栃木県那須高原のふもとにある「那須モータースポーツランド(MSL)」では、バイクに関する様々な楽しみを享受できる。今回はその一つである「トライアル」を初体験してみた。目標はフロントアップだけど、果たして時間内にできるのか?

那須MSLには珍しいトライアルの施設まである

那須MSLでは、「ライテクUP講座」でお送りしてきた「那須MSLライディングスクール」「那須MSLライディングカレッジ」といった講習のほかに、多彩なサービスやメニューが用意されている。
中でも珍しいのがトライアルを楽しめる「那須MSLトライアルパーク」だ。ご存じのとおりトライアルは、タイムを競うのではなく、障害物をいかに上手くクリアできるかが重要な競技。速さではなく、「技」が問われる。

このトライアルを練習できる施設は珍しいが、那須MSLのトライアルパークでは、ビギナーから上級者まで満足できる様々なセクションを設置。レンタル車両や装備も揃っているのだ。

↑「那須MSLトライアルパーク」は2016年にオープン。タイヤ、階段セクション、土管など10のセクションがある。詳細は那須MSLのHPまで。

トライアルパークを走行するには、サーキットと同様、まずはライセンスを取得する必要があるが、1日で取得から走行まで可能だ。ライセンスを取得するには近くのレッドバロン店舗で事前に申し込みが必要。料金に関しては下記のとおりだ。ライセンスの有効期間はレッドバロン会員は制限なし。レッドバロンで購入した車両を所有している限り、ずっと有効というのは嬉しい。

  レッドバロン会員 一般
ライセンス講習受講料 3,000円 3,000円
年会費 無料 5,000円
走行料金(半日) 500円 1,000円
走行料金(全日) 1,000円 1,500円
車両レンタル(半日) 3,000円 3,500円
車両レンタル(全日) 5,000円 6,000円
装備品(半日・全日共に) 500円 1,000円

※装備品はヘルメット、グローブ、プロテクター(肘、膝)のセット。

↑レンタル車両はガスガスのRANDONNE125、スコルパのTY-S125Fなどを用意。こちらも事前予約が必要だ。走行可能な車両はトライアル車のみで、オフロード車やモトクロッサーは走行不可だ。

基礎であり、最重要の「バランス」から練習

筆者はトライアル初体験で、オフロード走行の経験もほとんどない。講習ではUターンや坂の上り下り、フロントアップなどを練習する。自分なりの目標はフロントアップのマスターだ。

取材時は那須MSLの竹内支配人がレクチャーしてくれた。まず座学講習(10~15分)を受けて、基本的なマナーや注意事項を学ぶ。
ヘルメットはジェットタイプ以上で、JISのC種、スネルなどの規格をクリアした製品が必要とのこと。グローブは必ず着用し、靴はハイカットシューズでもいい。つまり、ウエアはツーリングウエアでもOKなのだ。こう考えると意外と参加へのハードルは低い気がする。

↑長袖、長ズボン、グローブを着用(サンダル等は不可)。ヘルメットはジェットまたはフルフェイスが必要だ。筆者はヘルメットとプロテクターをレンタルした。


その後は1時間程度の実技走行だ。
「実技はかなりヘトヘトになります」と竹内支配人。初体験の上に体力に自信がないのでちょっとビビる(笑)。

まずはスタンディングでバランスを取る練習。障害物を越えたり、坂の上り下りなど様々な局面でバランスが取れないと車体が安定しない。そもそもトライアルの競技では足を地面に着くと減点になるので、バランスはとても大事だ。

「これが一番難しいんです」と竹内支配人。
「1日2日の練習で習得するのは厳しいですが、練習は必ず最初の第一歩が必要なのでぜひやってみましょう」と励ましのお言葉もいただく。

というわけでトライ。停止状態でブレーキをかけてステップの上に立ち、倒れないようにバランスを取る。これを「スタンディングスティル」という。
利き足と反対側にハンドルを切り(右利きの場合は左にハンドルを切る)、体重移動とハンドルの微調整でバランスを取る。ハンドルはフルに切ったままでも、真っ直ぐのままでもOK。やりやすい方法でバランスを取ればいい。

↑まずスタンディング。フロントブレーキをかけてステップの上に立つ。視線はタイヤの先端に置く。これを続けると少しずつバランスが取れるようになる。


肩の力を抜いてなるべく足でバランスを取る。このテクニックはオンロードとも似ているけど、オンでは主にニーグリップでバランスを取るのに対し、トライアルでは両足の裏や下半身で細かくバランスを取る。理論的には、例えばバイクが左に傾いたら、右足を踏み込んで右側に車体を振って倒れないようにするのだ。

また、体幹を使うのも大事。ヘソの下あたりにボールがあることをイメージし、これをバランスさせるようにイメージしていくといいとのこと。

……実際にやってみると難しい! なかなか両足をステップに載せた状態をキープできず、3~4秒で足を着いてしまう。

障害物を前輪に当てるとあらビックリ!

悪戦苦闘しているうちに「実は裏技があるんです」と竹内支配人がニッコリ。
前輪をカベやブロックなどの障害物に当てると、バランスが取りやすくなるという。なぜバイクが立っているのか体で感覚がつかめるようになり、慣れると小石やわだちをきっかけにスタンディングできるそうだ。

さっそくブロックを前輪を当ててスタンディングすると、安定感が段違い。2~3回も試すと車体がピタリと静止できるようになった!

↑これが裏技。フロントタイヤをブロックなどに当ててスタンディングする。

 

↑バイクが立つ力を邪魔しないようにバランスさせると安定する気がする。カメラを見る余裕まである!

ステップを踏み込んでターンしていく!

続いては、スタンディングを活用したターンの練習だ。2速で下半身をメインに使って曲がる。ハンドルを手で切って曲がるのは簡単だけど、練習になるのは下半身を使ったターンだ。

行きたい方向のステップを踏み込むとバイクが傾き、前輪にセルフステアがつく。ここでクラッチとスロットルで駆動をかけて曲がるのだ。
ステップを踏み込みすぎると倒れてしまうので、逆の足で倒れないようにリーンアウトで支える。このように足の裏でバランスを取りながら曲がっていく。

クラッチやブレーキの操作は指1本で行い、他の指はグリップを握る。衝撃で指が離れると危険だからだ。ただし、ずっと指1本でレバー操作するのは握力が厳しく、数十分で腕がパンパンになってしまう。そこで、8の字やUターンなど行動を起こす時だけ指1本といったようにメリハリをつけると疲れにくい。

軽く2~3周コースを走ってみる。半クラッチのつながり具合とスロットルのパワー感を確認しながら走行。ここで違和感が。シフトペダルがやたらと遠いのだ。しかし、これは「足がペダルに当たってギヤが抜けてしまうのを防ぐため」なのだそうだ。
その後、ゆっくりとパイロンスラロームを行う。

↑竹内支配人のお手本。曲がる側の足を踏み込み、スロットルとクラッチを使って遠心力で曲がる。曲がったら逆の足を踏み込んで車体を起こす。

 

↑筆者。腰が引けているが、何とか曲がっている。行きたい方向のステップをギュッーと足の裏でねじ込むと、膝も進行方向を向いて曲がりやすい。


何周かすると慣れてきたけど、かなりの運動になる(笑)。オンロードの8の字やスラロームよりも身体を使うためか、既にうっすら汗をかいている。

いよいよ後編では坂とフロントアップに挑戦。大苦戦することになるのだが、果たしてどうなるか? お楽しみに!

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