1985年に衝撃的なデビューを果たして10余年。1996年型をもって(日本市場向けモデルは)生産終了となったホンダ「レブル」が、「レブル250/レブル500」として2017年に大復活を遂げるまでの約20年、マーケットはどのような変化を遂げたのか!? あれほど繁栄を誇った250&400クルーザージャンルが壊滅していた時期もあったのですよ!

●2017年型ホンダ「レブル250」公式イメージカット……ひと目見ただけで軽快感が伝わってきますねぇ〜。思わずサッと跨がって走り出したくなるカッコよさ。ただ、この超絶イマドキなスタイリングに「レブル」という名前を付けたことに関しては、個人的にモヤッとしました(^^ゞ
ホンダ・レブルという傾奇者!【その7】は今しばらくお待ちください m(_ _)m
1990年代後半から世紀をまたいで続いた日本車黄金期!
いやぁ~今思えば1990年代前半でメカニズム面の試行錯誤がほぼほぼ終了したことにより、その後生み出されたバイクたちは、大排気量車も小排気量車も2ストも4ストも空冷も水冷も、アルミフレームでも鉄フレームでも問題なんて全然ナッシング。

●スーバーバイクレース参戦用ベース車両として1998年に発売されたスズキ「TL1000R」! FIを採用した995cc水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブエンジンは最高出力93馬力を発揮。フレームは剛性に優れた新設計のアルミツインスパーフレームでスイングアーム下側のサブフレームや4点懸架のエンジンマウントなども相まって剛性の高いボディを標榜。リヤサスペンションには路面追従性に優れたロータリーダンパーまで採用していました。シビれたなぁ〜っ!
エンジンだって単気筒、並列2気筒、V型2気筒、並列4気筒、V型4気筒、水平対向6気筒……。

●過熱するクルーザー人気は、遂に「ゴールドウイング」向けの1520㏄水冷4スト水平対向6気筒OHC2バルブエンジンを搭載するホンダ「ワルキューレ」を生み出し、写真の1996年型より生産を受け持つ米国からの輸入車として日本にも正式導入されたのです。後日出てきた「ワルキューレ・ルーン」も凄かった……
フロントサスは正立でも倒立でも、リヤサスだって1本だろうが2本だろうが卓越した高性能を安定して発揮し続ける実力を確保いたしました。

●今となっては白昼夢にも思える存在なのですが本気のトライアルマシンを公道走行可能仕様にしてメーカーが堂々と販売していたこともあったのですよ。その頂点がはい、ヤマハ「TY250Zスコティッシュ」。1993年にフルモデルチェンジを受けてアルミツインチューブフレームとなった競技用車両「TY250Z」をベースにエンジンを22馬力→15馬力にデチューンしつつ保安部品などを装着(それでも乾燥重量は93㎏!)。ただ、1994年12月のデビュー当時価格は66万円……
ぶっちゃけ「なんでもあり」だった二輪エンタメ爆発時代!
まぁ、1980年代に一斉を風靡した250&400のレーサーレプリカジャンルこそ馬力規制の影響を受けて下火になっていきましたが、逆に300㎞/hを標榜するメガスポーツやリッター&ミドルのスーパースポーツが勃興し、ネオレトロなネイキッドは原付一種まで取り込んで文字どおりの百花繚乱状態。

●本当に突然嵐のごとく始まった原付一種レトロスポーツ大戦。シーラカンスのように生き残っていたビジネスモデルをうまく活用してスタイリッシュな外観を与えられた小粋なネイキッドたちは、どれも一定以上の人気を博しました。スズキからは「コレダスポーツ50」が1996年3月に登場(写真)。同年9月には「コレダスクランブラー50」まで連続投入……。ヤるときゃヤるぜ、スズキ!
デュアルパーパスやツアラーも絶好調だったし国産アドベンチャーだって産声を上げて……と、

●世界一過酷なラリーと言われるパリ・ダカールラリーで1986年、87年、88年、89年と4年連続優勝(二輪車部門)の偉業を成し遂げたワークスマシン「NXR750」! そこで得た技術をフィードバックし開発されたホンダ「アフリカツイン」が1988年に限定500台でひっそり(?)登場。1990年には水冷4ストV型2気筒OHC3バルブエンジンの総排気量を647ccから742ccにアップ。以降も改良が重ねられていき写真の1996年モデルで唯我独尊の境地へ到達! 以降、毎年のように限定発売が繰り返されました。このブランドも10余年の間を空けて(並列2気筒エンジンで)見事な復活を遂げましたね〜
当時のバイク雑誌アルバム号や各メーカーのフルラインアップカタログを引っ張り出して眺めるたび、思わずタメ息をつきつつ遠い目をしてしまうほど(^^ゞ。

●モーターサイクリスト誌なら毎年4月号と10月号が「国産車アルバム号」でした。4メーカーのラインアップを紹介するだけで電話帳のようにページ数が膨れあがっていたあの頃……。その後、日本で買えない海外向け車両まで突っ込んでもページがちっとも埋まってくれない状況が訪れようとは!
「いつかはハーレー」という強力な動きへ乗りつつ抗いつつ
言わずもがなではありますが、クルーザージャンルもウルトラ絶好調時代を謳歌しておりました。
かくいうイメージの本家本元総本山である米国ハーレーダビッドソンが、1989年に日本法人を設立して正規販売を開始。

●さすがは1903年創業という長い歴史を持ち、日本でも抜群の知名度を誇る米国メーカーです。大学時代にツーリング先で休んでいると「それはハーレーかい? ナナハンかい?」とシニア層に聞かれたこと多数(^^ゞ
1990年から元トヨタ自動車の奥井俊史社長がハーレージャパンの陣頭指揮を執りだしてから破竹の勢いが始まり、ビッグバイク市場でのシェアをゴリゴリゴリッと急拡大!

●奥井さんの辣腕ぶりは確かに凄かった! 今やカワサキ、ホンダ、ヤマハも追従しているバイクショップのディーラー化を真っ先に推し進めてハーレー販売店のイメージを一新! 一見さんでも気軽に入れる雰囲気を構築しつつ、至れり尽くせりのサービスを提供。真偽のほどは定かではありませんが1995年からビッグバイク免許が教習所で取れるようになったのも、高速道路二人乗りが実現したのもハーレー本国の後ろ盾を得た氏のロビー活動が奏功したからだとか!? また、家族連れでも楽しめるイベントを開催したり、大掛かりな試乗会を行ったりとニュースに事欠かず……。筆者的に強く記憶に残っているのが2008年に始まった「スポーツスターXL883」(写真)の88万3000円キャンペーン! 「パパサンがパパサンで買える!」と世のパパさんたちは色めきたったもの。う〜ん、ワシも買っとけばよかったかなぁ〜
それに負けじと日本4メーカーも奮起し、世界でカチ合うリッタークラスクルーザーを充実させつつ確立したイメージをうまく下方展開することで、ナナハン、ミドル、400、250、125、果ては原付一種に至るまで魅力的なロー&ロング鉄馬を繰り出していったのです。

●1997年に登場したカワサキ「エリミネーター」。13馬力を発揮する124㏄空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジンを全長2150㎜という250クラスと見紛う堂々たるボディへ搭載した原付二種クルーザー。車名に排気量の数字を入れなかったのはクラスレスな存在であることを誇示したかったから……!? 以降、排ガス規制や騒音規制に対応する仕様変更を受けつつ2008年モデルまでラインナップされていました

●1995年登場した「マグナフィフティ」(写真は1996年モデル)。てやんでぇ!な初代レブル然としたホンダの原付一種クルーザー「ジャズ」もまだ現役でしたので、珠玉のプチクルーザーが2モデルも併売されていた時期まであったのですよ〜! で、「マグナフィフティ」は兄貴分の「V-ツイン マグナ」を想起させながら、可愛らしいスタイリングで女性ライダーからも熱視線。3.9馬力の4ストパワーも必要にして十分! 2007年の最終型まで根強い人気を維持し続けたのです
日本におけるクルーザーブームの先駆けとなったホンダ「レブル」は1998年に施行された平成10年排出ガス規制の関係もあり、同年に生産中止となってしまいましたが、

●1996年型ホンダ「レブル」。こちらが有終の美を飾ったグラフィックです。以降、1998年の生産終了まで変更はなし。税抜き当時価格41万8000円でフィニッシュ!
規制を見越して対応した「V-ツイン マグナ」はもちろん、ライバル3社ともに250㏄クラスへV型2気筒エンジン搭載車を投入してくるなど、今となってはシンジラレナ~イような状況!(前回参照)
400クルーザー戦線は攻めたモデルもゾクゾク登場〜ッ!
400㏄クラスもホンダ「スティード」人気がブレイクして、ヤマハ「XV400ビラーゴ」やカワサキ「バルカン400」が追走……。
そして1996年に姿を現したヤマハ「ドラッグスター400」シリーズが一気に人気を爆発させ、同クラスの販売ベストセラーの名誉まで獲得しました(なんと1999年まで4年連続で販売台数トップに君臨)。

●いやぁ、まさにゲームチェンジャーとなった1996年型ヤマハ「XVS400 ドラッグスター」の衝撃は忘れられませんね〜。ロー&ロングなスタイリングに、まだこんな最適解が残されていたのかと……。2年後に追加されたファットなシルエットの「XVS400C ドラッグスタークラシック」も大人気となりました。ともに厳しくなるばかりな環境諸規制へ真摯な対応を続け、最終型となる2017年モデルまでラインアップに残り続けたのです

●400クルーザークラスで長らく絶対王政を築いてきたホンダ。「ドラッグスター400」登場後、「スティード400」はラインアップをさらに拡充していきます。オリジナルな姿でもある「VLX」、シンプルな「VCL」、野趣あふれる「VSE」、そして写真の「VLS」(1998年に追加)はビンテージモデル然としたフロントのスプリンガーフォークが特徴的!
スターの座を脅かすべくカワサキは深化した「バルカン」シリーズ、

●これまたインパクトの強すぎる400クルーザー。それが1999年にリリースされたカワサキ「バルカン ドリフター」です。前後タイヤを覆うディープフェンダーや各部の造形が独自のビンテージルックを構築〜! 出オチで短命に終わると思いきや兄弟車の「バルカン クラシック」ともども世紀をまたいで販売が続けられました
ホンダは「シャドウ」シリーズでリベンジを挑み、

●1997年型ホンダ「シャドウ〈400〉」。当時急上昇していたクラシック路線の人気を受け止めるべく投入され、バリエーション展開と環境諸規制対応を繰り返しつつ2008年まで販売は継続されていったのです
スズキも「イントルーダー」、「デスペラード/X」、「ブルバード」とブランド乱れ打ちで対抗……(^^ゞ。

●クルーザーのキーワードである「ロー&ロング」に「ストロング」も加味して開発され、1996年にアンベールされたのがスズキ「デスペラード」シリーズ(400と800が仲良く展開)。低く長く幅広で存在感のあるたくましいボディに、フラットタイプハンドルや存在感あるフューエルタンク、太く力強い倒立式フロントフォークなどの個性的なディテールを採用。ビキニカウルとアンダーカウルを装着して迫力あるフロントマスクとした「デスペラードX」(写真)も設定されました
クルーザーに限らず魅力的なモデルが次々と廃番に……
と・こ・ろ・が、かくいう燃えさかる勢いを冷徹かつ厳しくなる一方の環境諸規制(主に排ガス規制)が消し去っていきます……(4年前の状況ながらよくまとめられた記事がコチラ)。
まず、2006年施行の平成18年度排出ガス規制を受けて「V-ツイン マグナ」や「エリミネーター250V」など、さらに250&400クルーザーが数多く絶版へと追い込まれました。
そして2016年施行の平成28年度排出ガス規制で、最後まで小改良を重ねつつ頑張っていた「ドラッグスター250/400」シリーズほかも終焉……。
これはクルーザージャンルに限った話ではなく、排ガス規制(FI化で対応したら例外なく大幅な価格上昇)のみならず、駐禁取り締まり強化、免許制度の改正、若い層のバイク離れ(スマホのほうが楽しい!?)、税金や社会保険料負担増による可処分所得の低下などなど、さまざまな要因が重なってバイク全体……中でも250&400クラスの販売台数が劇的に低下するという結果に。

●リーマンショック、就職氷河期、さらにはコロナ禍、円安などなど(バイク)ライフを取り巻く環境は厳しくなるばかり。さらにはアメリカとイランの戦争まで始まって……どうなる!?
すると日本のメーカーなのに、日本人に向けた日本専用車両を出すことがほぼほぼできなくなってしまったのです。
嗚呼、もはや250&400クラスのクルーザーなど未来永劫登場することはないのだろうか……!?
グローバルな視点で開発された「反逆児」が日本へ凱旋!
と、絶望していたところにホンダから「レブル」が復活するとの情報が!

●上はレブルの世界観を表すイメージ図(2017年4月発行ホンダ「レブル250/500」プレスインフォメーションより)。主に北米においてジェネレーションY(1980年代から90年代に生まれた世代、エコブーマーともいわれる)と呼ばれる若い世代に向け開発されたという現行レブル。各地域のニーズに対応できるようひとつのプラットフォームで250/300/500㏄の異なる排気量エンジンを搭載できる構造が採用されています。まさに世界戦略車ですね!
しかも今回は250だけでなく500も出てくるってぇ?
そうなのです。
平成→令和を駆ける現行の「レブル250/500」はタイ王国生産の世界戦略車。

●2017年型ホンダ「レブル250〈ABS〉」。新生「CBR250R」や「CB250F」、「CRF250L」シリーズなどにも使われてきた249㏄水冷4スト単気筒DOHC4バルブエンジンを大きくブラッシュアップして搭載(最高出力は26馬力)。消費税8%込みの当時価格は58万8600円(ABSなしは53万7840円)でした
250は水冷4スト単気筒、500は水冷4スト並列2気筒というVツインコンプレックスから完全に脱却した車体構成で新時代のロー&ロングボディを構築し、2017年4月に衝撃的デビュー!

●2017年型ホンダ「レブル500」。欧米などでは500、日本では400クラスのスポーツ&アドベンチャーモデルの心臓として開発された471㏄水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブエンジンを改良して搭載(最高出力は46馬力)。消費税8%込みの当時価格は78万5160円。当初のリリースには年間販売計画台数として250が1500台、500が1000台と非常に控えめな数が記載されていましたが、いざフタを開けてみれば……!?
正直、「昭和レブル」を知る私のような捻くれオッサンにとっては「どこがレブルやねん?」となったのも事実ですが(^^ゞ、柔軟な思考を持つナウなヤング(&シニア)にとっては、カッコよくて取りまわしもラクラクでシートが低くて非常に乗りやすくカスタム素材にも最適!なところが全面的に受け入れられたのでしょう。

●ホンダ公式のレブルイメージカット。見た瞬間、「タンデムシートがキレイに外れるんだ……」と俄然興味がわいたことを覚えています
アッという間に「レブル250/500」はベストセラー街道をバクシンする状況に……。

●2017年型ホンダ「レブル250〈ABS〉」車両重量は170㎏(ABSなしは168㎏。500は190㎏)、シート高は500とも690㎜、燃料タンク容量11ℓも500と共通です〜
次回はそんな新生「レブル250/500」の誕生秘話をもっと掘り下げて紹介してまいりましょう!
あ、というわけで「レブル」はもちろん、Vツインエンジンを積みつつ社会情勢の変化で2000年代に泣く泣く絶版となったライバルたちは令和の現在でも十分通用する性能が自慢。レッドバロンが誇る『5つ星品質』中古車なら保証や交換パーツの心配なし! 事故や故障への対応も万全ですから、お近くの店舗でアナタだけの「相棒」を探しましょう!
ホンダ・レブルという傾奇者!【その7】は今しばらくお待ちください m(_ _)m
