連載企画の「ハンターカブで行く北海道ツーリング」
【出発編】
【上陸1日目】
【上陸2日目】
【上陸3日目】はコチラです。
上陸後は道東を中心に走っていましたが、本日はオホーツク海沿岸を北上します。網走の市街地を抜け、国道239号を西へ。30分ほどでサロマ湖に辿り着きます。14年前の北海道ツーリングでは、東側湖畔の「船長の家」という民宿に宿泊し、カニ三昧の食事を楽しみ、ツーリング唯一の贅沢をしました。今回も宿泊してカニを食べようと調べたところ、2022年はカニの不漁により民宿は休業とのこと。目の前を通ってみましたが、残念ながらホームページの情報どおりでした。1日でも早い再開を祈ります(お土産物屋さんや通販などは利用可能)。
残念ながら曇天ですが、天気予報によると回復してくるようです。国道239号をさらに西へ進み、次の目的地へ向かいます。15年前に通ることを断念した道です。
コムケ湖で挟間を走る
コムケ湖の北側を走る海岸道路。片側はコムケ湖、反対側にはオホーツク海を感じつつ走ることができる浜沿いのダート。路面は踏み固められたフラットな道ですが、たまにふかふかした路面に出くわすと、ハンドルが左右にとられてヒヤリ。約7kmのダートは決して短くはなく、走りごたえがあります。
15年前に訪れた時、諦めたのは自分の技量の足りなさももちろんありますが、乗っていったバイクも理由のひとつでした。当時の愛車はホンダ DN-01。ダート走行には不向きなバイクだし、新車で購入直後だったということもあり断念。「次はオフロード車で来よう」と決意したものの、実現までに長い月日を要しました。
左手にオホーツク海、右手はコムケ湖。
路面はこのような細かな砂利。普通乗用車も走行していましたが、ふかふかの砂利の上で不用意に停車するとスタックする可能性も。ビッグオフの方は、より一層の注意が必要です(次はもう一台の愛車BMW R1200GSアドベンチャーで行きたい)。
ドローンで撮影。YouTubeにもその時の模様をアップしましたので、ぜひご覧ください。
紋別から興部へ、北へ向かいます
さらに国道239号を進み、紋別に入ります。定番ですが、やはりここで記念撮影です。
この美味しそうなカニのツメは、紋別のシンボルとして道の駅オホーツクの近くにそそり立っています。1983年に「流氷アートフェスティバル」で著名な彫刻家や商工会議所、市民によって共同制作されたオブジェとのこと。
国道239号線は興部(おこっぺ)の交差点で左折します。そのまま直進すると国道238号線。宗谷岬まで一直線ですが、今回はそちらへは行きません。
道の駅おこっぺには、鉄道車両を利用した簡易宿泊施設があります。しかしコロナ禍ということで、閉鎖中。ここも15年前に訪れた懐かしスポットです。
この車両で宿泊ができます。しかも無料。ロングツーリングをするライダーには嬉しい施設です。
本日のお昼ご飯もセイコーマートです。おにぎりと唐揚げでカロリー補給、ただし控えめに。というのも本日の目的のひとつが、蕎麦の聖地で蕎麦をたぐることなので満腹は厳禁。
日本の蕎麦の収穫量ナンバーワンは北海道。その中でも幌加内がその多くを占めています(2位は長野県)。蕎麦の季節は秋。北海道は緯度が高く、気温が低いので9月がその盛り。筆者が訪れた6月は、まだ早すぎですが、蕎麦好きの筆者としては現地で味わいたいので、最重要目的地としました。
蕎麦の聖地「幌加内」で蕎麦をたぐる
国道239号を、さらに西へ山間の道を走ります。名寄から道道688号を利用し朱鞠内湖へ。ここには5年前にレンタルバイク(この時はNC700X)を利用したツーリングで訪れました。その時は稚内から南下したルートでした。
国道275号線に入り、いつの間にか入った幌加内町を南下します。途中、左右には蕎麦畑が広がりますが、まだ種まきをしたばかりで茶色い畑の畝が続くばかり。言われなければそこが蕎麦畑とは思いもしません。7月中旬から8月中旬は一面白い蕎麦の花で埋め尽くされる絶景ロードです。
町内には蕎麦保管するための巨大な冷蔵施設があります。大規模農業とこの施設が、幌加内を道内一、さらには北海道を蕎麦の収穫ナンバーワンに牽引をしています。
そろそろ蕎麦を食べたいのですが、平日、さらにお昼過ぎということもあり、開いているお店が見つかりません。焦りながらさらに南下した市街地で閉店間際の蕎麦屋を発見。
今回頂いた蕎麦は新蕎麦ではないものの、充分に蕎麦の香りを楽しめ、大満足。先の冷蔵倉庫を利用するので保管の仕方が秀逸なのかと。
幌加内町では新蕎麦の時期になると、国道沿いに蕎麦畑を一望できる展望台が作られ、蕎麦祭りが開催されます。5年前にNC700Xで訪れた時は、そこで新蕎麦をたぐりました。しかし、当時は週に5回も食べるほどの蕎麦好きではなかったので、あまり記憶に残っていません。だからこそのリベンジなのです。次は9月!
本日の目的は全て果たしたので、少し早いのですが本日の宿を目指します。旭川市を目指してゆるいワインディングを走ります。と、そこで大変なハプニングが!!
まさかのエンジンストール? 旅続行なるか??
走行中に、しかもそこそこのスピードを出しているにも関わらず、エンジンがストール。失火しているようです。そのまま惰性で走り、路肩で停車。車体を確認しますが、特に異常は感じられません。おそるおそるセルボタンを押すと、エンジンはあっけなく再始動。
「なんだったのだろう?」と首を傾げつつ走り出します。しかし、しばらくすると、またストール。「おかしいな」と、ふと左足元を見ると、サイドスタンドがおりているではありませんか。
停車して、サイドスタンドを確認したところ、スプリングが外れかかっていました。張力が弱くなってサイドスタンドが徐々に下りてきたようです。それにサイドスタンドのスイッチが反応して点火が遮断されエンジンがストール。
プライヤーでスプリングを少し曲げ応急処置をし、恐る恐る走り出します。
北海道上陸して4日目。走りながら、時々、左のつま先でサイドスタンドを確認します。今のところは大丈夫そうですが、不安が付き纏います。
予定外ですが、明日は旭川市のレッドバロンに立ち寄ることに。電話をしたところ、10時に予約することができました。そこで応急処置と、オイル交換をしてもらうことにします。1000km以上走行した結果、チェーンも油分がなくなり、砂と汚れでパサパサしていますので、清掃と給油もお願いしようかと。
一日の締めは、もちろん地元グルメとお酒
ホテルにチェックインしたあとは、旭川の夜を堪能します。駅から少し離れたところに繁華街があるのは、地方都市の特徴のひとつかと。5条通り7丁目にある「ふらりーと」という古い飲み屋小路で旭川名物を食べましょう。
旭川出身の友人に教えてもらった地元の名店。新子焼きという名のメニューを食べなさい、という指令に従い注文。新子焼きは旭川市民のソウルフード。若鶏の半身を特製のタレにつけて焼いたもの。名前の由来は、魚の新子が由来。魚を味付けに使っているのではなく、若い魚=新子と言うので、若鶏=新子としたのだとか。
しかし、半身はさすがに多いので躊躇。それを見かねたお店の人が気を使って、持ち帰り用のパックも用意してくれました。しかも味付けをタレと塩と2種類に分けてくれたのです。感謝!
お酒は、旭川の地酒「男山」を冷やでいただきます。
「地元の食材には地元のお酒を合わせること」
静岡のおでん屋の大将に教わった名言です。新子焼きの甘めのタレをしっかりと米の味がする男山の純米酒が受け止めます。やや甘め、でもすっきりとした飲みくち(個人的な感想)。新子焼きに相性抜群でいつの間にか一人前を平らげてしまいました。もちろんお酒もスルスルと4合ほど(飲み過ぎ)。
レッドバロン旭川の予約は10時。明日の朝は遅めに起きて、のんびりする予定。お店でメンテナンスをしてもらい、その後は富良野経由で道東へ向かうことにします。しかしその先で、まさかあんなことになるなんて……。
(つづく)