時は2001年、夢と希望に満ちあふれた(!?)21世紀が到来してすぐ、カワサキはビッグバイク版「ZRX」を全面刷新いたしました。パッと見の印象だけだと「エンジン排気量をチョイと拡大しただけでしょ?」と侮っていた筆者。その内容を知るほどに震えが止まらなくなるほどの衝撃を受け……(^^ゞ。「ZRX1200R/ZRX1200S」堂々の降臨ッ!

ZRX1200カタログ

●2001年型カワサキ「ZRX1200R/ZRX1200S」カタログより表紙の写真。プロのライダーによるサーキットでの激走写真をドド〜ンと全面に押し出す勢いが、ともすれば叙情方向に流れがちなネオレトロ系ビッグネイキッドとは一線を画すところ。実際、カワサキの公式見解も「(ZRX1100系)より高い走行性能と自在に操る楽しさを備えたロードスポーツモデル、それがZRX1200シリーズです」と明言。クローズドコースでのスポーツ走行さえ存分に楽しめるポテンシャルが標準装備されていました!

 

 

カワサキZRXという好漢【その5】はコチラ!

 

カワサキZRXという好漢【その7】は今しばらくお待ちください m(_ _)m

 

兄貴分ZRXの第二章は21世紀の幕開けとともにスタート!

 

 

イヤハヤもはや四半世紀も前のことですか、2001年のあれやこれや……。

 

 

小泉純一郎政権が発足し、アメリカ同時多発テロ事件が起こり、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)が開園し、埼玉スタジアムと札幌ドーム(現:大和ハウスプレミストドーム)が完成した平成13年。

千と千尋の神隠し

●日本において2001年の映画といえば、2位の『ハリーポッターと賢者の石』を興行収入で100億円以上引き離してブッチギリの1位、316.8億円を叩き出した『千と千尋の神隠し』に尽きるでしょう。あれから四半世紀が経った令和の現在でも歴代興収ランキングの第3位ですよ(ワン・ツーはご存じキメツ……)。アナタは誰と観に行きましたか? あ、生まれていない方も多いですよね。そんな時節にZRX1100は1200へと転生ッ!

 

 

1996(平成8)年9月の二輪車運転免許制度の改訂によるビッグバイク免許取得者の増加に伴い、依然として根強い人気を維持していた大排気量エンジンを搭載する各ジャンルのモデルたち……。

フルカウルバイクに乗るライダー

東大入試より難しい!?とも揶揄された試験場での一発試験だけでなく、至れり尽くせりな教習所で取得できるようになったビッグバイク免許。そりゃあ諦めていたライダーにとって望外かつ福音な出来事でありました

 

 

クルーザー、スーパースポーツ、メガスポーツ、ロングツアラーなどにもそれぞれ人気が集まるなか、やはり最大勢力を成していたのが日本特有(?)ガラパゴス的成熟を果たしたネオレトロ系ビッグネイキッド軍団でした。

2001_GS1200SS

2001年1月に登場したスズキ「GS1200SS」。スズキ自ら「耐久レーサーのイメージをファッションの一つとして街中で楽しむストリート系ビッグバイク」と言い切ってしまったチャレンジングな1台。広告のキャッチコピー「男のバイク。」は、今どきの風潮ではとても使えないであろう尖りっぷり。時代がようやく追いついて、今ではメチャクチャ人気が高くなっており筆者、ビビってます……(^^ゞ。スズキはいつだって20数年早い!?

 

 

ホンダは「CB1300SF」、ヤマハが「XJR1300」、スズキも「GSX1400」を投入して覇を競うなか、カワサキはネオレトロビッグネイキッドのド定番「ゼファー1100」を継続しつつ2001年3月、「ZRX1100/ZRX1100-Ⅱ」をフルモデルチェンジした「ZRX1200R/ZRX1200S」を世に問いました! 

ZRX1100

●2001年3月に登場したカワサキ「ZRX1200R」……アレ? 間違えた! こちらは2000年型「ZRX1100」でした〜(わざとらしい)

●はい、こちらこそ2001年型カワサキ「ZRX1200R」です。1164㏄となった水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブエンジンは最高出力100馬力/8000回転、最大トルク10.4㎏m/6000回転を発揮! シート高790㎜は1100と同数値、タンク容量は1ℓ減って19ℓに。乾燥重量は1㎏増の223㎏とスペック上の差違も本当に少しだけ……。ビキニカウル版のデザインは非常に好評だったので変える必要がなかったのですね

 

 

「新旧で見分けがつかないよ……」はカワサキの狙ったとおり!

 

正直、ビキニカウル仕様の広報写真だけをペロッと渡されたときは新旧の差がサイゼリヤの間違い探しレベルで、ルーペでのぞき込んで見比べているうちドッチがモデルチェンジ版なのか分からなくなってきたほど(いやもちろん、サイドカバーの車名ロゴを凝視すれば一目瞭然ですけれど(^^ゞ)!? 

ルーペを眺めるひと

●2001年といえばまだメーカーからの広報写真がポジフィルムで郵送にて送られてきていた時代(今はもちろんネット経由のデータ画像ですが)。当時、徹夜オーケーだったバイク雑誌編集部で「どれどれ……」と封筒から取り出したポジフィルムをのぞき込む作業は楽しかったなぁ〜(遠い目)

 

 

ボア76㎜・ストローク58㎜で1052㏄だった水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンはボア79㎜・ストローク59.4㎜とされ、総排気量は112㏄も増えた1164㏄へと大幅にスープアップ!

 

 

スーパースポーツNinjaシリーズ同様のメッキシリンダー(耐摩耗性と放熱効果に優れる)が採用されており、軽量&コンパクトさと優れた耐久性を高い次元で両立~ッ。

2001年型ZRX1200Rカタログメカページ1

●2001年型カワサキ「ZRX1200R/ZRX1200S」カタログより。解像度を通常よりちょいと上げた写真にしておりますので、開発陣の熱い思いのこもった説明文をクイクイッと拡大して読んでみてくださいね〜

 

 

エンジンヘッドや腰下にも細かな改良が加えられるとともに、21世紀を走るモデルとして厳しい排ガス規制に対応するためのアイテムも投入されたのです。

大気汚染イラスト

新設計エンジンに装備された「KLEEN」(Kawasaki Low Exhaust Emission system)は、「KCA」(Kawasaki Clean Air=排気ポートに新気を導入して排気ガスを再燃焼させる機構)と「パイプ触媒」(プラチナとロジウムを挟み込んだ筒状の触媒)の組み合わせで、排出ガス中の一酸化炭素や炭化水素などを低減し、当時の国内二輪車排出ガス規制にしっかり適合!

 

 

妙ちくりんなピークパワーの自主規制とやらがまだあった時代でしたので、100馬力という最高出力こそ1100時代と同じながら、最大トルクは9.8㎏mから10.4㎏mへグッと力強くなりました。

 

熱い走りを支える骨格は同じように見えて全く違うモノ……

 

そんな強心臓を包み込む車体も全面的にブラッシュアップされており、メインとなるスチール製ダブルクレードルフレームは細かく各部剛性の最適化が図られるとともに、ZRXのアイコンでもあるトラス構造のアルミスイングアームはパイプの断面形状を刷新(数少ない新旧識別ポイントに(^^ゞ!?)して新設計

ZRX1200カタログメカ部分

●2001年型カワサキ「ZRX1200R/ZRX1200S」カタログより。フロントブレーキに採用されたTOKICOの6ポットキャリパーが金色に光り輝いておりますね〜。あ、ポジフィルム風の処理がなされたポートレートも時代を感じさせます

 

 

400と同じ数値だったホイールベースは15㎜延長されて1465㎜となっておりました。

 

 

細かな調整が可能なフルアジャスタブルタイプの前後サスペンションしつこさで定評のある川崎重工業テストライダー陣が実走テストを繰り返し、魂を込めてセッティングしたもの。

 

 

170/60ZR17だったリヤタイヤは180/55ZR17へとワイド化され、リヤビューの迫力が増すという副次的効果も獲得したのです(笑)。

 

高速巡航時の快適さを向上させるフレームマウントの風防仕様!

 

そしてそして……忘れてはならない重大事件はハーフカウルを装着した「ZRX1200S」が同時に登場したこと! 

 

 

ビッグネイキッドから派生したハーフカウルモデルといえば、1996年にスズキ「GSF1200S」とヤマハ「XJR1200R」相次いでデビューしており、特にスズキのGSF-Sシリーズは1200のみならず600版も欧州で高い人気を獲得し、後継となるモデル「バンディット」ではハーフカウル版がメインの機種となるほど……。

バンディット1200S

●2000年3月に登場したスズキ「バンディット1200S」(詳細は前回の文末にあり)。このスタイリング……というか基本理念が欧州でバカウケ、日本でも着実にファン層を広げていきました

2002年FZ1000フェザー

●2001年に欧州向けモデルととして登場したヤマハ「FZS1000 FAZER(フェザー)」。あ、写真は2002年モデルッス。上のバンディットと同様のコンセプトですが、なんでヤマハが作るといちいちカッコいいのか(個人の感想です(^^ゞ)。ちなみに北米向けは「FZ1」という名前で販売されており、逆輸入車が日本に導入されましたね。マイナーですけど超絶名車なんです!

 

 

カワサキもかくいう機運を敏感に察知して開発を進め、欧州へ投入するだけでなく国内にも導入してみたのでしょう(なお、1100時代に「ZRX1100-Ⅱ」として販売されていた丸目一眼バージョンは「ZRX1200」という車名をいただきつつ存在しており、主に欧州へ輸出されていたのだとか)。

ZRX1200

●完成はしていたものの日本市場へは登場しなかった「ZRX1200」……

 

 

前回紹介したとおり、当時カワサキと契約していたイケメンレーサー井筒仁康氏を全面的にフィーチャーしたカタログでも「ZRX1200S」は非常に大きく扱われており、ローソンレプリカたるビキニカウル版「ZRX1200R」と並び立つ柱に育てたいという思惑がひしひしと感じられたものです。

2001ZRX1200カタログ井筒紹介

●2001年型カワサキ「ZRX1200R/ZRX1200S」カタログより。本来は見開きでドド〜ンと「ZRX1200S」を駆る勇姿が展開しているのですが、井筒氏のプロフィールが掲載されている右半分のみ掲載 m(_ _)m。フレームマウントの立派なカウルを装着しているため乾燥重量はビキニカウル版より4㎏重い227㎏。当然、前後サスペンションのセッティングは「ZRX1200S」専用のモディファイが加えられました。税抜き価格は99万円。ビキニカウル版が96万円でしたので3万円しか差がなかったのですね〜

 

 

はたして、かくいう願いは成就したのか……!? 

 

 

次回はそのあたりの顛末も含め、混迷を深める2000年代中盤のビッグバイクバトルを俯瞰してまいりましょう。

400のZRX

●なお、400版の「ZRX/ZRX-Ⅱ」も2001年型で排出ガス浄化システム「KLEEN」を搭載。高い人気を維持していきました!

 

 

あ、というわけで21世紀に生まれてきたビッグバイクたちはネイキッドならずともメカニズム的に完成の域へ達しておりますので選んで安心! レッドバロンの『5つ星品質』中古車ならアフターサービスや補修パーツの備えも万全なので、ぜひお近くの店舗で狙いの車種をチェックしてみてくださいね!

 

 

カワサキZRXという好漢【その7】は今しばらくお待ちください m(_ _)m

 

カワサキZRXという好漢【その5】はコチラ!

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