バイクいじりの楽しさが学べる
こんにちは、青木タカオです。ボクの愛車の1台、カワサキW1SA(1971年式)が『モトメカニック』(内外出版社)の企画に登場するようになって以来、何かと理由をつけては、たぐちかつみ編集長のガレージに足を運んでいます。
モトメカニックはメンテナンスや修理、カスタム、レストアなど、バイクいじりに特化した専門誌です。現タイトルでの創刊は2019年ですが、前身となる『モト・メンテナンス(MOTO MAINTENANCE)』は1995年創刊です。
両誌を合わせると30年以上にわたり、趣味でバイクの整備を楽しむ、いわゆる“サンデーメカニック”に向けて、実践的な情報を発信し続けてきた老舗専門誌です。
メンテナンスの基本から、カスタムやレストアの奥深い世界まで、実際の作業に裏打ちされたノウハウが満載。自分でバイクをいじるのが好きな人なら、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
そんな誌面を作り続ける田口さんのガレージは、愛読者にとって“聖地”といっても過言ではありません。
工具が揃うのはもちろん、バイクリフトや旋盤、サンドブラストなどなど設備の充実ぶりはプロショップさながら。そこで自分の愛車を整備してもらい、その様子が誌面に掲載されるのですから、ボクにとっては実にありがたく、光栄なことです。
メーカー系の技術職を経て出版社の編集者となった田口さんは、大先輩であると同時に、メカニックとしての腕もプロ顔負け。さすがはモトメカニックの編集長であり、その技術力はド素人のボクが見ても圧巻です。
田口さんから見れば、「キミ、そんなことも知らないまま、バイクに乗り続けているのか?」と、驚くことも多いでしょう。
まるで幼稚園児に教えるかのように、あれこれと基本から教えていただけるので、ボクは学ぶことばかり。30年以上も乗り続けてきたダブワンについても、知らなかったことがたくさんあり、一つずつ教わっているのでした。
これまで、前後輪のドラムブレーキをしっかり調整してもらったり、調子よく走らせるためのアドバイスを受けたり。エンジンについてはピストン交換に加え、鋳鉄スリーブにニッケルシリコンカーバイドメッキを施したシリンダーを組み込むという、大掛かりな作業も。
さらに点火系も見直しています。長年ボクが使ってきたのは、機械式のポイントを利用する旧式の接点式点火をベースに、ポイントをセンサー式にしたセミトラ。ガバナーはそのまま使う方式でした。
これまで大きな不安もなく走ってきましたが、田口さんの「フルトラにするぞ!」という鶴の一声で、ASウオタニのW1/W3用SP-IIフルパワーキットを組み込むことになりました。その後、タペット調整などが必要で、現在に至ります。
これまでの作業の様子は、モトメカニック誌でも記事になっていますので、興味のある人はぜひ読んでみてください。
ダブワンに続いて、今度はショベルスポーツ

こうしてダブワンの面倒を見てもらっていますが、そんな田口さんに、昨年末、ある相談を持ちかけました。
「旧いスポーツスターを譲り受けるかもしれません」
実はその時点で、すでに話は進んでいました。ヤングマシンの編集長から「買いませんか?」と声をかけられ、実車を一度も見ないまま、引き受けることにしてしまったのです。
田口さんは当初、ハーレーはあまり好きではない様子で「よくわからん!」と、あまり乗り気ではありませんでした。言われてみれば、納得です。モトメカニック誌でハーレーの記事を見かけたことは、ボクが記憶する限り一度もありません。
しかしながら、1974年式のXLH1000、ショベルヘッドのスポーツスターだと説明し、写真を見せながら話をしているうちに、少しずつ興味を持ってくださったようです。
聞けば、70年代以前のショベルスポーツになら、かつて関心を寄せていた時期もあったのだとか。そんな話を聞きながらお願いしていると、ついに「よし、やろう!」ということになりました。
というわけで、W1SAに続き、今度はショベルスポーツを田口さんのガレージへ運び込むことになったのです。
右チェンジがやってきた!
ヤングマシン編集部へ、田口さんとふたりで引き取りに向かいました。目の前に現れた1974年式XLH1000は、見るからにクタクタ。車体はずっしりと重く、前輪にはディスクブレーキが備わっているものの、これがほとんど効きません。
軽トラの荷台に積み込むのもひと苦労。ラダーレールを上っている途中でブレーキレバーを握っても、車体が後ろへ下がってしまいます。
まずは車体全体の状態を確認しつつ、前後ブレーキを効くようにするところから始めることになりました。
エンジンは始動し、前オーナーが話していたとおり、自走できる状態ではありました。開放式の大きなバッテリーを充電すると、ショベルヘッドの4カムOHV、V型2気筒エンジンが目を覚まします。
そして、このバイクにはもうひとつ、気になる特徴がありました。なんと、右シフトの左ブレーキなのです。
現在のオートバイとは操作が逆。実はボクのW1シリーズも、1970年のW1Sまでは右チェンジでした。ボクが乗っている1971年式のW1SAからは、リンク機構を介して左チェンジに変更されています。
いつかは初代W1を手に入れ、右チェンジのオートバイに乗ってみたい。そんな思いを抱いていたのですが、まさかハーレーで実現することになるとは。何とも不思議な巡り合わせです。
とはいえ、慣れない操作には注意が必要です。ブレーキは左足、シフトは右足。頭の中で何度も確認しながら走り出すと、少しずつ身体が慣れてきました。
ベンディックスよ、疑ってゴメンよ!
思っていた以上に調子よく走ります。これなら、ひとまず走行できる状態にはありそうです。ところが、その後ひとりで試運転を続けていると、ほどなくエンジンが止まってしまうようになりました。
なぜだ?
スパークプラグを外して確認すると、真っ黒にかぶっています。新品に交換すると、また元気よく走り出すのですが、10分ほど走ると再びエンスト。どうやら、単純にプラグを交換すれば解決する問題ではなさそうです。
キャブレターはベンディックス製です。1970年代のハーレーダビッドソンに採用されていたバタフライ式のキャブで、「調整が難しい」という評判を耳にします。
「ベンディックスのキャブが原因でしょうかね?」
そんな感じで、田口さんに相談してみました。
「何か心当たりはないかい?」
「はい。アイドリングが低かったので、キャブにあるスクリューを回しました」
「えっ、どのスクリューを、どれくらい回したの?」
「なんだかよくわかりませんが、マイナスドライバーで2〜3回転くらいですかね……」
「それだ!」
あぁ、やってしまいました。
アイドリングの回転が低かったので、少し上げようと、やみくもに回してしまったのはアイドリングスクリューでした。調整は一気に回すのではなく、1/4回転ずつなど、少しずつ変化を確かめながら進めるのがキホン中の基本です。
これを元の状態へ戻し、調整し直すと、エンジンは再び元気よく回り始めました。いやはや、わからないことを勝手にやってしまうと、痛い目に遭いますね。
こんな感じで、ボクが勝手に何かをして不調をきたし、田口さんに診てもらって直していただくということは、これまでダブワンでもいろいろとありました。
そして、勝手に「調子が悪い」と疑ってしまったベンディックスのキャブレターよ。本当に、申し訳ない……。
これを機に、大切にしていこうと思います。
ちなみに、アイアンスポーツ(1957年登場)に純正採用されたキャブレターは、初期のリンカートに始まり、1966年頃からティロットソン、1972年頃からベンディックスへと変わっていきました。さらに1976年頃には、ケーヒン製のバタフライキャブレターへと移行していきます。
ショベルスポーツがひとまず走行できる状態にあることは確認できました。もちろんブレーキをはじめ、安心して乗るためには手を入れなければならない箇所がいくつもあります。
まずは前後ブレーキをきちんと効くようにすること。そして、外装や足回りをいったん取り外し、各部の状態を確かめながら、少しずつきれいにしていくことにしました。
タンクのAMFレインボーカラーが、やっぱりいい!
サーキット走行用にハーレーダビッドソン X500も所有していますが、それもまたボクはレインボーカラーにしています。こうして自分のガレージに2台を並べると、あぁ、なんて幸せなのでしょうか。
こうして始まった、ショベルスポーツ再生計画(!?)。田口さんの『モトメカニック』とともに、ボクが編集長を務める『ウィズハーレー』(内外出版社)でも、連載企画『XLH1000 SPORTSTER 青木タカオの右チェンジで行こう!!』がスタートしています。こちらもぜひ、ご覧ください!
整備はプロにお任せを!
ちなみに、バイク歴だけは長いボクですが、整備に関しては何度もお伝えしているとおりド素人です。今回のキャブレターの件がそうだったように、よくわからないまま手を出すと、かえって調子を崩してしまいます。
これだけはハッキリと言えます。整備や修理はプロに任せるのがイチバン。愛車の1台であるホンダCRF250Lも、購入したレッドバロン葛飾にオイル交換から日常的なメンテナンス、修理まですべてお任せしています。時間や手間、費用などを総合的に考えても、それがベストな選択だと思います。
そんなわけで、ここでは整備の実践的なノウハウを紹介するつもりはありません。今後は誌面では伝えきれない“裏話”を交えながら、ショベルスポーツ再生の経過を少しずつお届けしていこうと思います。どうぞお楽しみに!!
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

