これまで5台のSR400/500を乗り継ぎ、そのうち2台のSR400を今も所有している私、ライター佐賀山。「なんでそんなにSRばっかり所有しているのか?」を、前回の記事 でつらつらと述べた。
>YAMAHA SR400/500を5台も乗り継いだワケ(うち2台を今も所有中!)【前編】
ただ、もともと『カスタムバーニング』(造形社発行)というカスタムバイク専門誌の編集部にいたこともあって、ちょっと理由が特異すぎたと反省。嘘を書いたわけではないのだけど、内容がマニアックすぎました(苦笑)。
当然ながらバイクは乗ってナンボなわけで、走らせても魅力があるからこそ、僕は5台のSRを乗り継いできたのである。
というわけで今回は、SRの持つカスタム以外の魅力について書いていきたい。
すべての具合が『ちょうどいい』
では、その魅力とは何なのか? まずはじめに挙げるとすれば、「すべてがちょうどいい」ということ。
セミダブルクレードルフレームに空冷SOHC単気筒エンジンを搭載するSR400の構造はごくシンプル。車重は175kgで、ビギナーや女性ライダーにも扱いやすい重量と大きさとなっている。
だからといって、軽すぎるわけではなく、適度な重量感は「オートバイを所有している」という満足感も十分に刺激してくれるもの。さらに、たとえば鉄製の前後フェンダーはいかにも70年代っぽくって、現行モデルにはない所有感をオーナーにもたらしてくれるのだ。(僕の場合はカスタムで外してしまうことも多いが……)
ちょうどいいのは車体サイズだけではない。空冷単気筒エンジンから発せられる鼓動感やトルクもちょうどいい。
SRの魅力として多くの人が思い浮かべる『単気筒の鼓動感』は、たしかにその通り。他の400ccモデルに比べると、鼓動感は格別だといえるもの。決してパワフルではないが、トルクフルなエンジン特性は扱いやすくて、ゆっくり走っていても楽しい。
意外なほどスポーティー!
ただし、鼓動感をあまりにも期待しすぎると、少々肩透かしを食らうかも!?
というのも、じつはSR400のボア×ストロークは87.0mm×67.2mmでショートストローク設定。ドコドコとゆっくり回るエンジンではなく、ビュンビュンと回る特性となっているのだ。ただ、他の4気筒や2気筒エンジンに比べると、やはり空冷単気筒エンジンということで、ドコドコ感が強調されるため、「鼓動感あふれるエンジン」などと言われるのだ。
しかし、僕にとってはこのエンジン設定もちょうどいい。
適度な鼓動感がありながらショートストロークでよく回るエンジンは、スポーティに走るのに最適。街中やワインディングをキビキビ走るのが楽しいのだ。
エンジンだけでなく、車体も優秀だ。
クラシカルなスタイリングと形容されることが多いが、ロードスポーツとしての性能は高く、ワインディングを右に左にひらひらと曲がっていくことができる。前後18インチホイールと適度に前傾したライディングポジションによって、無理せずにスポーツ走行が楽しめる。
ちなみに僕のSR400(2014年式)はアップハンドルにフロント19インチホイールを装着している。じつは、これはこれでリア荷重が増して曲がりやすく、ワインディングが楽しい。
SR400/500はもともと70年代に設計されたモデルで、当時はフロント19インチが主流。SRの初期型もフロントホイールは19インチで、この当時のバイクはリアに荷重をかけて曲がるのがスタンダードだった。そして、僕のSRもいかにも70年代といったハンドリングとなっている。地味だけど、オススメのカスタムメニューである。
SRといえばカスタムやチューニングで走りの性能を高めるユーザーが多いが、純正でも十分にスポーティな走りを満喫できるのだ。
ツーリングやキャンプにも大活躍
めちゃくちゃ速いというわけではないが、法定速度で安全に走る分にはパワー不足は感じない。むしろエンジンのドコドコ感を感じながら走ることで、安全な速度域でもライダーに十分な満足感を与える特性は大きな魅力といえよう。
公道はサーキットではないのだ。
飛ばさなくても楽しいのは、SR最大のメリットといえるだろう。
そして、フラットなシートと荷かけフック付きのグラブバーによって積載性も高く、ロングツーリングやキャンプツーリングなど、旅の相棒としても最適だ。
下道でも高速道路でも、トコトコと車体を揺らしながらどこまででも走っていける。車体構成やライディングポジションがオーソドックスなので、ちょっとしたフラットダートなら躊躇せずに入っていける。
そう、SRは僕にとって、どのようにも使える『最高のオールマイティーバイク』。
街乗りに使えて、ツーリングも得意。ワインディングなどのスポーツ走行も楽しめて、フラットな林道程度なら入っていけるし、キャンプもOK! スタイリングに飽きたらカスタムでがっつりルックスを変えられるし、チューニングで特性も変えられる。
1台あれば無限大に楽しめる……それがSR400/500なのだ。
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