル。ピストンまわりのエンジンの壁の中に冷却水が通る水路が確認できる。これがウォータージャケットで、エンジンオイル点検窓の上あたりに見える黒いパーツが冷却水を循環させているウォーターポンプ。

 

Water-cooled engine

水路はゴムパッキンやガスケットで密閉。エンジンの動力でウォーターポンプを回して冷却水を圧送循環しても水が漏れないようになっている。

 

一方の空冷エンジンをみてみるとピストン周りの壁にウォータージャケットがなく、壁も薄く作られており、空冷フィンと呼ばれる大きな“ヒダ”があるのが特徴。この空冷フィンでエンジンの表面積を増やし走行風が当たることで冷却しているのが、いわゆる空冷エンジンだ。写真はスズキのジクサー150のエンジン。

 

『水冷エンジン』のなにがスゴイの!?

「空冷エンジンとは違い、水で冷やさなければならないほどハイパワー」

水冷エンジンはなぜすごいのか? 一言で表せばそういうことになる。もう少し言葉を足すなら、「旧式の空冷では冷却が間に合わずオーバーヒートしてしまうため、このエンジンにはより冷却力の高い水冷を採用。それほどハイパワーなのが水冷エンジン」ってことになる。エンジンの歴史は高回転化、高出力化、高効率化の歴史だ。進化の途中で空冷エンジンでは冷やしきれなくなったところに登場したより高性能なエンジンが水冷エンジンということなのだ。

なので、同一排気量で同一のエンジン形式なら空冷エンジンより、水冷エンジンの方がハイパワーというわけ。例えば空冷のセロー250が20馬力なのに対して、水冷のWR250Rは31馬力と最高出力に大きな差が生まれている。

Water-cooled engine

空冷エンジンのセロー250は、20馬力を7500回転で発揮。

 

Water-cooled engine

水冷エンジンのWR250Rは、31馬力を10000回転で発揮。

結論:水冷≒ハイパワーってこと

概ね水冷エンジンは空冷エンジンよりもハイパワーだと思って間違いないのだが、ただちょっと最近は、水冷=ハイパワーという図式が完全には成り立たなくなりつつある。というのも水冷エンジンには高出力化への対応はもちろんだが、シリンダー付近の温度管理がしやすく環境性能に優れるという特性があるからだ。このため、それほど高出力化の必要がなくても環境性能を求めて水冷化する場合が増えてきている。一方の空冷エンジンは、水冷エンジンよりもシリンダーやピストンが高温化するために金属部分の熱膨張による変化が大きく、シリンダーとピストンの間に隙間が生まれやすい。水冷エンジンよりも密閉が保ちにくく、オイルが燃えやすいから排ガスのクリーン化がしにくい。また騒音対策の観点からも、シリンダー内部に水を層がある水冷エンジンは空冷エンジンよりも静粛性が高い。

なので最近は、年々厳しくなる排出ガス規制や騒音規制に対応するため、空冷エンジンではなく水冷エンジンを使う場合が増えている。ホンダのCRF250Lなどは水冷エンジンだが、もともとの設計において高出力化よりも“高効率化”を追求。クリーンなエンジンにしたくて水冷をチョイスしたエンジンの代表例と言える。なので最高出力も24馬力と水冷エンジンにしては低めに設定されている。

Water-cooled engine

水冷エンジンのCRF250Lは、24馬力を9000回転で発揮。

 

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