▲時おり子どもに声をかけながら見守るお父さん、お母さんの姿が印象的だった

電動バイクが安全に体験できるキッズバイク

▲コースは駐車場にエアーバルーンを設置したもの。子どもがぶつかってしまっても安心のフワフワ外壁

 

10月5日(日)、神奈川県海老名(えびな)市の海老名ビナガーデンズイベント広場で「宮ケ瀬キッズバイク」が開催された。“キッズバイク”とは、ぶつかってもケガをしないよう配慮されたエアーバルーンコースの中で電動バイクを体験できるという子供向けのアクティビティだ。

▲インストラクターがいちから乗り方を教えてくれる。乗り始めはぎこちない子どもたちもすぐに運転に慣れてしまう

 

▲バランスが取れない子どもでも後ろから押してもらうことで自走感覚になれ、すぐに手押し棒がいらなくなっていた

 

当日は、天気快晴のなか多くの子どもたちがキッズバイクを体験していた。対象年齢は2歳からで、自転車に乗れなくても参加でき、遊びながらバランス感覚が身について自信につながるという体験が子どもとその保護者に好評だ。

▲ブレーキもペダルもなく、足で地面を蹴って進むストライダーを借りることもできる

 

予約不要、当日その場で受付を済ませればすぐに乗れるという手軽さもあって、海老名駅や周辺施設の利用者が「おっ!」と足を止めてくれる。ヘルメットやグローブ、プロテクター類も借りられて、ひと枠10分で1000円、2回目以降は500円、4回目以上だと無料となって乗り放題となる価格設定もあって、ハマるお子さんも多いそう。

▲ZAMAのSHINSUKEさん(46歳)とけい君(6歳)。けい君がストライダーから自転車にステップアップした時にペダリングが苦手だったこともあり、バランスに慣れてほしいと宮ケ瀬のキッズバイクに誘ったそう。「自転車もバイクも楽しい!」とけい君

 

▲楽しそうにキッズバイクで遊ぶけい君(左)。お父さんのアドバイスもあってどんどん上達していた

ライダーが考えた「宮ケ瀬地域を知ってもらいたい」

▲主催者の「RIDE Plus(ライドプラス)」代表の岩間大輔さん

 

さて本記事では、神奈川県の中でも発展いちじるしいエリアのひとつである海老名市に、ふだんは宮ケ瀬湖畔で開催している宮ケ瀬キッズバイクが出張開催した背景や経緯、目的について主催の「RIDE Plus(ライドプラス)」代表の岩間大輔さんに伺った。

岩間さんはライダーによるボランティア団体「Riders in Action(ライダーズインアクション)」の副代表でもある。

Q:主催団体の「RIDE Plus(ライドプラス)」について
ライドプラスは現在4名体制で運営していて、キッズバイクの他に、施設の子どもたちにクリスマスプレゼントを届けようといった活動もしています。こうした活動は「RIDER'S BASE Riberty(ライダーズベース リバティ)」(神奈川県座間市)さんらと一緒に行っています。

▲施設の子どもたちにクリスマスプレゼントを届ける活動も行っている

 

Q:キッズバイク開催の背景と経緯について
ライダーズインアクションの活動でできた横のつながりで、自治体さんからバイクを通じた観光や地域活性化に関しての要望が来るようになりました。一緒にいろんなアイデアを出し合った中で、子供向けの電動バイク体験「キッズバイク」を行うことで、宮ケ瀬地域の観光振興や地域活性化に役立てられればというイメージで始まったのが3年前です。

▲スタッフにプロテクターをつけてもらいながら順番を待つ子どもたち。ちょっと緊張してるかな?

 

それが小田急電鉄さんの目にとまって、うちのエリアでもやってみないかとお声がけをいただいてこの場を貸して頂きました。現在は、宮ケ瀬湖畔(宮ヶ瀬小中沢多目的広場 等)のほかに、イオン相模原の屋上駐車場特設会場、ここ(海老名ビナガーデンズイベント広場)の3か所で開催しています。また、毎年3月に行われる厚木中央公園のイベントにも出させてもらっています。

Q:キッズバイク・イベントの建て付けについて
まずはキッズバイク・イベントをやっている団体さんを探しました。メーカーのヨツバモトさん(愛知県瀬戸市)に相談させてもらって、紹介頂いたモトショップ輪童さん(神奈川県相模原市)を通じてキッズバイク・イベントをやりたがっていた71maxの嶋田さんと知り合いました。では、一緒にやりませんかということで、宮ケ瀬から始まりました。

▲「Meow」や「WOOF」といったヨツバモトの子供向け電動バイク。価格は10~20万円前後、競技用なので公道走行はできない。インホイールモーターを採用しチェーンやスプロケットがないため転倒時の安全性も高い

 

キッズバイク一式を持って運営しているのはモトショップ輪童さんとスタッフの皆さん。小田急電鉄さんと交渉してこの場所の使用に関与しているのは私という建て付けです。

ビブスを着て受付などを担当してくれているのは、キッズバイクを体験してハマって、レーシングバイクにも熱中しているお子さんのお母さんたちです。いまは運営側に回ってお手伝いをしてくれています。ちょっと子ども会のようなノリもありますね。

▲キッズバイクからレーシングバイクへと進みつつある子どもたちは、テクニカルコースを華麗に攻めていた

宮ケ瀬の仲間たちがキッズバイクを応援!

Q:白バイ隊員の方もティラノサウルスもいますが…
白バイの展示などは海老名警察署の協力によるものです。宮ケ瀬湖畔でバイクイベントをやった時に担当だった方がこの春に厚木署から海老名署に異動されて、キッズバイクのことを相談したら白バイを出してくれることになりました。

▲海老名署の白バイは子どもたちに大人気。またがって写真を撮ってもらう姿が目立った

 

ティラノサウルス(インフレータブルコスチューム)の人たちは、ライダーズインアクションで一緒にゴミ拾いをしてくれてる仲間(ティラノサークル)です。僕のやりたいことに賛同してくれて、イベントを盛り上げてくれています。今日は暑いなか誘客をやってくれていて本当にありがたいですね。

▲ティラノサウルスの着ぐるみで誘客をしたり子どもたちと一緒に写真を撮ったりしたティラノサークルの面々

 

Q:清川村のお店もキッチンカーを出していますね

▲清川村でブランド豚「清川恵水(めぐみ)ポーク」を使用した手作りソーセージやベーコンを製造販売している清川ミートファクトリーが出店


清川ミートファクトリー」(神奈川県清川村)さんの出店も宮ケ瀬のバイクイベントからのつながりです。海老名って新しい街なので、大山、丹沢、宮ケ瀬を知らない、行ったことがないという人も多い。だから「宮ケ瀬に来てほしい」という狙いのもと「面白いところがあるんだよ」ということを案内したいなと。

▲「清川恵水(めぐみ)ポーク」を使用したソーセージをはさんだホットドッグは絶品だった!

 

神奈川の人たちは宮ケ瀬の水を飲んでいるわけですから、宮ケ瀬との距離感を近くしたいよねというのが僕らの狙いでもあります。清川村にはいろいろとサポートをしてもらっているので、出店をお願いしています。

これからバイクに乗るかもしれない人たちへ

▲受付をする岩間さん。キッズバイクに乗った子どもたちには「楽しかった!?」と気さくに声をかけていた

 

Q:今後の展開について教えてください

▲清川村、愛川町、相模原市と3つの自治体にまたがっている宮ケ瀬湖


目的として、宮ケ瀬への観光誘致につなげたいということがありますが、こういうイベントを通じて子供たち同士のコミュニティができたりすればうれしいなとも思います。

いまは「地域のために」と小田急電鉄さん、イオンさん、モトショップ輪童さんらがスポンサーになってくれていますが、もっといろんな企業さんと一緒にこういう遊び、遊び方を提案していければいいなと思います。

バイク乗りがみんなでできることを考えて、いまバイクに乗っている人たちだけじゃなくて、子どもたちをはじめ、これから乗るかもしれない人たちにも魅力的な発信をしていきたいですね。

まとめ(私感)

ライダーとしてできること、ライダーならではの方法で、次代の子どもたちの育成のほか無関心層や地域との関わりを深めて社会との共生を図っていく活動としてのキッズバイク。国内二輪市場がシュリンクしていくなか、ライドプラスのような未来に向けた活動は今後ますます注目されていくだろう。ぜひ多くのライダーに関心を持ってほしい取り組みだ。

 

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