1979 YAMAHA SR500SP


これは運命というべきか! 僕が愛してやまないSR400/500……その43年を誇る歴史のなかでも、僕が最も好きなモデルが最初期型のSR500SPである。

そのフルオリジナル車両を、ひょんなことで撮影することができた。

SR500が素晴らしいということは前編で触れたが、そのなかでも最初期、さらに“SP”がなぜ素晴らしいかということを、実際の車両写真と、僕の主観多めの文章で紹介していきたい!


いま欲しい絶版名車・BEST5に入る!


昨年12月にForRライター陣への共通テーマとして出された『今欲しい絶版名車5選』。ここで僕は、CB750FOURやジレラ・サトゥルノ500を選んだ。

>今欲しい絶版名車5選【CB750FOUR・SR500SP・XR BAJA・SATURNO 500・CT110】

ちなみにCB750FOURとサトゥルノ500は、20代の頃に実際に乗っていた(さらについでにいうと、サトゥルノ500はレッドバロン大阪狭山で購入)。CT110は記事執筆時、じつは不動車を某ネットオークションで購入していたのだが、あまりにも状態が悪く、結局、記事公開後には復活を断念し、手放してしまった……あぁ、個人売買は怖いぜ(経験者は語る)。

そして、この時に挙げたXR BAJAに至っては、記事執筆後にレッドバロン東大和で購入♪ 今はすっかりBAJA LIFEを満喫している。先日も6ヶ月点検&オイル交換をやってもらい、めちゃくちゃ調子が良い! 

>今日は嬉し恥ずかし半年記念日!? ……XR BAJAの6ヶ月点検に行ってきた!
>オイルリザーブシステム……僕がレッドバロンで中古車を買った理由④

で、残る1台が、SR500SPである。


SR500ではなくSR500SP。最初期型のキャストホイール仕様が良いのだ。

「SRは43年の間、ほとんどそのスタイルを変えることなく生産され続けてきた」とはよく言われること。

しかし、実際にはさまざまな点が変わってきた。もちろん、そのほとんどが“改良”であり、間違いなく進化してきたのではあるが、だけどコレが趣味の乗り物・バイクの難しいところ。

当時にしか出せない70年代の味が、SR500SPにはあるのだ。


1979年式……CB750/900FやZ1000Mk-Ⅱと同年式

SR400/500の登場は1978年。翌年、マイナーチェンジによってキャストホイールを装備し、車名もSR400/500SPと変更したのが、ここに紹介するモデルである。

1979年といえば、ホンダはCB750FやCB900F、カワサキはZ750XにZ1000Mk-Ⅱ、Z1-Rなどを発売していた頃……そう考えると、SRの偉大さがあらためてわかるだろう。

さて、件のSR500SPだが、一見するとファイナルエディションとの違いはキャストホイールくらい? なんて思ってしまいそうなのだが、やはりいろいろと違っている。


たとえばフロントブレーキはディスクだが、ファイナルエディションと同じではない。SRは1985~2000年(2型)ではフロントにドラムブレーキを採用し、2001年以降(3~5型)はディスクブレーキに戻った。しかし、初期型と3型以降のブレーキはまったく別物。

取付位置も初期型はホイール左側で、3型以降は右側。

ちなみに70年代当時のディスクブレーキは、これまた現在のものとはまったく別物……はっきり言って、その効き具合に期待はできない(苦笑)。

 

ヘッドライトにはガラス製凸レンズを採用し、ウインカーレンズも平面ではなく、起伏のあるデザイン性の高いもの(通称オッパイレンズ)。

さらにフロントフォークにフォークブーツはなく、ダストシールタイプとなっていて、サイドリフレクターも装備。

ちなみに僕のSRもこのスタイルを真似ています!(写真はコチラ

 

凸レンズをよく見ると、さらに突出した部分がある。今ではあまり見られない、じつに手間のかかったレンズだ。

 

SPの最大の特徴であるキャストホイール。ただし、キャストホイールにも関わらずチューブタイヤ仕様と、ちょっと残念。

ちなみにワイズギアから復刻されているが、そちらは前後18インチ(SPは前19/後18)でチューブレスタイヤ装着可。しかもめちゃくちゃ軽い。

というわけで、まったく別物である。


最初期型のSR500はアップハンドルを採用していたが、SR500SPになってスポーティ路線となり、ローハンドルとなった。


注目すべきがメーター! 中央にインジケーターを配した、いかにも70年代の雰囲気あふれる意匠となっている。

『速度警告灯』に警告されたいぜ!!


SRフリークの誰もが憧れる(筆者調べ)ナロータイプの燃料タンク。2型以降のタンクと比べると、側面の膨らみが抑えられていて、シャープな印象を与える。

初期型SRが70’sな雰囲気を醸し出す要因のひとつである。


シート表皮には型押しが施されていて、高級感を演出。これまた70’sな雰囲気を醸し出している。



初期型はステップのゴムがゴツくて、ヤボったいデザイン。……だが、それがいい!

ちなみに1978~1985年・1997年~ファイナルエディションまではフロントステップ。1985~1995年まではバックステップを採用していた。


なんの変哲もないシンプルなマフラーだが、SRの車体によく似合う。また、歯切れの良いサウンドも秀逸! 

ノーマルマフラーで十分……そう思わせてくれる逸品だ。


リアサスペンションはカタチは変わっていないが、ボディがブラック。5型ではスプリングがブラックになったが、これはこれでカスタムサスペンションのようでかっこいい。


まったく愛想のない真四角のテールランプは、もはや初期型から続くSRのアイデンティティのひとつ(笑)。

テールランプの左右に鎮座するリフレクターに、昔は「なんでナンバーの上に2つも飛び出てるのよ!」と憤慨したものだが、いま見ると渋く感じるのだから、人の価値観って不思議だ。


そしてやっぱり、エンジンの回り方、鼓動感、押し出しなどは僕は500の方が好き。

しかし、ショートストロークによってスポーティに回る400エンジンの方が好きというSRフリークも多い。500好きはあくまでも僕の個人的な好みの話。

決して「排気量が大きいから良い」わけではないことを、ここでは強調しておきたい。

また、初期型のキャブレターは強制開閉式でダイレクト感があり、これも僕の大好物だ(扱いやすさ重視なら、1988年以降の負圧式キャブレターが断然おすすめ。いや、本当のおすすめは2010年以降のFIか)。

 

“43年の歴史”は伊達ではない


あらためて見ると、やっぱりSR500SPが醸し出す雰囲気は格別だ。

高年式のSR400は素晴らしいバイクだし、すでに僕はSR400を所有しているけども、それでもいつかは所有してみたい……そう思わせる魅力をSR500SPは持っている。

最新式もいいけれど、旧車もいい。400もいいけれど、500もいい。う~ん、SRの世界は、とにかく奥が深い!

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