ツーリングライダーの聖地、伊豆半島! 中でも伊豆市はライダーウェルカムの自治体として知られていて、その特色と言えばダート林道が多いこと。伊豆市の主な林道を連載形式で紹介する。
【掲載林道 一覧】
1. 林道 年川線(としかわせん)
2. ゴルフ場外周林道 ※名称不明
3. 林道 達磨山線 支線(だるまやません しせん)
4. 奥の院裏山林道 ※名称不明
5. 林道 土肥中央線(といちゅうおうせん)
6. 林道 上池線(かみいけせん)
7. 林道 滑沢線(なめさわせん)
8. 旧道天城越峠線
8. 旧道天城越峠線
【DATA(踊子歩道含む)】●延長距離:約6.2km(旧道天城越峠線4.1km+踊子歩道2.1km) ●ダート区間:約5.5km ●通過時間:片道25分~ ●走りやすさ:★★★★☆ ●絶景度:★★☆☆☆
【概要】昔ながらの天城越えの面影を残している国道414号の旧道(旧下田街道)をゆく。正確には“林道”という区分ではないが、ロングダートが楽しめるルートだ。天城山隧道(旧天城トンネル)で峠を越える旧道天城越峠線の区間は約4kmの走りやすいダートで、終点近くの分岐からは踊子歩道に走りつなぐこともできる。こちらも約2kmの走りやすいフラットダート区間だ。完全に通り抜けができ、有名な観光スポットでもあるので、全線を通してクルマやハイカー(歩行者)が多く、速度超過は厳禁! ゆっくり歩くように、ダート路面と天城の山々を楽しんでほしい。
今回は、国道414号「天城大橋」のたもとにある旧道天城越峠線の起点から入り、踊子歩道を経て再び国道414号に接続するまでを案内する。国道414号との接続口(出入口)は3か所もあるが、どれもわかりづらく通り過ぎてしまいがち。起点には国道標識のおにぎりマークも建っているが、奥まっていて見えにくいのだ。起点の向かいにある水生地下駐車場が目印だ。
さて、旧道のダート区間は起点からすぐに始まるが、固く踏みしめられたフラットダートで全く不安のないもの。オンロードバイクでも走っていけるが、しばらくするとワダチやえぐれた所も出てくるので正直オススメはできない。
起点からゆるやかに上っていくこと1.7kmほどで天城山隧道(旧天城トンネル)に到着。トンネルの手前は少し広くなっていてクルマが数台停められるくらいのスペースがある。トイレや観光案内板も設置されているので休憩スポットにも最適だ。なお、トイレは12月中旬~3月中旬の間は冬季閉鎖となり使えなくなるので注意しよう。
天城山隧道は明治37年(1904年)に完成し、川端康成の小説「伊豆の踊子」など多くの文学作品に登場するなどして親しまれ、平成13年(2001年)には道路隧道として全国で初めて重要文化財に指定されている。全長445.5メートル、幅員4.1メートルで、切り石巻工法で作られている。伊豆市の隣町である大仁町(現伊豆の国市大仁地区)の吉田石が使われている。ちなみに、完成当時は東伊豆にも西伊豆にもまだ海岸道路がなかったため、このトンネルができるまで、南伊豆一帯は陸の孤島だった。
トンネルの中には電灯も設置されているので真っ暗闇ではないが、かなり暗いのは確か。この中をハイカーや観光客が頻繁に歩いており、出入口では記念写真を撮る人もいるので注意して通ろう。なお、トンネルの真ん中あたりで伊豆市から河津町へと入る。
天城山隧道を抜けると、道はゆるやかな下り坂となり、約1kmほど進むと「寒天橋」が見える。石川さゆりが歌う「天城越え」の歌詞にも出てくるので、その名を聞いたことがある人は多いだろう。伊豆半島は天草(てんぐさ)の産地で、明治期から昭和初期にかけてこの付近に寒天工場があったことに由来するそうだ。
橋のすぐ近くには「日本の道100選 天城路」のプレートも設置されていた。なお、寒天橋のたもとから延びる道「寒天車道(下写真の右奥)」は“天城の瞳”とも称される八丁池へのハイキングコースにもなっているが、一般車両は通行禁止(ハイカー向けの路線バスのみ通行可)。うーん、残念!
寒天橋からの下りは綺麗な舗装路となり、約650メートル下ったところで分岐が現れる。そのまま真っ直ぐ進めば、目の前の国道414号に出られる。そして左にUターンぎみに曲がれば踊子歩道(下写真の右奥)に入ることができる。ダートを満喫したければ迷わず左折しよう。
踊子歩道に入らないなら、ちょっと直進すれば、すぎに国道414号(下写真の奥の道)に出られるぞ。
踊子歩道は「伊豆の踊子」で主人公らが歩いた天城路にちなみ、浄蓮の滝から天城山隧道を経て湯ケ野までを結ぶハイキングコースで、このダート区間もその一部となっている。
車両の通行も可能だが、ここでもハイカーやクルマには注意しよう。路面はフラットダートで走りやすいものの、抜けるような景観はほとんどなく、見どころや休憩場所には乏しい。ゆるやかに約2kmほど下っていくと国道414号にぶつかって終了となる。ここで左に曲がれば河津方面、右に曲がれば沼津方面だ。
旧道天城越峠線と踊子歩道を走りつなげば5km以上のダート走行が楽しめる。人もクルマも多いので山奥に入っていくような怖さはないし、林道ビギナーにもオススメできるルートだ。
【起点】国道414号沿いなのだが、とにかくわかりにくい。あらかじめ目的地設定しておいたほうがいいだろう。「水生地下駐車場」か「天城大橋」がわかりやすいだろう。また、沼津方面から来た場合は、左カーブの立ち上がりに位置しているので、けっこう危ない。減速・進入する際は、車間距離を詰めてくるような後続車両からの追突にも注意しよう。
【終点】非常に狭い入口の起点と違って、踊子歩道の終点は広々としている。国道414号のカーブとカーブの間の直線区間に接続されている。写真の奥が河津方面、手前が沼津方面だ。
【ハイライト動画(踊子歩道含む):約3分】起点から終点へ(2021年11月当時)