は~い! 日本唯一のツーリング専門誌「モトツーリング」(内外出版社)の編集ディレクター、マロ兄だよ。今回も、役に立つかどうかはわからないけど「ちょっと気になるよね?」って話題でForRに爪痕を残すつもり。

さて、やっと真冬が終わって一安心の今日この頃。オーバーパンツとしばしお別れなのはいいんだけど、それでも油断できないのが “強風”なんだよね。

バイクに乗っていて、もっとも怖いのが… 風

▲強風プラス雨という最悪な状況にあって「どうだ、怖いだろう?」とあおってくる倒木パイセン。キリングミーソフトリー…

 

長らくバイクに乗っているけど、何が一番怖いって、やっぱり“風”。もともとオフ車が大好きってのもあるけど、強風には最も弱いカテゴリーだからね。

●突然始まる「風が怖いバイクカテゴリー」ランキング
①オフ車(ビッグオフ含む)
②ビッグスクーター(特に高速道路で)
③セパハンのSS(カウル面積が大きい等)

やっぱりね、車重が軽いのに横風を受ける面積の多い車体はビビリ散らかすのよ。オフ車なんてスポークホイールなんだからスポークの間を風が流れるんじゃないと思うでしょ? ダメなんだよね、フロントタイヤからドーンと持っていかれる。

ビッグスクーターもスクリーンやカウルの面積が大きすぎて、前から後ろからあおられる。しかも足を前に出しているから踏ん張りを効かせにくい。セパハンSSの場合は、軽量かつカウルの面積が大きいので横風をくらうと簡単に瞬間移動できる(したくない)。

ボッチ取材ならではのセーフティ・ガイドライン

▲高速道路の吹き流し。45度で風速3~5m/s、90度で風速7~10m/s、90度以上で風速10m/s以上という目安なんだけど、怖いのは一瞬の突風なんだよね

 

でね、何が怖いって、メーカーさんから借りてる広報車に乗っているときの強風ほど怖いものはないのよ。しかも近年はBMW担当なんで、200~350万円くらいのバイクでボッチ取材。

よく「ひとコケいくら」っていうじゃない? まぁ立ちゴケ程度でも軽く数十万円よ。高速道路の走行中に突風でコケたら下手したらアレ(自主規制)なんだけど、まじめな話、修理代が払えなくて廃業かなって思ってる(笑)

自分のバイクなら「あー怖いよー」で済むんだけど、人さまのバイクってなるとそうはいかなくて、アドレナリンどころか、いやーな汗が出てきちゃう。

だからこそ、自分の中には強風に対するセーフティ・ガイドライン(安全指針)が確立されていて、だいたいこんな感じ。

●強風を考慮したセーフティ・ガイドライン
①気圧と地形
②風速5m/s(秒速5メートルの風)
③天候

これらを計画立案時、出発前はもちろんのこと、取材中にもちょいちょい確認してる。天候と風速は天気アプリで見られるし、気圧は天気図アプリの気圧配置図で、地形についてはGoogleマップのレイヤを「地形」に切り替えることで確認できる。

●低気圧と地形が強風や突風を生む
強風は低気圧の影響(気圧の差)で発生することが多いけど、気圧配置図だけでは見極めにくい。平均的な地上・海面の気圧は1013hPa(ヘクトパスカル)だから、ルート上の気圧がこれより低ければ要注意。ちなみに台風の気圧は980~800台後半。

地形はとても曲者だけどパターンもある。トンネルの前後や橋の上、ビルの谷間は強風スポット。一定の速度・量で吹いてくる風も、山の斜面や谷筋で束ねられたり、高層ビルで引き裂かれたりして “乱流”や“突風”になる。

これは冬場だけの話ではなくて、梅雨・秋雨前線など停滞前線が滞留するようなときは同じように強風が吹き荒れる。しかも長く吹き続けるので移動時間に影響を受けやすい。

●風速5m/sが安心できない理由とは?
風速チェックはもはやルーティンになっている。風速5m/sの表示があれば、冗談抜きで取材の延期も考えるよ。なぜなら風速5m/sは最大風速5m/sじゃないからね(笑)

天気アプリに表示される「風速」は10分間の平均的な強さを示している。あくまでも平均であって最大ではないので、瞬間風速では1.5~3倍の突風が吹く。風速10m/sなら車体が押される感覚がわかるし、風速15m/sだともうハンドルを持っていかれてしまう。

▲風速の確認画面。重要なのは色じゃなくて白い線の長さと移動方向。線が長いほど強風となる(「Yahoo!天気」アプリより引用)

高速道路は危険! 事前に天候・風速を確認

▲夜間の高速道路上は特に怖い。昼間なら木々の動きで前方の突風を予測できるけど、夜間はそれすら見えなくなる。情報がない中で突然あおられるとビビりまくる

 

なので、特に高速道路を使う際には、事前に天気アプリでルート上の強風ポイントを登録しておく。例えば東京インターから鈴鹿サーキットに向かう場合は次の5つ。

<東京から鈴鹿まで行く際の登録ポイント>
①川崎(神奈川県北東部)
 東名高速の多摩川前後の風を見るため
②沼津(静岡県東部)
 東名・新東名高速の御殿場~沼津間の風を見るため
③浜松北部(静岡県西部)
 新東名高速の天竜川前後の風を見るため
④長島(愛知県沿岸部)
 伊勢湾岸道の伊勢湾北部の風を見るため
⑤四日市(三重県北部)
 東名阪道の鈴鹿~桑名間の風を見るため

この5つを選んだのは、もう経験則としか言いようがない。中でも強風時の伊勢湾岸道はすさまじく、鈴鹿から東京へと戻る際、飛島ICで下道に下りるという緊急避難を過去2回も行っている。

その後はなるべく沿岸部の強風から逃げるように国道1号で東に進み、岡崎・豊川あたりから高速に乗りなおす。お金も時間も無駄にするけど、ひとコケ数十万円以上を回避できるなら安いものだよね。

伊豆半島でいうと、西伊豆のルーティングが重要

▲2020年7月の初め、ヤマハのテネレ700で取材中、西伊豆の風早峠で暴風に遭って3時間ほど動けなくなった。その間、バイクの横に座ってバイクを支えてたけど、3回前輪が浮いた。写真はバイクを押し歩きながら峠を越えた際の一枚

 

というわけで、強風による転倒リスクを避けるためには、ルーティングが重要なんだよね。伊豆半島で説明すると、低気圧下において、西伊豆の海岸線や稜線沿いを走ることはリスクが大きい。

稜線は山の尾根の最も高い部分で、駿河湾からの海風が天城山系の急斜面を駆け上がって強風となる。西伊豆スカイライン起点の戸田峠(標高730m)あたりで風が強いなぁと感じたら、スカイラインに進入するのはやめたほうがいい。そのまま南下を続けてしまうと、西天城高原線(県道411号線)の風早峠(かざはやとうげ)で地獄を見る可能性が高いんだよね(実際に見た)。

風早峠はその名の通り、年間を通して強風が吹くという激ヤバスポットだけど、低気圧が滞留している場合は暴風に襲われる。バイクに乗車したまま通過することは不可能だよ。

▲Googleマップのキャプチャに筆者加筆。南伊豆の国道136号で突風に襲われるのはリアス式海岸の影響も大きい

 

図のように、季節を問わず、風の強いときは西伊豆の海岸線や稜線を避けるようにルーティングする。中伊豆の国道414号で南下するのが最も安全なルートだけど、河津七滝ループ橋など強風にさらされる場所もある。それでも常時強風におあられながら突風におびえて走る海岸線や稜線沿いよりはマシなのだ。

▲テネレのミラーに止まって強風に耐えていたカマキリ君。お互い大変な目にあっちゃったね~

西伊豆・夕陽の名所、伊浜海岸に下りられず撮影を断念

▲伊浜漁港。伊浜海岸へは漁港の前の海岸沿いの道を通って行く。BMW R1300RTはこれぞツアラーといったバイク

 

ちょっと前の話になるけど、モトツーリング81号(2026年2月1日発売)のテーマが夕陽だった。西伊豆は夕陽の名所が多く、夕陽銀座といえるような海岸が続くんだけど、実はバイクと海を(セルフで)撮影できる場所は少ないんだよね。その中でも、観光客がほぼ訪れず、撮影のしやすい場所が伊浜海岸(南伊豆町)。

取材に訪れたのは2025年12月26日。バイクはフルパニアを装備した車重300kgほどのBMW R1300RT。乗り手や荷物を入れればほぼ400kgの移動体で、横風には強いほうだろう。

▲伊浜海岸で放し飼い?にされているニワトリたち。ニワトリと一緒に見る夕陽もいいもんですよ

 

複雑なリアス式の岸のせいで時おり強い突風にあおられつつも国道136号を南下し、「一町田」交差点から海岸に下っていったんだけど、海岸が見えたと思ったのもつかの間、暴風でバイクが大きくあおられる。とっさに「ヤバっ!」と思ってスタンドを立てて、バイクを止めて歩いて坂道を下り眼下に目を凝らした。遠くに見える海面は白波でひっかきまわされていて、海岸には水煙が舞っている。

「tenki.jp」の過去天気より2025年12月26日の天気図を引用。強い冬型の気圧配置となり、強烈な寒気が流れ込んで日本海側は暴風雪とのこと。なんでこんな日に… と思うけど、夕陽は晴天がマストだから仕方ないのねん。冬場の晴れと強風はセットなのねん(泣)

 

しばらく(30分ほど)待ったけど風はますます強くなる。夕陽を撮影する場合は日没1時間前には準備を終わらせたいんだけど、それも無理そう。かなり迷ったけど、その日の撮影はあきらめて松崎の宿に向かったんだよね。なお、宿に戻る際のルートは転倒のリスクを考えて県道121号線の蛇石峠(じゃいしとうげ)越え。舗装林道並みの狭路だけど、山の裏側だから強風がほぼ届かない。

で、翌日、風が収まってから再訪して撮影したのが、この写真(企画トビラ採用写真)。

引き返す勇気、道を選び直す勇気、高速道路を降りる勇気、こういったものは備えておきたいものだなぁと、マジックアワーのなかしみじみと感じた次第。バイクはバックができないけど(一部車種を除く)、ライダーにはそれができる。これも勇気なんだよね。

では、また次回!

 

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