タンデムスタイル』や『レディスバイク』といった初心者向けのバイク雑誌をしていてよく質問されたことのひとつに、“ロングツーリングの定義ってなんですか?”ってことがある。確かに言われてみると“ロングツーリング”の定義はとても曖昧でわかりにくい。他の“日帰りツーリング”や“キャンプツーリング”なら、当たり前だけど「泊まらずに日帰りで帰ってくる」や「キャンプ泊する」という条件が名前に入っているから、誰もがその字面から内容を理解できる。でも“ロングツーリング”には、「ロング=長い」という非常に曖昧な言葉が入っているだけなため、はたして何をやったら…、どれくらい長ければ…、ロングツーリングと言えるのか? よくわからないということなのだ。

実際、受けた質問の多くも、「ロングツーリングに挑戦してみたいのですが、どこからがロングツーリングなのですか?」という内容が多かった。ロング=長いのだから“かなりの距離を走る”ツーリングだろうし、人によってはロングの意味は走った距離というより“期間の長さ”だったりすることもある。まぁ、その両方を満たす日本一周のような旅がロングツーリングであることに異論を唱えるライダーはまずいないだろうけどね。

ただ質問者の意図を読み解くに、骨子は「ロングツーリングの最小単位はどこからなのか?」ということにあるような気がする。だけどこればかりは“人による”としか応えようがない。日帰りだろうと1000km走ったらロングツーリングという人もいるだろうし、500kmで十分ロングという人いるだろう。走った距離の長さではなく1泊とか2泊3日などと期間の長さでロングかどうかを判断するライダーも当然いる。いろんなツーリングをやっていく中で、ロングツーリングに対する“人それぞれの物差し”が自然とできてくるものなのだ。

ロングツーリングの定義は人それぞれ

僕の場合、ロングツーリングの定義はわりとはっきりしている。旅先で“洗濯”したらロングツーリングだ。…なんのこっちゃ(笑)。正しく言えば、“旅先で洗濯が必要なくらいの長期間になったらロングツーリング”だ。なのでどちらかというと走った距離ではなく、旅の期間の問題だ。

バイク旅に限らず旅行に出るときに誰だって着替えを持って行くと思う。それは1セットかもしれないし、2セットかもしれない。この持参した着替えで帰ってこれる旅なら、僕の場合2泊だろうが3泊だろうがロングツーリングとは感じない。

でも旅を続けていると着替えを使い果たしてしまう日がいずれ来る。そうなると旅先で洗濯する必要性が出てくる。面倒だなぁ…と思いながらもコインランドリー併設の銭湯に寄ったり、ビジネスホテルに泊まったりして溜まった洗い物を片付けることになるのだ。

旅先の洗濯事情

ひと昔前の北海道なら、コインランドリー併設のライダーハウスがあったりして非常に便利だったが、今はそんなライダーハウスも減ってしまったと聞く。確実なのはビジネスホテルで、ほぼ間違いなく乾燥機付きのランドリーコーナーがある。しかも夜間に洗濯が可能なので、いちいち洗濯のために旅の歩みをとめる必要がないのもいい。ただ運悪く洗濯機が空いていなかったりすると寝不足の原因になる(笑)。

 

洗濯で一度着替えをリフレッシュして再出発するわけだけど、さらにそんな洗濯が何度も必要になるような長旅になると、天気が悪いことを理由に“洗濯日”と称してまったくバイクを走らせない、オフの日を設けたりもする。こんな日はもう洗濯ばかりか、バイクに乗らずに散歩したり、バスに乗って出かけてみたり(笑)。バイクに乗るのに飽きてるワケじゃないけど、バイクに乗らない日があってもいいんじゃない? なんて気分になる。うまく伝わるかどうかわからないけど、本来、非日常を楽しむツーリングが日常化してしまって、リフレッシュが必要になるというか…。僕の場合、ゴウンゴウンと音を立てる乾燥機を横目に古雑誌をペラペラとめくりながら、今回もずいぶんいろんなところに行ったなぁ…、と旅情にふけることが多かった。

旅先の洗濯事情

最近は、長時間の滞在がしやすい大型のコインランドリーも増えている。こんな場所なら雨宿りがてら古雑誌を広げてヒマをつぶすのもいいかもしれない。1週間程度の旅なら、あえてくたびれた下着を持って出発。汚れたら旅先で交換しながら捨てるなんて方法も荷物を少なくする方法だ。

旅先での洗濯は意外と面倒

一定時間の停滞を余儀なくされる洗濯は、トラブルとは言わないまでも旅人を悩ませる種の一つだ。なんせ一度洗濯を始めたら、完全にとは言わないまでもある程度乾くまで待たなきゃいけない。着替えを沢山持てばそれだけ洗濯の頻度は減らせるが、そのぶん荷物は増えるし、大量の洗濯物は乾燥機での乾きもそれだけ遅い。逆に少なすぎると洗濯の頻度が増して頻繁に足止めをくらうようになる。1回の洗濯は乾燥機があれば1、2時間で終わることもあるけど、分厚いライディングパンツは予想通りというかなんというか乾きが悪いのだ(笑)。

いつどこで洗濯をするかのタイミングもけっこう難しいもので、だいぶ汗かいて臭っているような気もするけど天気のいいうちに進んでおきたいし…、ひとまず汚れの“マシ”な洗濯物に着替えておくか? なんて感じで洗濯を先延ばしにして走り続けていると、食堂のおばちゃんあたりに、「ちゃんと食べてる?」なんて心配されつつ、餞別というかほどこしをもらうようになる。確かにお金もあんまりなかったが、これがあると十中八九匂っている証拠なので“早急に洗濯しないとな…”と思うわけだ。そんなわけで1度洗濯を始めたら、なるべく全ての汚れ物を洗いたくなるのが人情ってもので、ひどいときにはTシャツとレインウエアの下だけ着用して全てを洗濯機に放り込んだこともある。

旅先の洗濯事情

早急に洗濯する必要が出た場合に覚えておくと便利なのが、コンビニ袋をバケツにする方法。あんまり水をたくさん入れないようにするのがコツ。小分けの洗濯洗剤を1、2包荷物にしのばせておこう。逆に絶対やっちゃいけないのが川での洗濯。環境面での事もあるけど、どんなにキレイな水に見えても必ず生乾きの段階で泥臭い匂いがしはじめる(笑)。

 

えっと何の話だっけ? そうだ“ロングツーリングとは何か?”って話である。なんだか終始洗濯の話ばかりしていたような気がするが、僕にとってはそれくらい“ロングツーリング”と“洗濯”は切っても切れない関係にあるってことだろう。旅慣れたライダーはなんだかそんな洗濯のタイミングというか、要領がいいというか、いろいろ手際がいいんだよね。こんな話をしていたら、しばらくやってないロングツーリングがしたくなってきたな。

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