じつは曖昧、海外取材の記憶

ハーレーダビッドソンで南アフリカ共和国をツーリング。

▲ハーレーダビッドソンで南アフリカ共和国をツーリング。

 こんにちは青木タカオです。コロナ禍前、特に5〜10年くらい前はニューモデルの試乗や取材、撮影などで海外へ行く機会がとても多く、ボクのパスポートは出入国時にスタンプ(証印)を押す証印欄のページに余白がなくなってしまうほどでした。

 刺激的で楽しく、とても濃厚な日々でしたが、じつは記憶が曖昧だったりもします。行った先や乗ったバイクのことは覚えているものの、その時期や場所はぼんやりとしかわからなくなっていて、細かいところはあやふやなのです。

 過密日程だったこともあり、当時はただただひたすら現地へ出向き、バイクに乗ってきてはすぐに帰国し、締め切りの順に原稿を執筆し、海外のカメラマンに撮ってもらった写真を整理して編集部へ入稿。次々に発信しては、また次の仕事で海外へ行くというのをひたすら繰り返しました。

 二輪専門誌(雑誌/WEB)だけでなく大衆メディア、メーカー発行の会報誌であったり業界紙、航空会社の機内誌など幅広いジャンルの媒体に寄稿させていただきました。

帰国数時間、アメリカからヨーロッパへ!

オーストリア南部ケルンテン州フィラッハで取材したハーレーダビッドソンのビッグイベント「EUROPEAN BIKE WEEK」。

▲オーストリア南部ケルンテン州フィラッハで取材したハーレーダビッドソンのビッグイベント「EUROPEAN BIKE WEEK」。

 そんななかで、ぼんやりながら印象に残っているのが2017年のこと。スケジュール管理が甘かった自分も悪いのですが、アメリカ西海岸で開催されたニューモデルのジャーナリスト向け発表・試乗会に参加し、帰国すると、今度はヨーロッパへ発たなければならない飛行機の時間が数時間後に迫っていました。

「一晩くらいは自宅のベッドでゆっくり眠れる」と、予約済みの航空券を見て考えていましたが、出国地との時差もあり、帰宅できたのはわずかな時間だけ。

 成田だったか羽田だったかは覚えていませんが、荷物を取り替えてすぐに出発。さすがに家族も「おいおい大丈夫か」と、心配していました。

 アメリカから大西洋を渡った方が手っ取り早いのは、地球儀を見ればすぐにわかりますが、欧州ではダートトラックを走る予定があったため、装具を丸ごと取り替えなければなりませんでした。

 そんなふうに、いつもバタバタだった海外行き。いったん振り返りつつ、少しずつまた整理していきたいなと考えています。

アメリカ最南端キーウェストを目指したフロリダツーリング。

▲アメリカ最南端キーウェストを目指したフロリダツーリング。

 ここForRではフロリダをツーリングした時のことを昨年9〜10月、5回に渡って再レポートさせていただきました。ポルトガル・リスボンでの電動バイク試乗体験も、2月に公開いたしました。

並走する廃線跡にロマン感じるのはアメリカでも変わらない【海外ツーリング〜フロリダ編1回目】

【海外試乗】奇想天外すぎる新世代感覚の電動ストバイBMW CE 02に乗った! 前編

デビュー直前に、ドイツ・ミュンヘンで乗ったBMW R18。画像提供:BMW Motorrad

▲デビュー直前に、ドイツ・ミュンヘンで乗ったBMW R18。画像提供:BMW Motorrad

 コロナ禍真っ只中の2021年には、ドイツ・フランクフルトにてBMW R18に乗ったこともココで書いています。帰国後に14日間の自宅待機。入国者健康居所確認アプリ「MySOS」にて、毎日かかってくる無言のビデオ通話のことなど、今となっては貴重な体験だった気がします。記しておいて良かったです。

BMW R18B 海外【ドイツ】試乗記  Vol.01 なにがなんでも新型クルーザーに乗りたい

 というわけで、少しずつまたその当時のことを思い出しながら再レポートし、ここForRに残しておきたいと思います。より多くの人にまた読んでいただいたら、嬉しいですし、数年後にまた記しておいて良かったと思えるかもしれません。

世界一治安が悪い都市!?

南アフリカ共和国で乗ったハーレーダビッドソンFLHTLウルトラリミテッド。

▲南アフリカ共和国で乗ったハーレーダビッドソンFLHTLウルトラリミテッド。

 南アフリカ共和国をツーリングし、インド洋に面したリゾート地で行われた現地のバイクイベントを取材できたのは、とてもいい思い出です。

 ドバイでのトランジットを含め、羽田から24時間。「世界一治安が悪い」「最恐都市」と、ネット記事などで書かれるヨハネスブルグがその旅のスタートでした。現地スタッフが乗り込むサポートカーには、銃を持つ警備員も乗り込んでいました。


 ハーレーの知名度と人気は地球の裏側でも高く、出発の朝、ホテルで準備していると、バイクと一緒に写真を撮りたいと通りがかる人が次々に言ってきます。


 それは都市部だけでなく、ローカルなところでも一緒で、休憩していると現地の人たちに囲まれて、フレンドリーに交流することができました。

 南アフリカ最大の都市ヨハネスブルグでは、ヨーロッパ製の高級車が走り、ハイウェイも整備されていました。テレビで見たことがあるアフリカのイメージを払拭させてくれる大都会でした。

ロードグライドにも乗った南アフリカツーリング。

▲ロードグライドにも乗った南アフリカツーリング。

 しかし90分も走れば、都会の喧噪とは無縁のように穏やかな草原地帯が広がっています。アフリカらしい大自然です。

何よりも楽しい現地の人との交流


 走っていると沿道の人たちが老若男女を問わず手を振ってくれます。トラックの荷台に人が乗っている光景も珍しくありません。追いつくと、サムズアップやピースサインで笑顔を見せてくれ、先を走るクルマは無条件で道を譲ってくれます。

 秋を迎えた5月上旬の南アフリカは、バイクで走るにはベストといえる25〜30度ほどの穏やかな気候。乾期は4〜10月で、ボクたちが訪れた5月上旬の1週間、雨は一滴も降りませんでした。

 イギリス領だったこともあり、日本と同じ左側通行です。走ったのは幹線道路だからでしょう。未舗装路はほとんどありません。


 ただし、平原の中を突っ切る道の路肩は砂で埋もれ、走行車線には赤い砂が浮いています。脇道はダートであることがほとんど。アメリカで見る乾き切った荒野ともまた違う、赤い土が果てしなく広がっているダイナミックな風景。森があり、動物の気配もします。

油断禁物! 牛が闊歩している


 走っては現れる幹線道路沿いの村には、そこに住む人々がワンサカといて活気に満ちあふれていました。


 道路と道路が交差する場所は街になっていて、露店があり賑わっています。街が近づくと、木でできた頼りのない電柱が道路沿いに立ち並び、電線を繋いでいます。

 どの村も区別がつかないほどよく似ていて、繰り返えすようにしてまた同じような村がやってきます。


 道路脇には人や動物が容赦なく歩いていて、飛び出してきたらいけないと十分に距離を保とうとしますが、スレスレでも気にせず歩いています。


 気持ち良くスピードを上げていると、牛の群れが道路を横切ろうとノンビリ歩いていたりすることもあるので要注意です。

 砂の浮いたアスファルトは非常にスリッピーですが、ボクが乗るウルトラリミテッドやロードキングなどツーリングファミリーには、すでに前後連動式ABSが備わり、難なくフルブレーキをかけてかわすことができます。

大平原にも人がいるのはなぜ!?


 走っていて不思議に思うのは、どんなに山の中であっても、見渡す限りの大平原の中であっても人と出会うこと。

 この人たちはいったいどこから来て、どこへ向かうのだろうか。走ってきた道に家などなかったし、その先にも数キロにわたって何もないのです。


 木陰なので休憩していると突然、子どもが現れてニコニコしながら近づいてくるので、ボクたちは写真を一緒に撮ったり、興味を持つバイクのシートに座ってもらったりし、心が和むのでした。

 南アフリカ共和国の中には、スワジランド王国という四国の広さにも満たない内陸国があり、入国しました。今回はここまでにしておき、その話はまた次回にいたしましょう。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事