2026年春のモーターサイクルショーにてアライヘルメットが発表した新作フルフェイスヘルメット『X-SNC』。7月28日には那須モータースポーツランドを貸し切っての「X-SNCニューモデル体験走行会」を開催。多くの販売店やメディアが招待され、『X-SNC』の被り心地を実走行で体験した。

会場に選ばれたのは、レッドバロンが運営する二輪専用サーキット“那須モータースポーツランド”。1周約1.2kmで、公道に近いコーナーを揃えたコンパクトなサーキットとなっている。
シリーズ“最軽量”と“涼しさ”にこだわった新作フルフェイスヘルメット『X-SNC』

アライヘルメットの新作『X-SNC』。『X-SNC』の製品ポジションは、レーシングユースやサーキット走行を想定した最高峰の「RX-7X」と、ツーリング用フルフェイスヘルメット「アストロ-GX」の中間に収まる。
新作バイクの試乗会は何度も呼ばれてきたが、新作ヘルメットの試乗会となると業界歴25年の筆者初めての体験だ。しかも、サーキットを1日まるっと貸し切っての試乗会である。いかにアライヘルメットが、この新作フルフェイスヘルメット『X-SNC』に力を入れているかがわかるというもの。

「X-SNCニューモデル体験走行会」には、多くの販売店やメディアが招待され、新作ヘルメット『X-SNC』の被り心地を実走体験で味わった。
今回の「X-SNCニューモデル体験走行会」では、新作ヘルメットの体験走行プログラムはもちろんだが、開発スタッフによる「X-SNC新製品プレゼンテーション」も開催。『X-SNC』の技術的な特徴のほか、長年ライダーの頭を守り続けてきたアライヘルメットの社史などもしっかり説明があった。

アライヘルメットがヘルメットの帽体形状に採用する“卵型”のフォルム。この卵の形状は、自然界が作り出した究極の強度形状といわれており、アライヘルメットが採用するのも、ライダーの頭を守りたいという思いからだ。
製品的な最大の特徴は、その『X-SNC』という名前からもわかるとおり、“PB-SNCスクエア”という、アライヘルメット最高峰のFRP帽体技術が使われていることだ。この“PB-SNCスクエア”は、フラッグシップモデルである「RX-7X」のために開発された技術で、特殊なグラスファイバーを組み合わせるとともに独自開発した樹脂を用いてヘルメットに必要な「剛さ」、「軽さ」、「粘り」をアップしている。

『X-SNC』の帽体。部位によって異なる強度が求められるため、繊維密度や強度の異なる素材を最適な場所に使用。『X-SNC』には最高峰モデルと同じ、“スーパーファイバー製ベルト”を使用。この素材は通常のグラスファイバーに比べて30%高い強度を持つ一方、6倍のコストがかかるという特殊なガラス繊維だ。

中でもザイロンと呼ばれる素材(上側の茶色いクロス)を頭頂部に採用したことで軽量化と低重心化を図ることができたのだとか。
『X-SNC』には、この“PB-SNCスクエア”帽体に加え、衝撃を吸収するライナー部分にも、側面、後頭部、頭頂部など、受ける衝撃の強さによって細かく硬度を設定する“一体成形多段発泡ライナー”を採用。トップレンジの「RX-7X」で培った技術が惜しみなく投入されているモデルが『X-SNC』というわけだ。

衝撃が強く伝わる部分の衝撃吸収材(ライナー)は厚くする必要があるが、硬度の異なるライナー素材を一体成形する技術を確立。部位ごとに硬度を変えることでアライヘルメットの特徴である“衝撃をかわす卵型のフォルム”が作り出せる。
結果、『X-SNC』はフラッグシップモデルの「RX-7X」由来の技術をさらに進化させ、ベンチレーションなどのパーツを工夫することで「RX-7X」比で、約100gもの軽量化をはかることができたというから驚きである。

「X-SNC新製品プレゼンテーション」の様子。『X-SNC』の技術的な特徴はもちろんだが、長年ライダーの頭を守り続けてきたアライヘルメットの社史などもしっかり解説。
Xシリーズ史上最高効率のエアフローを実現した“ACダクト”と“SDダクト”

『X-SNC』は、トップダクトに新開発の“ACダクト(インテーク)”と“SDダクト(アウトレット)”を採用。
『X-SNC』の特徴として、開発陣が強調するのは優れた空力性能とXシリーズ史上最高効率というエアフロー。面白いのは、ストリートファイターのようなアップライトなポジションを想定して開発されていることだろう。フラッグシップモデルである「RX-7X」が、サーキットレンジの速度域、前傾姿勢で効果を発揮するよう設計されているのに対し、『X-SNC』の軸足はあくまでストリートユース。

新採用“ACダクト”はスライド開閉式。“ACダクト”を開くとスライドガイドパーツが漏斗のように導風効果を高める。
「アストロ-GX」 をはじめ、アライヘルメットが近年力を入れているベンチレーションシステムによる涼しさの向上。『X-SNC』には“AC(エアーキャッチ)ダクト”と名付けられた新しいインテークシステムを採用。帽体側の穴位置を見直し、開口幅を広げ吸気効率を向上したことで、従来のトップダクトに比べ大幅な導風効果の向上が図れたという。

排気に関しては、後方に4ヶ所のアウトレットをレイアウト。上部のSD(ショートディフューザー)ダクトは、開閉のスイッチを廃し、常時開放式としたことで軽量化も行った。
『X-SNC』の“ACダクト”は、上体の起きるアップライトなポジションのバイクとの相性が良く、アップライトポジションで時速80kmでのテストでは、「RX-7X」の5倍近いエアフロー効果が確認できたとか。“Xシリーズ史上最高効率のエアフロー”とのことだが、試乗テストが非常に楽しみになってきた。次回はいよいよ『X-SNC』実走インプレッションをお伝えします!
アライヘルメット『X-SNC』のカラーバリエーションと価格・発売時期は!?
2026年9月12日現在、『X-SNC』は、単色のソリッドモデルとグラフィックモデルのPILOTシリーズが発売中。グラフィックモデルのKATAKANAについては、今秋発売予定となっている。価格は、ソリッドモデルが6万9300円で、グラフィックモデルがPILOT、KATAKANAともに7万9200円となっている。

『X-SNC』ソリッドモデル。左から、「PRISM BLACK」、「GLASS WHITE」、「FROST LIGHT GRAY」、「FLAT BLACK」で価格は6万9300円。

『X-SNC』グラフィックモデル。左から、PILOT「GRAY」、PILOT「BLACK」、KATAKANA「GRAY」、KATAKANA「TRICO」で、価格はいずれも7万9200円。
アライヘルメット『X-SNC』
●サイズ:54㎝、55-56㎝、57-58㎝、59-60㎝、61-62㎝ ●規格:スネル、JIS/MFJ認証取得 ●カラー ソリッド:PRISM BLACK、GLASS WHITE、FROST LIGHT GRAY、FLAT BLACK/グラフィック:PILOT GRAY、PILOT BLACK、KATAKANA GRAY、KATAKANA TRICO ●価格:ソリッド 6万9300円/グラフィック 7万9200円(税込)
