前回までの記事では、レッドバロンの本社工場でのお仕事に密着。
中古車の品質の高さやアフターサービスの手厚さを支える、社員一人ひとりの技術力と丁寧な作業をご紹介しました。

そこで見えてきたのは、レッドバロンの最大の武器が「優れた技術を持つ人材」と「その人材を育てる力」であるということ。

──それなら、さらに深堀りをして「人材育成の現場」も見てみたい。
そう思った筆者は、社内教育施設『二輪整備専門スクール』を訪れました。

実は、こちらが取材が受けるのは今回が初めてということ。一体どんな授業が行われているのでしょうか?

二輪整備専門スクールとは?

『二輪整備専門スクール』は、工具を握ったことのない未経験者でも、基礎知識からプロレベルの整備技術までを学べる教育機関。
研修期間はおよそ30〜90日間。約140名が泊まり込みで学べる完全個室の専用宿舎を完備しているのです。

驚くべきは、その制度。
なんと学費・宿泊費はすべて無料。さらには研修中も正社員としての給与が全額支給され、集中して技術を身につけられる環境が整っているのです。

また入社時だけではなく、定期的に中堅・ベテランサービスマンを全国の店舗から招集。
電子制御・環境性能・電動バイクなど、日々進化する最新技術に対応するための研修が行われ、ユーザーが安心して愛車を預けられる環境を整えているのです。

座学と実技がセットになった実践的カリキュラム

スクールのカリキュラムは、午前が学科、午後が実技という実践的な構成。
1日ごとに内容が完結する仕組みになっており、スクール生たちはいつ入学しても効率的に学べるのが特徴です。

この日の授業のテーマは、キャブレターの仕組みについて。

まずは研修室で座学の授業がスタートしました。

講師が実物を手に取りながら解説するのはもちろんですが、驚いたのは全員に1個ずつ実物のキャブレターが用意されていること。

触って構造を確かめながら授業を聞くことで、よりわかりやすく、より正確に知識が身に付くのです。

午後の実技では、座学で学んだキャブレターを実際に車両から取り外す作業に挑戦します。

「それでは、はじめ!」という合図とともに、全員が一斉に作業をスタート。
実技では毎日タイムトライアルが行われますが、これは他人と競うためではなく、自分の作業が正確で無駄なく行えているかを「タイム」という客観的な指標で把握するためのもの。

二輪整備専門スクールでは、店舗では数ヶ月に1回しか行わないような作業であっても、何回も反復して練習することができます。
その結果、一般的な販売店の4~5年分に相当する経験値をたったの1日で積めるというのだから驚きです。

授業では車両のメンテナンスの他にも、パーツの分解や、電動バイクのような最新車両に関する授業なども行われます。

全体を通して、スクール生の皆さんの真剣なまなざしや、積極的に質問をする姿がとても印象に残っています。整備士として成長したいという強い意志が伝わってくる時間でした。

店舗で即戦力となるためのスキルを習得

スクールの卒業生たちは、店舗へ配属されると即戦力として働き始めます。そのため整備技術や車両知識だけでなく、店舗で必要となる実践的なスキルを学ぶ必要があります。

例えば接客練習。
サービスマン役とお客様役に分かれてロールプレイングを行いますが、その練習場所は、店舗を再現した模擬カウンター。

配属されたときに困らないよう、さまざまなシチュエーションを想定して接客の練習を行います。

レッドバロンが目指すのは、単にバイクを直せる整備士ではありません。
不調の原因をわかりやすく説明し、お客様の不安を取り除き、最終的には笑顔で帰っていただく…そんな「プロ」としての技術を身に着けることなのです。

さらに、お客様から預かった大切な車両を安全に取り回すための練習も大切です。

バイクの積み降ろしの練習や、コーンを置いてスラローム状に押し歩く練習など、慣れるまで何度も行います。
店舗でサービスマンが軽々とバイクを取り回すのを見ていつも驚いていましたが、その陰にはこうした地道な練習の積み重ねがあるのですね。

優れたサービスマンを育てるために

知識・技術・接客など、店舗で働くために必要なすべてを学べるのが二輪整備専門スクールの強み。
しかし、これだけの内容をスクール生全員が確実に身につけるには、ただ教えるだけでは不十分です。

その鍵となるのが、全員が自分の手を動かせる環境が整っているということ。
というのも、説明を聞いたり作業の手順を見たりするだけでは、なんとなく「わかったつもり」になってしまいがち。実際にやってみると、まったく身についていないことがあります。

そこでここでは、今回の授業でも使用したCB400SFの実車はもちろんのこと、エンジンやフロントフォークといった主要パーツ、さらには工具類までがすべて全員分用意されています。

途中でつまずいたり手順がわからなくなったりしても、その都度適切に指導。

こうした環境のもとで、確実に自分で作業を進める力が身につくのです。

また、先ほどご紹介した模擬カウンターをはじめ、1人1台ずつ用意されているツールキャビネットや『コンピュータ総合診断機 ACIDM(アシダム)』、特殊工具類といった設備はレッドバロン店舗と同じ仕様。


スクールで学んだことをそのまま現場で活かせる環境こそが、レッドバロンが優れた人材を育成できる大きな理由なのです。

「ボルトが緩まない整備」の品質を全店舗へ

──ここまで二輪整備専門スクールのカリキュラムの一部をご紹介してきましたが、実は最も強くスクール生へ伝えているのは、技術そのものではありません。

ここで何よりも大切にしているのは「ボルトが緩まない整備」という基本的な品質。

走行中の二輪車は強烈な振動にさらされ、その環境下では、たった1本のボルトの締め忘れが重大な事故につながります。
このことから、「エンジンを分解する技術」と「外装のボルトを1本正確に締める技術」の難易度と責任の重さが、まったく同じであると教え続けているのです。

この価値観を社員全員が共有し、全国どこのレッドバロンでも同じ品質の整備が受けられるようにする──まさにレッドバロンのサービスを根底から支える「聖域」のような場所なのです。

さて、そんな『レッドバロン 二輪整備専門スクール』で学ぶスクール生たちは、一体どのような生活を送っているのでしょうか。

次回の記事では、実際に研修生にお話を聞きながらその暮らしぶりに迫ってみたいと思います。
どうぞお楽しみに!


【関連記事】
・【前編】レッドバロン本社工場に絶版車の純正パーツがストックされているって本当? 真相を確かめに行ってきた!!
・【後編】レッドバロン本社工場に潜入! 高品質な中古車を支える「技術」に迫る!!

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事