いやぁ、ホントに1989年「ゼファー」以降のカワサキは(ほぼ)打ち損じなしで、出すバイク出すバイクがファン各々の心を鷲づかみにしてきた印象です。1994年、待望の水冷ネイキッドとして登場した「ZRX」も角Zファン納得の出来映えで好ダッシュを決め、さらに翌年には丸目ヘッドライト仕様「ZRX-Ⅱ」まで追加して勢いはとどまることを知りません!

●1996年型カワサキ「ZRX/ZRX-Ⅱ」のカタログより。表紙にはピンで丸目ヘッドライトの「ZRX-Ⅱ」がド〜ンですがな。この年のモデルから銀メッキのマフラーまで採用されて「ゼファー」が構築したウケるネイキッドの手法へとさらに寄せてきました。今となっては信じられませんが、当時はネイキッド=丸目一眼ヘッドライトでなければ絶対に認めんッ!という風潮まであったのですよ。それを変えていったのもまたカワサキでした……
カワサキZRXという好漢【その3】は今しばらくお待ちください m(_ _)m
Contents
丸か角か? 時代を反映したテイストの違いも空冷Zの深い味!
前回にも出てきました俗に言う丸Zと角Z……。
もうちょいと補足説明をしていきますと、お察しのとおり燃料タンクからテールカウルまでの形状に優美な曲線を多用したモデル群が丸Zと言われており、対して角Zは随所へ直線的なモチーフを取り入れエッジもハッキリさせた面構成が特徴的な車両たち。

●1972年に衝撃のデビューを飾ったカワサキ「900 Super4」。写真の橙×茶……通称火の玉タンクは北米向けですが、欧州仕様はさらに黄×緑……通称イエローボールも設定されました(さらに深く知りたいならコチラ)
大ざっぱに分類すると前者(丸Z)が1972年に衝撃デビューを飾った「900 Super4(Z1)」から1977年の「Z1000」までで、後者(角Z)は1978年に出た「Z1-R」や「Z1300」以降、「Z1000Mk-Ⅱ」、「Z1R-Ⅱ」、「Z1000J」などが該当するようです。

●くぅ〜っ! タマランですなぁ〜な1978年型カワサキ「Z1-R」。6年前にデビューして全世界で大ヒットを放ったZ1ですが、やはりデザイン的な鮮度は年々薄れていくもの。次なるZ像を模索しているとき北米からオーダーのあったカフェレーサーカスタムへの回答として、このようなカックカクなスタイリングを提案してみたら想定外のバカウケ! 急遽市販され、以降このテイストを生かしたモデルが続くことになったとか……(角Zの興味深い記事はコチラ)
我が国のナナハン&ヨンヒャク市場でも角Zの魅力が浸透!
我らがニッポンの市場ではナナハンなら「750RS」、「Z750FOUR」が丸Zで「Z750FX」シリーズと「Z750GP」が角Z……かな。

●1979年、輸出向けとしてすでに大人気を博していた「Z1000Mk-Ⅱ」の国内向けナナハンモデルとして登場したのが「Z750FX」。FXとは航空自衛隊での次期主力戦闘機を意味するFIGHTER EXPERIMENTALから取った名称とのこと。746ccの空冷4スト並列4気筒DOHC2バルブエンジンは70馬力を発揮しました。いやぁ、こちらも痺れるカッコよさですね〜。なお、翌年にデビューした「Z750FXⅡ」からベースエンジンを「Z650」のボアアップ版として排気量は738ccに……
そしてヨンヒャクの角Zと言えば、やはり並列4気筒人気をバクハツさせた「Z400FX」でしょう!

●1979年型「Z400FX」……ホンダ「ドリームCB400FOUR」がこの数年前に姿を消して以来、チューメン(中型限定自動二輪免許)ライダーの待望久しかった400㏄クラスの並列4気筒エンジンモデルを復活させたカワサキ! いわずもがなの大ヒットを記録してライバルメーカー(特にホンダ!?)を慌てさせました。
往年の名車をリスペクトしたシン・ネイキッドシリーズ、ここに完成!
つまるところ1989年からの「ゼファー」シリーズで丸Zの流麗さを復活させたカワサキは、

●まさに「Z2(750RS)を再販するプロジェクト」から企画がスタートしたという「ゼファー」。ただし400より750や1100のほうが、より丸Zぽかったですよね。さて、写真は400「ゼファー」の1995年モデル(最終型)。さすがに1990年、1991年、1992年と3年連続してクラストップセールスの座に君臨した勢いこそ弱まっていましたのでこのままフェードアウトかなーと思っていたら!
1994年に「ZRX」で角Z……特にローソンレプリカをモチーフにしつつリデザイン。

●デビュー以来、ソリッドな単色で展開していた「ZRX」は、写真の1996年モデルで初めてローソンレプリカを想起させる2本の横ライン(ローソンラインって言うんですか!?)を入れた配色をリリース 。とはいえ、写真のメタリックセレストシルバーと、ブラックパールの2色展開でライムグリーンを頑なに拒否……!? それを心待ちにしているファンを焦らしに焦らしました(^^ゞ
さらにさらに、そのビキニカウル採用「ZRX」のデビューから1年後の1995年には、丸目一眼ヘッドライトと砲弾型メーターを採用した「ZRX-Ⅱ」まで繰り出してきたではあ~りませんか!

●1995年型「ZRX-Ⅱ」。この年のモデルは真っ黒ツヤツヤなメガホンマフラーが特徴的でした!
当時働いていたモーターサイクリスト編集部でカワサキ広報部から送られてきた「ZRX-Ⅱ」のポジフィルムを見た瞬間、筆者はまさにフェックスこと「Z400FX」が現代に甦った感覚を味わったものです。

●1979年型カワサキ「Z400FX」の勇姿! シンプルなファイアークラッカーレッドの塗色が往年の熱さをプレイバックさせてくれるようです。なお関東を中心に一般的には「フェックス」と呼称されることが多い「Z400FX」のFX部分ですが、山口県出身の筆者周囲では「エフペケ」と言ってた記憶が……。「XJ」は「ペケジェイ」、「GSX」も「ジスペケ」と呼んでました。これって方言???

●上で紹介したブラックパールとともに、「ZRX-Ⅱ」1995年のデビューイヤーに用意されたキャンディパーシモンレッド。これって完全にFXイメージとのリンクを狙ってましたよね!?
カワサキとしても「ZRX」の角目+ビキニカウルというスタイリングが、果たしてネイキッド好きなユーザー層へ広く受け入れられるのか一抹の不安があったのかもしれません(^^ゞ。
ちなみにデビュー翌年の1996年、「ZRX-Ⅱ」はウケるネイキッドモデルの文法をさらに取り入れた銀メッキマフラーまで採用し、水も漏らさぬフォーメーションを確立。

●写真は小変更を受けた1996年型「ZRX/ZRX-Ⅱ」のカタログより抜粋。「ん? ゼファーかな?」と思わず勘違いしてしまうほど丸目一眼ヘッドライトと輝くマフラーというのは、ネイキッドモデルのキャッチーなアイコンだったのですな〜
人気ジャンルが林立するボリュームゾーンで確かな存在感を発揮
400クラスにおける年間販売台数ナンバーワンブランドの座は、1994年ホンダ「CB400SF」、1995年ヤマハ「XJR400」、1996年がヤマハ「ドラッグスター400」と移ろっていくものの、

●1996年2月に発売され、一躍その年のクラスナンバーワンセールスモデルに輝いたヤマハ「ドラッグスター400」。そうなのです、1990年代中盤はネイキッドブームと同時にクルーザーブームも勃興していたのです。実際、1993年はホンダ「スティード400」がクラスナンバーワンの座に輝きましたし……。各メーカーはネイキッドだけでなく、魅力的なクルーザーも次々に投入していきました。狂乱のバイクブームは一段落したとはいえ、まだまだエエ時代やったのぅ〜
根強い人気を誇る空冷魂「ゼファー」は1996年に「ゼファーχ〈カイ〉」へ進化!

●正直、もう水冷「ZRX」シリーズに後を任せて消えていくとばっかり思っていた(失礼)「ゼファー」が、空冷のままパワーアップ(DOHC2バルブ→DOHC4バルブ化)してライバルたちと肩を並べる53馬力を引っさげフルモデルチェンジされるとは〜。結局、2008年の火の玉ファイナルエディションまで着実に歴史を紡いでいったのです
そして身近なローソンレプリカ「ZRX」、そしてフェックスの再来「ZRX-Ⅱ」という空冷&水冷取り混ぜたネイキッド三本の矢とも称するべき強力な布陣はライバルメーカーさえ一目置くものとなりました(あ、「ザンザス」も1995年モデルまで存在していましたね……(^^ゞ)。

●ゼファー旋風が吹き荒れていた1992年、突然デビューした「XANTHUS(ザンザス)」。開発コンセプトがシグナルグランプリではクラス上のモデルにも負けないで、キャッチコピーはズバリ「音速伝説。」……。今となってはキワモノ扱いされていますが「Z1000」(2003年)から現在へ続く新時代水冷Zネイキッド(ストリートファイター)の始祖と言えるのかも!?
今なお非常に高い人気があることも納得な仕上がりの良さ……
かくいう「ZRX/ZRX-Ⅱ」は実際に走らせてみても完成度の高さがヒシヒシと伝わってきたものです。
ツーリング企画取材などのお供に幾度となく広報車をお借りしたのですけれど、硬質な面が張ったスタイリングはクラスを感じさせない威風堂々っぷりを誇り、近づくだけでタメ息が出そうなほど。

●1995年「ZRX/ZRX-Ⅱ」カタログより。実はこのころカワサキも角目+ビキニカウルの「ZRX」だけでは拡販が難しいと思っていたフシがある……!? まぁその心配は杞憂に終わるのですけれど(^^ゞ
カタログに記載されているシート高は785㎜なのですが、いざ跨がれば厚めのクッションがスッと沈んで足着き性は良好に感じましたね。
1990年に登場し市場に揉まれて熟成の域に達していた「ZZR400」譲りのエンジンは、53馬力とは思えない力感を発揮してくれるので市街地走行から高速巡航まで余裕シャクシャク。

●最高出力53馬力/11000rpm、最大トルク3.8㎏m/9000rpmを発揮する399㏄水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンは扱いやすくパワフル! なお、燃料タンク容量は16ℓでした〜
ワインディングでの身のこなしは軽快……というより切り返し時にほどよくタメの入る重厚な味付けで、こちらがライバルとは一線を画しておりかえって新鮮そのものでした。

●コーナリング中でも一瞥するだけで必要な情報をライダーに与えてくれる視認性に優れた2連メーター。夜になると文字盤が淡い青色で浮き出てくるので、それが目に優しくかつ非常に美しいからチョイチョイ眺めているだけでうっとり……
ただ、その特徴あるハンドリングの一因ともなっていたリヤの18インチホイールは「もっと操安性に軽やかさが欲しいし、タイヤの選択肢も少ないよ!」と一部ユーザーにはネガティブな面と捉えられたようで、大掛かりなカスタムついでにリヤホイールを17インチ化するケースさえ少なからずあったと聞き及んでおります。

●当時の取材メモをひもとくと、同じカワサキの他車純正ホイールを流用するなどしてリヤのタイヤサイズ150/70-18を180/55ZR17へ変更することが定番だったようで、さらに進めてフロントも110/80-17から120/60ZR17へ換える場合すら……。確かにこのカスタムを施せば、ずっと最新のタイヤが選び放題になりますね
さて、そんな400の「ZRX/ZRX-Ⅱ」兄弟が1994年から念入りに場を温めたあと、ビッグな快男児が1996年12月(モデルイヤーは1997年型)、ついに登場いたします。
その名は「ZRX1100」(同時に丸目一眼の「ZRX1100-Ⅱ」も)!

●1997年型カワサキ「ZRX1100/ZRX1100-Ⅱ」カタログより。角Zのルーツたる1978年型カワサキ「Z1-R」を彷彿させる上品なカラーリングがワカッテルなぁ、と……。今さらですが「ZRX」ブランドは400㏄モデルから始まって、リッターモデルたる1100が市場投入されたのは実に3年後だったのですね……筆者も失念しておりました
次回は強敵ひしめくリッターネイキッド戦線へ勇躍切り込んでいった、稀代の水冷マシンについて熱く述べてまいりましょう!
あ、というわけで「ゼファー/ゼファーχ」、「ZRX/ZRX-Ⅱ」はもちろん、そのモチーフとなった往年の空冷カワサキ丸Z&角Zもレッドバロンの『5つ星品質』中古車として販売されていればアフターサービスも安心。ぜひお近くの店舗で探してみてくださいね!
カワサキZRXという好漢【その3】は今しばらくお待ちください m(_ _)m
