アメリカで水冷以外、全ファミリー網羅!

走りやすいアメリカでは5日間で2000km、ハーレーなら余裕でこなすことができる。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲走りやすいアメリカでは5日間で2000km、ハーレーなら余裕でこなすことができる。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

 こんにちは、青木タカオです。これまで3回にわたって、アメリカ・フロリダ半島をツーリングした時のことを綴っており、今回はその第4話となります。

 アメリカ最南東部に位置するフロリダは、大西洋とメキシコ湾に挟まれた半島で、その面積は半島といえども日本の半分弱にもおよび、南北およそ800kmととても広大です。

 フロリダの付け根に位置するオーランドから出発し、最南端のキーウェストを巡って一周すれば、2000kmを超える道のりとなりました。

 10年ほど前、さまざまなメディアに寄稿するため、撮影しながら5日間程度で走ったと記憶していますが、ハーレーダビッドソンはノントラブルで、頼もしいかぎりでした。

フロリダを走ったハーレーたち。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲フロリダを走ったハーレーたち。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

 そのとき乗ったのは、『FLHTK TC ウルトラリミテッド』や『FLHXS ストリートグライドスペシャル』といったツーリングファミリーをはじめ、『FLSTC ヘリテイジソフテイルクラシック』や『FXSB ブレイクアウト』『FXDWG ワイドグライド』そして『XL1200X フォーティーエイト』、さらに『FLHTCUTG トライグライドウルトラ』という7台です。

 水冷のV-RODを除く、空冷モデルのすべてのファミリー(カテゴリー/シリーズ)を乗り比べしながら、走ることのできる貴重な機会となりました。

威風堂々のスタイル

ハーレーダビッドソンのフラッグシップモデル『FLHTK TC ウルトラ リミテッド』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲ハーレーダビッドソンのフラッグシップモデル『FLHTK TC ウルトラ リミテッド』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

 大陸横断ツアラーとして開発されたフラッグシップモデルが『FLHTK TC ウルトラリミテッド』です。信号がほどんどないアメリカだと、1日に500km程度は難なく走ることができますが、ウルトラリミテッドならなおさら余裕で、さらにもっと長い距離を走れそうです。

 ブランドを代表するアイコンにもなっているバットウイングフェアリング、通称“ヤッコカウル”が上半身を守るだけでなく、足もともロワカウルがガードし、ハイウェイクルージングは快適そのもの。直進安定性に優れるシャシーと、長時間座っていてもお尻が痛くならないシートのおかげで、ロングライドも苦にしません。

 ツーリングファミリーの2014年式は「PROJECT RUSHMORE(プロジェクト・ラッシュモア)」によって、全面的に刷新されたばかりで、ウルトラリミテッドが搭載するVツインエンジン「ツインカム103(1689cc)」は、排気バルブ回りにウォーターラインを通す部分的な水冷システム「ツインクールド」を新採用しました。この空水冷機構は改良を加えつつ、現行車にも受け継がれています。

バイクの免許がなくても乗れるハーレー

当時、日本デビューを果たしたばかりのトライク『FLHTCUTG トライグライドウルトラ』もフロリダでは乗ることができた。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲当時、日本デビューを果たしたばかりのトライク『FLHTCUTG トライグライドウルトラ』もフロリダでは乗ることができた。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

 装いをほぼそのままに、リヤを2輪化し、スリーホイーラーとしたのが『FLHTCUTG トライグライドウルトラ』です。本国向け(北米)ラインナップに先行投入され、日本市場には2014年式から導入されました。

 当時は「改造車ではない純正トライク」「クルマの免許で乗れるハーレー」として、話題になったことを覚えています。フロリダのツーリングでも、主役のうちの1台として扱われ、いろいろなシーンを撮影しました。

FLHTCUTG トライグライドウルトラではオーリンズ・ステアリングダンパーを装備する。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲FLHTCUTG トライグライドウルトラではオーリンズ・ステアリングダンパーを装備する。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

 オーリンズ・ステアリングダンパーや6ポットキャリパーをフロントに備えるなど、トライクならではの専用装備を持ちます。ブレーキは前後連動式で、フットペダルを踏むと、フロント6ポットのうち2つのポットだけが連動して程良い制動力を前輪でも発揮。急制動でもスリップを回避し、高い安定性をもたらしています。

軽快なストリートカスタムが施されているが、グランドツアラーの持ち味は失っていないFLHXS ストリートグライドスペシャル。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲軽快なストリートカスタムが施されているが、グランドツアラーの持ち味は失っていないFLHXS ストリートグライドスペシャル。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

タンデムシーンもたくさん撮影した。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲タンデムシーンもたくさん撮影した。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

『FLHXS ストリートグライドスペシャル』はそのネーミング通り、グランドツアラーをストリートカスタムした派生モデルで、トレンドを反映した新ジャンルとして2006年にデビュー。ウインドシールドを短くし、サスペンションをローダウンするなど、低く身構えてスタイリッシュ。長距離を走っても、ベースが大陸横断ツアラーであるだけのことはあり、ロングライドもそつなくこなしました。

飽きることのない佇まい

往年のスタイルを踏襲した『FLSTC ヘリテイジソフテイルクラシック』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲往年のスタイルを踏襲した『FLSTC ヘリテイジソフテイルクラシック』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

『FLSTC ヘリテイジソフテイルクラシック』はノスタルジーなスタイルが魅力。背の高いウインドシールドにヘッドライトナセルの組み合わせで、補助灯を左右に備えた3連ライトは伝統的なスタイル。

 前後16インチのクロススポークホイールにディープフェンダー、シートやレザー調のサドルバッグにはスタッズがあしらわれ、ビンテージハーレーのムードを再現。人気の高いベストセラーモデルのひとつとなっています。

ロー&ロングの流麗なプロモーションが魅力の『FXSB ブレイクアウト』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲ロー&ロングの流麗なプロモーションが魅力の『FXSB ブレイクアウト』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

『FXSB ブレイクアウト』はフロント21/リア18インチのFXスタイルに、アグレッシブなドラッグバーや240mmのワイドタイヤを備え、流麗かつグラマラスなフォルム。

フロントに21インチタイヤを履く『FXSB ブレイクアウト』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲フロントに21インチタイヤを履く『FXSB ブレイクアウト』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

 骨格はショックアブソーバーを車体下に水平配置し、リヤサスペンションが備わっていなかった時代のシルエットを蘇らせたソフテイルフレームで、搭載するエンジンをツインカム96B(排気量1584cc)とするなど、基本構成はヘリテイジソフテイルクラシックと同様です。

ダイナファミリーの人気モデル『FXDWG ワイドグライド』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲ダイナファミリーの人気モデル『FXDWG ワイドグライド』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

 ツインショックのオーソドックスなリヤサスペンションを持つダイナフレームに、ツインカム96(排気量1584cc)を積むのがダイナファミリー。『FXWG ワイドグライド』はレイク角34度に寝かせたフロントフォークに、大径21インチホイールをセットするチョッパースタイルです。

 フレイムスのタンクグラフィックスをはじめ、両足を前方に投げ出すフォワードコントロールなど、ワイルドなスタイルに惚れ惚れするばかりでした。

フォーティーエイトでもフロリダを走った

スポーツスターの人気モデル『XL1200X フォーティーエイト』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

▲スポーツスターの人気モデル『XL1200X フォーティーエイト』。画像提供 ハーレーダビッドソンジャパン(磯部孝夫)

 唯一のスポーツスター『XL1200X フォーティーエイト』もあり、いま振り返れば人気モデルばかりの顔ぶれだったことがわかります。ただし、フォーティーエイトがデビューしたばかりの当時は、後に大ヒットへ至るという予感を抱く人はそれほど多くはなかった気がします。

 スポーツスターといえば、走りを重視したモデルで、サスペンションをロープロファイル化した機種はメインストリームではありませんでしたが、その唯一無二のスタイルが若者たちを中心に受け入れられ、人気は高まっていく一方。空冷スポーツスターが生産終了となるのと時期が重なったこともあり、最終モデルとなる『XL1200X フォーティーエイトファイナルエディション』(2022年)に、新車時からプレミアム価格がついたのは記憶に新しいところです。

 そんなハーレーたちも、現在は値ごろ感があり狙い目の中古車。当時の写真を眺めながら、つくづくいいなぁってボクは思います。

 というわけで、フロリダを走った7台のハーレーたちを今回はご紹介させていただきました。次回はアメリカンモーターカルチャーの聖地、デイトナビーチを走ったときの話となります。どうぞ、お楽しみに!

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