レッドバロンによる"絶版車を安全に乗るための取り組み”を探るシリーズ。レッドバロンの「パーツ保証」によってコンディション好調な絶版車をめとめて試乗した。今回はネイキッド編をお送りしよう!

取材協力:ヤングマシン

多彩な絶版車がコンディションを維持している

レッドバロンでは最長3年間、中古車にパーツ供給を含む修理体制を維持する「パーツ保証」を付帯している(パーツ代・技術料は有償)。その仕組みを2回にわたって探ってきた。

部品が生産終了した不調バイクに乗ってみた【レッドバロン「パーツ保証」の秘密を探る! 前編】

本社工場に潜入! 絶版パーツをストックする巨大システムを探った【レッドバロン「パーツ保証」の秘密を探る! 中編】

店頭に展示されている中古車は、基本的に全て状態が良好。その品質は豊富なパーツストックと高度な整備技術、充実の設備に支えられている。

それを証明するため、排気量を問わず多種多様な試乗車がプレス向けに用意された。今回は前回のフルカウル編に続き、ネイキッドのインプレをお届けしよう。

XJR400 [YAMAHA '93年型] ヨンヒャクながら鉄の塊感アリ、とにかく渋い

[車両解説]
ネイキッドブームに沸く’93年、ヤマハ空冷4発の名車=XJの名を継いでデビュー。カワサキのゼファーと同様に空冷直4エンジンを搭載するが、よりスポーティなキャラクターを持つ。

ゼファーがDOHC2バルブで46psだったのに対し、DOHC4バルブで53psを発生。大径φ41mmフロントフォークなどの足まわりも充実していた。

かつては買いやすい中古相場を形成していたが、空冷直4人気に後押しされ、近頃は価格が高騰している。

■空冷4スト並列4気筒399cc 53ps/11000rpm 3.5kg-m/9500rpm ■装備重量195kg

[ミニインプレ]
無骨。ヤマハと言えば優雅なデザインが特徴だが、ワルっぽい雰囲気が実にカッコいい。試乗したのは初代の'93年型で、走行距離は2万4800kmとさほど距離が進んでいない。

とはいえ、既に30年落ちなので、どんなコンディションなのかなと思ったら、しっかり高回転域まで吹け上がる。ズオオッといったフィーリングが迫力十分。ゼファーより軽い車重のはずなのに押し引きや倒し込みではズシリとした手応えがある。

出力特性は、中回転域で若干の谷があるものの、そこからは二次曲線的に吹け上がって爽快。昔乗っていたゼファーよりレスポンスに優れていると思う。また、ミッションがクロス気味で、頻繁にギアチェンジして高回転まで回すほどパワーが絞り出せる特性なのが楽しい。

ハンドリングも素直で、特に直進安定性が優秀。ちなみに試乗車はリアサスのスプリングを変更しているが、マフラーなどはほぼオリジナルを保っている貴重な車両だ。

ZRX1200DAEG [KAWASAKI '09年型] 豪快さの中に従順さを併せ持つ

[車両解説]
往年のZ1000R=ローソンレプリカを彷彿とさせる角型フォルムとビキニカウルを与えられたビッグネイキッド。

初代ZRX1100は’97年型でデビューし、’01でZRX1200に進化した。’09で登場した「ダエグ」はZZR1100を祖とする1164cc並列4気筒をFI化し、シリンダーヘッドなどを新設計。軽量&高剛性なスチール製ダブルクレードルフレームは先代を継承しつつ、フルアジャスタブルのφ43mmフロントフォークや新設計スイングアームで強化した。

車名の「ダエグ」とは、欧州のルーン文字で「着実な成長」「進歩」「終わりと始まり」などの意。ZRX1200シリーズの第二世代を意味し、集大成と言える存在だ。2016年に発表されたファイナルエディションで殿堂入りとなった。

■空冷4スト並列4気筒1164cc 110ps/8000rpm 10.9kg-m/6000rpm ■装備重量246kg

[ミニインプレ]
外観も走りも硬派な印象で、まさに「漢カワサキ」を体現した直4ビッグネイキッド。エンジンは右手の動きにリニアに反応し、回転域を問わずゴリゴリと豪快に吹け上がる。出力特性はフラットなので気難しさはあまりなく、実に気持ちのいいエンジンだ。

基本的にハンドリングはしっとり安定志向でニュートラル。一方、低速コーナーでは鋭く曲がり、Uターンなどの小回りも得意だ。巨体でトルクフルなCB1300よりコンパクトな車体と扱いやすい特性のため、一段とスポーティさが際立つ。ワクワク感と扱いやすさが同居しており、乗っていて楽しい1台だ。

生産終了は'16年。メーカーのパーツ供給義務期間が約7年とすると、そろそろ欠品パーツが出ても不思議ではない。

CB400SF [HONDA '09年型] ミドルの名車、凄まじいまでの熟成度

[車両解説]
400ccネイキッドを代表する1台として、’92年の初代以来、大人気を獲得したロングセラー。教習車としてもおなじみで、お世話になった人も多いはずだ。

CB-1譲りのDOHC4バルブ水冷4気筒エンジンは、’99年型でバルブ休止機構のハイパーVTECなどを採用し、当時の排ガス規制に適合した。‘08年型でハイパーVTEC REVOを搭載した新エンジンになったタイミングでFIを導入。度重なる排ガス規制をクリアしてきたが、令和2年規制には対応せず、’22年型で30年の歴史に幕を降ろした。

■水冷4スト並列4気筒399cc 53ps/10500rpm 3.9kg-m/9500rpm ■装備重量194kg

[ミニインプレ]
ビギナーからベテランまで楽しめる懐の深さを持ち、ここまで日本の道路事情にジャストフィットしたバイクは類を見ないと思う。

今回の試乗車でも、抜群の扱いやすさに改めて感心した。車体は4気筒ながらコンパクト。’09年型の車重は194kgで、圧倒的に軽いわけではないのに自由自在に操れる。

エンジンは右手の動きに従順に反応し、のんびり走りたい時もスポーティに攻めたい時もきっちり応えてくれる。2バルブを使用する低回転域ではトルクが力強く、4バルブが作動する回転域まで引っ張ると違和感なくVTECが作動。高周波サウンドを伴って、伸び上がるのがキモチイイ。

走りの根底には常に「ベーシック」「普通」がありながら、様々な走りに適応してくれる。これは'92年から続く熟成の成果だろうが、本当に凄いことだ。つくづく生産終了が惜しまれるが、レッドバロンのパーツ保証があれば中古車でも末永く活躍してくれるだろう。

以下、次回に続く!

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