前回は那須モータースポーツランドを貸し切って行われた「X-SNCニューモデル体験走行会」の様子をレポートしましたが、今回は実際にバイクで実走してみての『X-SNC』のインプレッションをお届け! しかも、イベント当日のサーキット走行に加え、1ヶ月かけてスーパースポーツからアドベンチャーバイクまでいろいろなバイクでしっかり走ってみたぞ!

『X-SNC』は、レーシングユースやサーキット走行を想定した最高峰の「RX-7X」と、ツーリング用「アストロ-GX」の中間的なキャラクター。価格は、ソリッドモデルが6万9300円で、グラフィックモデルが7万9200円。
アライヘルメットの『X-SNC』は装着した瞬間に軽い!
“「RX-7X」を凌ぐ軽さ”とか“X史上最高効率のエアフロー”なんて煽り文句が特徴的なアライの新型フルフェイス『X-SNC』。普段からフラッグシップモデルの「RX-7X」とツーリング用のハイエンドモデル「アストロ-GX」を着用している筆者の立場から、この2つのモデルの中間に位置付けられる『X-SNC』のインプレッションを書かせてもらおう。

レーシングスペックを持つ最高峰モデルの「RX-7X」のストリートバージョン的な位置付けで開発された『X-SNC』は、バーハンドル系のスポーツバイクがよく似合う。
『X-SNC』を装着してまず感じたのは、その軽さ。「RX-7X」から100g近い軽量化と同時に低重心化も図ったとのことだが、手で持つより実際に被って首を左右に振った方が違いが明確。明らかに動きが軽く感じられる。
頭頂部により高強度で軽量な新複合素材(ザイロン)を採用したことで、さらなる低重心化を図れたとのことだが、まさにそんな感じ。左右に首を傾げるような動作をすると格段に動きが軽いのだ。実際に走ってみても、この動的な軽さは体感可能。コーナリングで視線を移したり、切り返しで荷重移動するような動きがやりやすいのだ。

ヘルメットが軽ければ、当然ながら丸1日走り続けるような状況での疲労具合も変わってくる。
内装によるホールド感はトップモデル譲り! アライヘルメット『X-SNC』

『X-SNC』の内装は、新設計とのことだが、性能に関してはトップモデルの「RX-7X」に準拠している。
内装のフィット感はレーシングモデルの「RX-7X」に近く、かっちりとした装着感がある。スポーツ走行向きのフィーリングで、首を素早く左右に振ったときの追従性がいい。また超高速域における、帽体の横ブレや内装の押しつぶされ感が「アストロ-GX」に比べて少ないと感じた。このあたりがソフトでかぶり心地のいいツーリング用ヘルメットとの違いになる。お店で試着するような場合はこのあたりの違いを念頭に置いて被り比べてみるといいだろう。

システムパッドには、インカムスピーカー用のホール(パッド着脱式)が設けられている。
新設計のシステムパッドには、欧州のヘルメット安全規格「ECE 22.06(S45)」に準拠するスピーカーホールを備えている。これは「RX-7X」にはなかった機能で、実際にインカムの取り付けに使ってみるとツーリング用ヘルメットとしての使い勝手が向上しているのがわかった。

MFJ公認も取得しており、MFJ管轄の国内ロードレースに使用可能。もちろんエマージェンシーリリースタブも装備。「RX-7X」よりもツーリングよりのキャラとはいえ、レースにも使えるようになっている。
公道で感じる「トップダクト」の通気性 アライヘルメット『X-SNC』

『X-SNC』は“AC(エアーキャッチ)ダクト”と名付けられた新しいインテークシステムを採用。帽体側の穴位置を見直し、開口幅を広げて吸気効率を向上したことで、Xシリーズ史上最高効率のエアフローを実現している。
新採用の「トップダクト」による換気性能に関しては、“Xシリーズ史上最高効率のエアフロー”……なんてふれこみだったものの、個人的には「アストロ-GX」の方が涼しいんじゃない!?というのが正直なところ。フレッシュエアが流入してくる位置の好みもあるのだろうが「アストロ-GX」はおでこのあたりがよく冷える……ただ、そんなことを思ったのは「X-SNCニューモデル体験走行会」当日のサーキット試乗に限った話。

新採用“ACダクト”はスライド開閉式で左が「閉」で右が「開」。開くとスライドガイドパーツが漏斗のようになり、いかにも風を集めそう。
それから1ヶ月かけて、スーパースポーツ(YZF-R7/GSX-R1000R)からネイキッド(XSR155/GSX-8TT)、アップライトポジションの高速ツアラー(BMW M1000XR)、自前のアドベンチャーバイク(テネレ700)までいろいろなバイクの試乗にかこつけて下道&高速道路でテストしてみるとエアフローに関する印象が180度変わってしまった。

『X-SNC』は、トップダクトに新開発の“ACダクト(インテーク)”と“SDダクト(アウトレット)”を採用。アップライトポジションで時速80kmでのテストでは、「RX-7X」の5倍近いエアフロー効果が確認できたとか。
『X-SNC』のエアフローは、試乗するバイクのライディングポジションで大きく変化するのだ。最も涼しく感じるのは、アップライトポジションの高速ツアラーやアドベンチャーのようなバイクで、全く伏せない方が換気効果が高く、60km/hくらいの速度域でも内部の空気が入れ替わるのをしっかり感じる。
また「アストロ-GX」との違いについては、おでこのあたりで涼しさを感じるのが「アストロ-GX」のフロントロゴダクトなのに対し、『X-SNC』は頭頂部あたりの空気を積極的に循環させるようだ。

排気に関しては、後方に4ヶ所のアウトレットをレイアウト。上部のSD(ショートディフューザー)ダクトは、開閉スイッチを廃し、常時開放式としたことで軽量化にも貢献している。
また『X-SNC』は軽量化のために、SDダクトの開閉のスイッチが省略され常時開放式に。雨天走行時の雨水の侵入を心配するライダーもいるかもしれないが、開発段階でテストを相当繰り返して雨水の侵入がないことを確認しているとか。実際、丸1日雨の中を走り続けるような取材で『X-SNC』を使ってみたが、SDダクトから雨水が入ってくるようなことはなかったことを付け加えておこう。
『X-SNC』インプレッションのまとめ
アライヘルメットの新型フルフェイスヘルメット『X-SNC』は、“「RX-7X」のストリートバージョン”的なコンセプトで、性能や価格を設定したとのことだが、使ってみての感想もまさにそのとおりというカンジ。
面白かったのは、トップダクトのベンチレーション効果で、技術説明の段階で“アップライトポジションのバイクを想定しています”との話は聞いていたが、本当にネイキッドやアドベンチャーバイクの方がより多くの空気の流入を感じられるとはびっくり。
個人的には、低重心化による軽さやホールド感のあるシステム内装はサーキット走行にも通用する印象が得られた。『X-SNC』を1つ持っていればツーリングからサーキット走行まで全てのバイク遊びをカバーできるというわけだ。

『X-SNC』ソリッドモデル。左から、「プリズムブラック」、「グラスホワイト」、「フロストライトグレー」、「フラットブラック」で価格は6万9300円。

『X-SNC』グラフィックモデル。左から、パイロット「グレー」、パイロット「ブラック」、カタカナ「グレー」、カタカナ「トリコ」。価格はいずれも7万9200円。
アライヘルメット『X-SNC』
●サイズ:54㎝、55-56㎝、57-58㎝、59-60㎝、61-62㎝ ●規格:スネル、JIS/MFJ認証取得 ●カラー ソリッド:「プリズムブラック」、「グラスホワイト」、「フロストライトグレー」、「フラットブラック」/グラフィック: パイロット「グレー」、パイロット「ブラック」、カタカナ「グレー」、カタカナ「トリコ」 ●価格:ソリッド 6万9300円/グラフィック 7万9200円(税込)
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