栃木県栃木市、行ったことはありますか? 栃木県というと、日光や那須高原、霧降高原道路や日塩もみじライン、あるいは宇都宮の餃子などが有名ですが、栃木市も素晴らしい場所なのです。関東のライダーならば気軽に行ける距離でもありますから、冬場のプチツーリングにいかがですか? というのが今回のお話です。

蔵の街とちぎ

栃木市

 栃木県栃木市は、江戸時代末期から昭和初期にかけて建てられた蔵が多く残存していることから「蔵の街とちぎ」と呼ばれています。
 なぜそれほど蔵が多いかというと、この地がかつて北関東の商都として栄えた問屋町だったから。市内を流れる巴波川(うずまがわ)は、江戸川に通じていたため舟運が盛んで、今も川沿いに蔵造りの古い町並みを見ることができます。

なぜ蔵が残ったのか

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 地元でご高齢の方に話をうかがったところ、この街は戦時中、米軍からそれほど爆撃されなかったため、蔵が焼失せずに済んだ、とのこと。爆撃機は栃木市を素通りし、かつて国内有数の軍事拠点だった宇都宮へ向かったのだとか。
 おかげで巴波川周辺は、昭和初期の雰囲気が色濃く残っています。川には錦鯉が放流され、観光のための舟も行き来していて、いい雰囲気。

巴波川綱手道

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 今は流れのおだやかな巴波川ですが、舟運が盛んだった当時は湧水の流入も多く流れが速かったため、江戸からの帰路は舟を麻綱で結んで手で曳いてきたそうです。
 曳いて歩いた道は現在、綱手道(つなてみち)として観光スポットになっていました。

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 古くて立派な蔵が立ち並ぶ巴波川沿いの道は、かなりの狭路ですけれども、バイクならば歩行者や他のクルマに迷惑をかけずに走ることができます。

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 こちらも巴波川沿い、明治時代の豪商・横山家の資料などを展示した郷土館「横山郷土館」の玄関先。筆者が訪ねた日は休館日(月曜)だったため入館できず。店舗の右半分で麻問屋を、左半分では銀行(!)を営んでいたのだそう。それだけ豪商だった、ということですね。

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 ということで栃木市。巴波川で蔵造りの古い町並みを眺め、歴史を感じてください。

じゃがいも入り焼きそば

栃木市

 蔵の街として知られる栃木市には、もうひとつ名物があります。それが、じゃがいも入り焼きそば。市内にはじゃがいも入り焼きそばを出す飲食店が何軒もありますが(有名なのは専門店の大豆生田商店)、筆者が今回立ち寄ったのは、新栃木駅前のフジヤ食堂。ザ・昭和の駅前食堂といった感じがたまりません。

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 お店の前ののぼりにもある通り、じゃがいも入り焼きそばは栃木市の名物。
 さっそく店内に入りましょう。

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 店内も渋い! 庶民的で心なごむ空間。テーブルの上の、割り箸を入れる箸立ても懐かしい。食堂の女将さんに訊ねたところ、今年(2023年)で創業51年だそうです。
 壁に貼られた手書きのメニューには、いそべ焼、カレーライス、親子丼、醤油ラーメンなどありましたが、当然ここはじゃがいも入り焼きそば600円を注文。
 で、テーブルに運ばれてきたのがこちら。

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 ひと口大に切られたじゃがいもが、焼きそばの上にごろごろと盛られています。
 どうしてじゃがいも!? これも地元の方数名にお話をうかがってみたところ、戦後の食糧難だった時代に、かさ増しのために入れたんじゃないかとか、諸説あって不明。ただし地元では、焼きそばにはじゃがいもが入っているのが当たり前なのだそうです。

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 食べてみると、焼きそばのモチモチした麺の食感と、じゃがいものホクホク感は意外にも相性がいいものでした。安くておいしくて、腹持ちもいい。じゃがいも入り焼きそば、栃木市に来たならぜひお試しを!

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