素人にもわかる、その凄さ!

暖かみのある木を基調とした居心地がいいスペースで、オーガニックのコーヒーやハーブティーがいただける『ユナイテッドカフェ世田谷』に行ってきました。こんにちは青木タカオです。

オートバイをテーマにした内装で、バイクを安心して停めるスペースもある。ライダーたちが集まる人気スポットとなっているのも頷けますというのが、前回のお話で、期間限定9月1日に終了した『ワンアンドオンリー PHOTO EXHIBITION–BLOWIN PRESENTS』の様子をお伝えしました。

そこにはバイクファンなら見惚れてしまう、さまざまな展示物がありました。その精巧さに舌を巻いたのが、このフィギュアです。

模型と一緒に「all customized & painted by @anarchocamp」と掲げられています。つまり作者は、そのとき一緒にいた河田さん。既製品をそのまま組み立てたのではなく、オリジナリティのある作品になっていることは、模型について詳しくないボクでも一目瞭然でした。

「すごいですね!」

ありきたりな表現かもしれませんが、そのとき口をついて出た言葉はこんな陳腐な一言でした。

それでも河田さんは、どのように作ったのか詳しく教えてくれます。

知らなかった奥深き世界


ベースになったのは、ハーレーダビッドソン純正マイスト社製1/18モデル「XR750」ダイキャストモデル。それをいったん分解し、ワンオフパーツを追加するなどし、より精巧に組み上げたそうです。

FCRツインキャブ仕様のスポーツスター

▲河田さんが所有するスポーツスターは、FCRツインキャブ仕様となっている。

「XR750」はハーレーダビッドソンのフラットトラックレーサー。本来ならデロルトのキャブレターを2連装備しますが、河田さんはご自身の愛車XL1200S(2001年式)に装備するFCRツインキャブを再現しているから、なんとも細かい。

元のデロルトはカットして、ハンドルバーエンドをラッパに見たててファンネルとして接着しています。コイルや配線を含めて、すべてワンオフです。


マフラーは3mmのアルミ線を手で曲げたもので、オイルラインはなんと0.65mmという緻密さ! オイルクーラーはなんと割り箸を塗って再現したというから、既存の枠組みにとらわれない発想と言いましょうか、天才的なクリエイションだとボクは思います。


他のフィギュアからカットするなどして、移設してきたパーツもあるとのこと。ヘッドライトやタコメーター、サイドスタンド、ナンバー、左シフトペグとステップは、同じ1/18マイスト社製ダイキャストモデルの「スポーツスター883」から流用されています。

塗装も凝りまくっているのは、言うまでもありません。エンジン周りはソリッドグレーから、ご自身の愛車に似せてフルペイント。外装には実車と同じホットドックのレタリング。

全てのペイントと、ダートを走ったようなウェザリング、泥はね加工は、タミヤのプラモデル用の塗装キットが使われています。

革命家たちがキャンプツーリング!?


これもまたじつにユニーク。河田さんが所属する会社が展開する「MOUNTAINRESEARCH(マウンテンリサーチ)」から、およそ10年前にリリースされた『マウンテンマン革命家フィギュア1:22.5』です。サイズは一般的なドイツ・ジオラマサイズと同じになっています。

マウンテンリサーチは著名なデザイナー小林節正氏が手掛けるブランドシリーズの1つで、「山暮らしの服」をテーマとして山にフォーカスしたウェアを取り扱っています。

マルクス、レーニン、毛沢東、ヘンリー・デイビッド・ソロー、4人の革命家が着ている洋服やブーツ、リュックは全てマウンテンリサーチの製品として人が着れる洋服でリリースしたもの。犬はウルフに見立てた紀州犬で、小林氏の愛犬であることも河田さんは教えてくれました。


どれほどに小さいのか、本物のヘルメットとサイズを比較した写真です。なんという細かさでしょうか。

こちら、中国共産党を率いて中華人民共和国を建国した毛沢東が着ているシャツにはバー&シールド。レーニンのポロシャツには、河田さんが主宰したONE&ONLY MEETINGとRED HOT CHILI PEPPERS(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)のマークが描かれています。

友人のために嬉しすぎる創作


友人の愛車『FXS ローライダー(サンダンス・ロボヘッド)』のフィギュアは、青島文化教材社アオシマ1/12バイクシリーズ ブラックローライダーをベースにしています。


10年くらい前に購入し、「老後の楽しみに!」と保管しておいたものを発見。「そういえば、身近にこんなバイク乗りいるなぁ」と思い、一気に組み立てたそうです。


エンジン、そしてフレームからビルド。意外にも、バイクのプラモデルを創ったのはこれが初めてだったという。


「記念すべき第一号機としては、まぁまぁよく出来たかな」

実車のバイクに似せて、河田さん独自のカスタムが施されています。友人は、綺麗に乗るタイプなので、墨入れやエイジング、泥汚れ加工は無しにしたとのこと。

他にも細かいことをいっぱい教えてくださいましたが、今回は長くなったのでここまでにします。


眺めているだけで夢が広がるフィギュアの世界。筋金入りのバイク好きが手掛ける作品は、こだわりがたくさん詰まっていて、それはもうアートの領域だと言えます。

ボクはこっそりと企てています。ボクが編集長を務める『WITH HARLEY(ウィズハーレー)』で河田さんの愛車を撮影して記事にしたのですが、今度は本物のバイクとフィギュアを誌面で並べてみてはどうだろうかと。

これはネタバレなので、くれぐれも内緒にしておいてください。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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