2000年いっぱいまでの20th Century……。世紀末に向かって消費税は3%から5%に上がるわ(1997年4月~)、厳しい排出ガス規制の影響により2ストスポーツモデルが一掃されるわ、平成不況がどんどん深刻化するわで大変な騒ぎに~!? そんななか400&1100の「ZRX」ブラザーズは様々な施策で魅力を維持し、存在感を増していきました!

●1999年型カワサキ「ZRX/ZRX-Ⅱ」カタログ表紙より。赤ローソン(?)とも言われたファイアクラッカーレッドがなじんでいますね〜。もちろんビキニカウル版のもう1色は前年初登場したライムグリーンです。ノンカウル版の「ZRX-Ⅱ」は、この年キャンディパーシモンレッドとメタリックミッドナイトパープルの2色を用意。ともにラインも入っていないソリッドなカラーリングで勝負していました。……丸目一灯ヘッドライトに砲弾型2連メーターカバーさらに丸型ウインカーと、ここだけアップで見てしまうと「ゼファー(χ)」を想起しちゃいますね、やっぱり(^^ゞ
カワサキZRXという好漢【その6】は今しばらくお待ちください m(_ _)m
Contents
1998年モデルで大規模な改良を受けた「ZRX/ZRX-Ⅱ」!
すみません m(_ _)m……。
前回、最後の最後にヨンヒャク「ZRX」のライムグリーン版をサラリと紹介したのですが実はその1998年型、デビューから4年経っての大幅な改良が施されていたのですね(内容はノンカウル仕様「ZRX-Ⅱ」も同様)。

●1998年型カワサキ「ZRX」。単色カラーでデビューしたのが1994年。1996年型では印象的なラインが外装パーツに入ったものの色は黒と銀……。そしてようやくファン待望のローソンレプリカ然としたライムグリーン「ZRX」が400㏄クラスに登場いたしました。それを記念してか(?)完成度を高める各部のブラッシュアップを敢行!
改めてここで紹介していきますとカタログで大きく訴求されていたのが、フロントブレーキキャリパーの4ポット→6ポット化(400㏄クラスでは初採用!)。

●1998年型カワサキ「ZRX/ZRX-Ⅱ」カタログより。とてつもない文字の比率で「6ポット」と……。このアングルだと特徴的なアルミ製トラス構造スイングアームの上に覆い被さるアルミサイレンサーが非常に目立ちますね〜
カタログ内の解説文には「微妙なタッチでコントローラブルかつ強力なストッピングパワーを獲得した」とあります。

●1998年に導入されて以来、2008年の最終型まで採用され続けたフロントブレーキのTOKICO製6ポットキャリパー。精悍な雰囲気を醸し出す視覚的効果は抜群でありました
高い定評を得ていた走りをグレードアップさせる改良の数々!
パワーユニットは新たにK-TRIC(カワサキ・スロットル・レスポンシブ・イグニッション・コントロール)が導入され、エンジンのスロットル開度とクランクシャフト回転数を検知し、常に最適の点火時期とすることで安定したパワーと加速力を実現!
さらに二次減速比を見直すことにより、街中での乗りやすさを向上させてきました。
そして外観上でも従来型と大きな違いとなったのがマフラーで、兄貴分の「ZRX1100/ZRX1100-Ⅱ」に準じる右側1本出しのセパレートタイプを新採用。

●1998年型カワサキ「ZRX/ZRX-Ⅱ」カタログより。従来のガス排出口がメガホンタイプなマフラーもシュッとしていてカッコよかったものの、サイレンサーカバーのアルミ地が白く鈍く輝くこのタイプも甲乙つけ難し……。なお、二次減速比は初期型の2.866から、このモデル以降2.800へ変更を受けました
デザインをグッと引き締めるアルミサイレンサーが目を引いたものです。
さらにさらに、この年式からラジアルタイヤが導入されたのもニュースとなりましたね~。

●デビューした1994年型から1997年型までフロント110/80-17、リヤ150/70-18のバイアスタイヤだった「ZRX/ZRX-Ⅱ」は1998年型からフロント110/70R-17、リヤ150/60R-18のラジアルタイヤへと換装。扁平率が変わったことなどにより車体スペックも微妙に変化しており、シート高は785㎜→780㎜、最低地上高は120㎜→105㎜、キャスター27°は不変ながらトレールは114㎜→105㎜……etc(写真の車両は1999年型「ZRX-Ⅱ」)!
大きく手が加えられ完成度を高めた「ZRX/ZRX-Ⅱ」は、このまま20世紀を駆け抜けていくこととなったのです。

●20th Centuryのどん詰まり、2000年型として登場してきた「ZRX-Ⅱ」のメタリックノクターンブルー。角Zの代表格である1979年型の「Z1000 MK.Ⅱ」や「Z1R-Ⅱ」、「Z750FX」を彷彿とさせる金ラインが燃料タンクとテールカウルに施されており往年を知るファンは感涙モノ……

●1979年型カワサキ「Z750FX」……2000年型「ZRX-Ⅱ」がこのカッコよさを狙っていないとは絶対に言わせません!
駄菓子菓子! ライバルも魅力を爆上げさせてきて……!?
ただし、生き馬の目を抜くヨンヒャクネイキッド界隈……。
ヤマハはすでに高い人気を博していた「XJR400R」に対し、1998年6月ビッグマイナーチェンジを敢行!

●1998年型ヤマハ「XJR400R」。いや、下で紹介している1300と実車を見比べるとそりゃあ小ぶりなのですけれど、広報写真で見る限りでは「どっちが1300やねん?」と脳がバグってしまいそうな各部の形状と高級感……。ちなみに「XJR400R」は1993年に発売された「XJR400」の上級モデルとして1995年2月にデビュー(「XJR400」は翌1996年まで併売されていました)。1998年に最初の大改良を受けた「XJR400R」は外装パーツを一新しタンク容量は従来の18ℓから20ℓへ。メーターなども大幅に洗練されたのです
「XJR1300」と見紛うような威風堂々スタイリングを世に問います。

●400に先立つこと3ヵ月……従来の1200から排気量を拡大して1998年3月に登場していたヤマハ「XJR1300」! 排気量アップによって当時の自主規制値いっぱいとなる最高出力100馬力へ到達した空冷エンジンを全面的に見直された車体へと搭載。燃料タンク容量は21ℓでした。ちなみにこちら、2000年のビッグバイク登録台数ナンバーワンの座を見事に獲得しております
負けてはならじとホンダも1999年2月、「CB400 SUPER FOUR HYPER VTEC」を繰り出してユーザーのドギモを抜き、世紀末400㏄クラスバトルはますます激しさを増していきました……。

●「そっちがローソンなら、こっちはスペンサーじゃ!」とばかり、ロードレース界のレジェンド、フレディ・スペンサー氏がAMAスーパーバイクで駆ったレースマシンを彷彿とさせるシルバー+青ライン仕様も含め1999年2月に発売されたホンダ「シービー ヨンヒャク スーパーフォア ハイパー ブイテック(試しにカタカナで書いてみると長いなぁ。しかし、この後のモデルはさらに……(^^ゞ)」(詳細はコチラを要チェック!)。このカラーリング、最新の「CB1000F」でも使われていますねぇ。翌年にも細かな改良が施された成果か、2000年の400㏄クラス登録台数ナンバーワンを獲得しております

●今に続く伝説の起点となったホンダ「CB750Fデイトナレーサー」。こちらの詳細ほか俗称スペンサーカラーをまとったモデルを数多く網羅した記事はコチラ!
ベストセラーになれそうでなれない「ZRX1100」シリーズ……
片やビッグネイキッド市場へ目を向けると、リリースされたのが1997年だったこの記事の主役「ZRX1100/ZRX1100-Ⅱ」は、1998年モデルで待望のライムグリーンを登場させて以降、

●1998年型カワサキ「ZRX1100」……ホイールベースが400版と同じとは思えない(全長も45㎜長いだけ)威風堂々っぷりが全身から漂っておりますなぁ……。シート高も400比で10㎜高いだけという790㎜に抑えられてており跨がった瞬間、スッと馴染む感覚は出色の出来映えでありました!
毎年細かなカラーリングチェンジが施されるだけで2000年型まで大きな仕様変更を受けることなく継続発売。

●1999年モデルのライムグリーン……。紺と白のラインが上下逆転してホイールもライムグリーン!

●1999年型のエボニー×パールコスミックグレー……。ええのう〜。なお、このモデルからメインスイッチがいたずらを抑制するタイプに変更されました

●2000年型ライムグリーン……ライン配色は前年版を踏襲しつつ、ホイールが黒になっている〜

●2000年モデルとして登場したキャンディライトニングブルー。これまた痺れる色ですな〜〜。なお、乾燥重量は222㎏
対するライバル、ヤマハ「XJR1300」とホンダ「CB1300 SUPER FOUR」も魅力的な車体色導入と矢継ぎ早な細部改良で強さを発揮して、

●1999年型ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」のフォースシルバーメタリックは言わずもがななスペンサーカラー! なお、この年のモデルからフロントとリヤサスペンションにプリロード(初期荷重)調整機構を装備し、減衰力もフロント/伸び側無段階、リヤ/伸び側・圧側それぞれ4段階で調整できる機構を採用! また、新たにセンタースタンドまで標準化してメンテナンス性にも配慮……(乾燥重量は249→251㎏へ)。ユーザーのニーズに寄り添った甲斐あってか1998年、1999年の2年連続でビッグバイククラス登録台数ナンバーワンを記録!

●1998年3月、銀、黒、灰の3色展開でデビューしたヤマハ「XJR1300」。そのたった5ヵ月後となる同年8月には写真の白(ブルーイッシュホワイトカクテル1)が追加されて4色から選べることに! 1999年には新色の紫、青と灰、白のラインアップとなってさらに魅力を増しました

●2000年には写真の青(ディープパープリッシュブルーメタリックC)と銀、白という定番の3色となっただけでなく、BSRキャブレター採用、軽量ホイール導入や各部見直しによる8㎏ものダイエット(乾燥重量230㎏→222㎏)成功、快適な乗り心地を実現する新作シート装備などで人気が再加速し、2000年度のビッグバイククラス登録台数ナンバーワンを獲得(XJRブランドとしては1996年以来4年ぶりの王座奪還)!
ローソンレプリカというキラーコンテンツを備えた明石謹製ネイキッド旗艦が、トップセラーの座へ這い上がることを妨害(?)し続けます。

●「オカシイ……排気量は1100でも最高出力は100馬力で横並び。伝統ある角Zを現代風にリデザインし、さらに大人気ローソンレプリカ然としたライムグリーンまで投入したのにクラス年間1位の座が遠い……。かくなる上はッ!?」
業を煮やした(?)カワサキ開発陣は21世紀へと改まった早々(2001年3月)、「ZRX1200R」と丸目一眼の「ZRX1200R-Ⅱ」……ではなく、なんとハーフカウルを装着した「ZRX1200S」をリリース!

●このイケメンは……誰だッ?
……では次回、世紀をまたいだミドル&ビッグネイキッドバトルの顛末を「ZRX」視点から解きほぐしてまいりましょう!

●ちなみにスズキは世紀末2000年3月、1156cc油冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンを個性的なボディに搭載したネイキッドの「バンディット1200」とハーフカウル付き「バンディット1200S」(写真)をリリース! カルト的人気を誇っていた「GSF1200/S」の後継車として欧州でバカウケしたほか、日本でも一定のファンを獲得しロングセラーモデルとなっていきました。こちらも次回、もうちょっと詳しく紹介します!
あ、というわけで素早く細かく改良を重ねていった1990年代後半のネイキッドモデルたちはどれも一線級の性能を確保しております! レッドバロンの『5つ星品質』中古車ならアフターサービスも万全なので、ぜひお近くの店舗で探してみてくださいね!
カワサキZRXという好漢【その6】は今しばらくお待ちください m(_ _)m
