奥多摩で人気の駐車場、大麦代駐車場

▲大麦代駐車場の一角にあるバイク置き場。早朝からあっという間に埋まってしまった
ワインディングロード「奥多摩周遊道路」が人気の東京・奥多摩エリア。奥多摩湖の北岸には青梅街道(国道411号)が通っているが、ツーリングの休憩地として、また休日ともなれば多くのクルマ・バイクファンが集まる場所として知られているのが大麦代(おおむぎしろ)駐車場だ。

▲大麦代駐車場の象徴とも言える売店。飲料や軽食、お菓子など充実の品ぞろえ
小河内(おごうち)ダムにほど近く、広々とした舗装駐車場には、軽食や飲料、菓子のほかお土産なども販売している大麦代園地売店が設置されており、単なる無料駐車場ではなく、観光客からも憩いの場所として認知されている。
人が集まる場所だからこその問題も!

▲駐車場内の通路にバイクやクルマがあふれているが、警備員などは配置されていない
ただし人気スポットゆえの課題もあり、四輪・二輪のオーナーズミーティングが行われることもあって休日の駐車場はかなりの混雑ぶり。一般の利用者が入りにくい状況になったり、来訪者によるゴミやタバコのポイ捨てが問題とされてきた。
こうした問題に対して、奥多摩町や地域の警察と連携して駐車場の清掃活動を行っているのが、ライダーによるボランティア団体「Riders in Action(ライダーズインアクション)」だ。

▲大麦代駐車場でゴミ拾いを行うライダーズインアクションの参加者
ライダーズインアクションという団体の設立経緯や趣旨は下記の記事を読んでいただくとして、今回は奥多摩で活動を始めた経緯や活動内容について紹介する。
【参考記事】
ライダーができること、やるべきこと。 「Riders in Action」のゴミ拾いと地域活性<前編>
ライダーができること、やるべきこと。 「Riders in Action」のゴミ拾いと地域活性<後編>
きっかけは2ストミーティングの開催から

▲7月20日(日)、大麦代駐車場の清掃活動に集まったライダーズインアクションの参加者
奥多摩のライダーズインアクションを取り仕切っているのは太宰さんご夫妻。3年前に奥多摩で2ストミーティングを開催しようと声をかけたら60台以上も参加表明があり、開催場所に困っていたところ、知り合いを通じてライダーズインアクション副代表の岩間さんと出会った。
当時すでに、大麦代駐車場では無許可のミーティングやそれによるゴミの散乱が問題になっており、清掃活動をすることで自治体や施設管理者、地域住民への迷惑や不安を払しょくし、その上でライダーが集まれる場づくりを行ったほうがよいという岩間さんからのアドバイスだった。

▲大麦代駐車場の「ダイサン」はこんな感じでまさにカオスだ。バイク、アメ車、輸入車、旧車からキャンピングカーまで集まっている

▲清掃活動は、地元・奥多摩町の議員らともつながって理解を得ながら行われている。ゴミ袋は町が用意したもので、清掃後の回収も町が行う
これがきっかけとなり、太宰さんらは毎月1回、第3日曜日に大麦代駐車場とすぐ近くの「奥多摩 水と緑のふれあい館」の周辺で清掃活動を始めた。
なお、大麦代駐車場の第3日曜日というのは旧車などの愛好家がこぞって集まる日「ダイサン」として知られており、違法駐車やゴミのポイ捨てが多い日となるが、あえてその日に清掃活動が行われている。

▲ライダーズインアクション奥多摩の中心メンバーである太宰さんご夫婦。お住まいは埼玉県の所沢
メンバーの中心となって活動を始めたのは奥様だった。
「主催がガンマ(※)乗りの夫婦なので、2スト乗りの仲間が『僕らが手伝うから一緒にやろう』と言ってくれたんです。じゃあ、あたしがやる!って立ち上げました」
※ガンマ=1980~1990年代にスズキが販売していたRGΓ(アールジー・ガンマ)シリーズのことでレーサーレプリカブームをけん引したモデル
「日本中がきれいになればいいなとか、そういう考えじゃなくて、みんなでバイクで楽しく集まるためのきっかけですね。ただ続けているとやっぱり仲間がどんどん増えてきて、これを楽しみに来ている人もいっぱい出てきちゃった(笑)」
継続的な清掃活動と来訪ライダーのマナーアップについてご主人にも伺った。
「活動を始めた頃に比べればゴミの量は減っています。肌感ですけど、携帯灰皿を持っているライダーもずいぶん増えたと思います。私たちの活動や行動が抑止力になっているようなら嬉しいですね。
もうポイ捨てが許されるような時代でもないので。灰皿を携帯してゴミは持ち帰るのがカッコイイんだよという風潮は絶対にあると思います。」

▲ゴミとして多いのはやはりタバコの吸い殻。それでも活動当初よりはだいぶ減ったそう
いまでは毎回20名以上もの参加者があり、第3日曜日の10時から大麦代駐車場で。そのあとは“ふれあい館”の駐車場に移動して、10時30分から敷地内と周辺のゴミ拾いを行っている。当日の参加人数にもよるが、たいていどちらの場所も15分ほどの活動となっている。

▲“ふれあい館”の周辺で、小河内ダムを見下ろしながら清掃活動を行う参加者
参加者にはちょっとした特典も用意されている。ライダーズインアクション宮ケ瀬と同様にスタンプカードが使われていて、スタンプがたまればオリジナルキーホルダーなどの景品がもらえるのだ。参加者の中には宮ケ瀬と奥多摩の両方に参加している熱心なライダーもいる。

▲清掃活動に参加するとスタンプを押してもらえる。カードは宮ケ瀬と奥多摩で共用されているが、「宮ケ瀬」とは違う「奥多摩」のスタンプだ
清掃活動後は、みんなで二次会へ!

▲“ふれあい館”周辺の清掃活動に参加した皆さん。活動終了後は多くの参加者が二次会(ランチ)へと向かった
ライダーズインアクション宮ケ瀬(鳥居原園地・湖畔園地)との違いのひとつは、清掃活動のあとに二次会があること。取材当日の活動終了後も、参加者と一緒に美味しいお蕎麦を食べに行こうという話で盛り上がっていた。
もともと大人気のツーリングエリアなので、参加者にとっては楽しいプチツーリングとなるだろう。この和気あいあいとした感じがライダーズインアクション奥多摩の魅力のようだ。興味のある方はぜひ参加してみてほしい。
●ライダーズインアクション公式サイト
https://ridersinaction.jimdosite.com/