遠く去りゆく昭和を追って、今日もスーパーカブ110で一人旅。その名も昭和レトロ紀行の今シリーズは、埼玉県東松山市周辺をツーリング中だ。第2回は埼玉県坂戸市のド派手な道教宮と、川島町のしょうゆ工場を見学。そして今回は、レトロな温泉銭湯「玉川温泉」で給食メシを食べながら、不思議なカラオケ大会に巻き込まれて!? そしてウワサの宿に向かうのだった。
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漢方コーラと醤油ソフトで昇天! 五千頭の龍vs江戸時代から続く醤油工場? 【昭和レトロ紀行 埼玉 東松山編 ②】
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昭和な雰囲気を再現した「玉川温泉」にゴー!

金笛しょうゆパークからのどかな田園風景を西にスーパーカブ110(JA44)で40分ほど走る。埼玉県ときがわ町にある、その名も『昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉』に到着した。
この昭和レトロ紀行で温泉に寄ることはないのだけど、この名前を見たら行くしかない(笑)。
入口に向かって歩くと、のっけから昭和な風景がお出迎え。昔ながらの縁側に郵便ポスト、オート三輪が!

↑『昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉』の入口。干し柿に物干し、ダイハツミゼットetc……。昭和30~40年代の風景だろうか。そこにスーパーカブ110が妙になじむ(笑)。■埼玉県比企郡ときがわ町玉川3700 10~22時(土日祝5時~) http://tamagawa-onsen.com/

↑こうして見ると、もっと昭和っぽい。洗濯物が“かっぽう着”なのは芸が細かい。


↑とてもキレイなダイハツ・ミゼットMPS。中身もピカピカだ。エンジンは空冷2スト249cc単気筒。

↑コチラはダイハツ・ミゼットDKA型。角ばってドアがないのが特徴。

↑入口を入るとこんなカンジ。昔ながらの床屋セットにサトちゃん、私の大好物の瓶コーラ自販機が。入館料は平日10~20時880円、20時以降580円。土日祝は朝5時~780円、8~20時1180円、20時~680円。館内着&レンタルタオルは660円。
まずは内部を見学してみた。もっとこぢんまりとした銭湯なのかと思ったら、意外と広く、仮眠スペースや雑誌コーナー、食堂もある。リアルな昭和の古びた施設ではなく、清潔なテーマパーク的な感じで、ファミリーやアベック(死語)にもイイと思う。ただし展示物はリアルに昭和だ。

↑売店は昭和の駄菓子屋風。

↑ナツい! ヘアコロンシャンプーは当然ながら非売品(笑)。中学生の時、使ってたゼ!

↑食堂は教室風!


↑レトロな展示物がたくさん!

↑テラスにたばこ屋のセットがあるけど禁煙なのです(笑)。

↑廊下はこんなカンジ。求人案内もレトロ風!
レトロな銭湯でマッタリした後は「給食ソフト麺」!
2階に上がってみて驚いた。宴会場にTV番組のセット風カラオケステージまであるのだ。

↑2階の宴会場。うーん、ステージが味わい深い。

↑2階の休憩所も昭和風。昔のカメラやレコード、ミシンなどがある。

↑このTVがオモシロイ。ブラウン管風の筐体に、液晶TVをインサートしている(笑)。

↑アメリカでヒットし、バンダイが1969年に日本で販売した『ネオンブライト』。カラーピンを差し込み、バックライトで光らせる玩具だ。だから何だと言われても困るが、クールなのだ。
ざっと見学したので、風呂にレッツゴー。風呂も昔ながらの小さいタイルを使ったレトロ風だった。ちなみに、温泉は秩父古生層から湧出する良質なアルカリ性単純温泉で、肌がスベスベになると評判だ。


↑ケロリン桶にタイルがイイカンジだ。肌がスベスベになったかはよくワカラン!
この日は11月下旬だけあって日が傾くとかなり寒い。体も温まり、サッパリして仮眠ルームでゴロゴロした。その後、早めの晩メシでも食べようと食堂に向かった。
食事のメニューはそばやうどん、定食などのほか、“昭和喫茶”を再現したものも。「大人のお子様ランチ」や「昭和のナポリタン」、スイーツ、学校給食、鯨カツなどなど。私が選んだのは「給食ソフト麺」だ。

↑注文した「給食ソフト麺」(1180円)。ミートソースにソフト麺、コロッケ、パック牛乳、りんごゼリーがついている。トマトとキャベツの具合も絶妙に給食っぽい(笑)。
ソフト麺は、昭和の給食を代表するメニュー! ……と言いたいところだけど、私は子供の頃に栃木在住で、“ソフト麺”が給食に出たことはなかった気がする。
ちなみに、初めてソフト麺が作られたのが昭和35年。正式名称は「ソフトスパゲッティ式めん」で、玉川温泉では埼玉県の学校給食で実際に出されている大進食品製を使っている。
せっかくなので、広い宴会場で食べようと2階に上がったら、さっきは空いていたのに超満員になっている!? 町内会の寄り合いでカラオケ大会でもあるのだろうか?
歌の点数を当てる? ギャンブルカラオケイベント!?
席が見つからないほどの大盛況なので他で食べようかと思案していると、年配の陽気なオジサンが「ここ空いているから座んなよ~」と話しかけてくれた。
お言葉に甘えて着席し、食事を始めた。

↑温められたソフト麺を……

↑ミートソースにぶっこむ。混ざりにくいけど、よく混ぜる! 給食で定番の先割れスプーンだけあってミートソースが跳ねまくり(笑)。

↑「わたぼく牛乳」は埼玉県行田市の森乳業による人気商品なのだとか。初めて知った。
ミートソースはドミグラスとひき肉が入った、昔ながらの味。一方のソフト麺はコシがないフニャフニャなうどん感覚……だけどミートソースという不思議メシ。それをパック牛乳で流し込む。なんだろう、昭和だ(笑)。
食べながら周囲を観察すると、観客は何やら熱心に用紙に書き込んでは楽しそうにしている。先程の陽気なオジサンに「今日は何の集まりなんですか?」と訊いてみた。
「集まりとかじゃないんだよ。カラオケの点数を当てると、タダ券がもらえるんです」
ん、ギャンブルのようなものなのだろうか!? 陽気なオジサンによると、自分が歌唱しなくてもよく、歌の最中に点数予想カードを提出して当たるとスタンプが1個もらえて、貯めると景品がゲットできる。最後の歌い手の点数を当てると入館無料券がもらえるそうだ。
この「カラオケ予想大会」は、毎週月・水・土に開催されている。陽気なオジサンはイベントのために、はるばる埼玉県の久喜市からやって来たのだという。なるほど、この超満員のお客さん達は顔見知りではなく、カラオケギャンブル(?)が目当てなのだ。もっといいギャンブルがありそうだがなぁ、などと思ってしまうが、“歌の点数を当てる”なんてイベントは聞いたことがなく、確かにオモシロそうだ。
昭和歌謡を聞きながらソフト麺に舌鼓! 不思議な感動が

そうこうするうちにカラオケが始まった。
トップバッターのご老人は『水戸黄門』。モニターに歌詞が映され、色が変わっていく。つまり歌のパートが始まったのに歌い始めない。5秒が経過して、ようやく歌い始める。結果は60点台だった。
続いて、石原裕次郎『北の旅人』、前川清『花の時・愛の時』、橋 幸夫『霧氷』、フランク永井『君恋し』etc……。次から次へと人生の喜びと悲しみを歌った昭和歌謡が繰り出される。
みんな決して上手ではない。上手ではない、のだが、70~80年を生きてきた歌い手の越し方を思わせる哀切なシャウトが胸に迫る。それを聞きながら、ソフト麺を口に運ぶ。
昭和が入り混じって、まるで異空間に迷い込んだような感覚を覚える。昭和レトロ、ここに極まれり! 大真面目な話、私はこの連載のクライマックスを迎えたかのような、不思議な感動に包まれていた。
「出る」とウワサの旅館に到着! さっそくイイ雰囲気
すっかりフランク永井……ではなく、長居してしまい、もう日が暮れている。今夜の宿がある東松山市へ向かう。足は宿に向かっているのに何となく気が向かない。第1回で書いたように今回の宿は「出る」らしいからだ。
東へ14kmほど、約30分走り、難なく宿に到着。砂利が敷かれた広い駐車場を進み、暗闇の中に建物が浮かんで見える。

↑雰囲気抜群な「上沼旅館」は昭和25年(1950年)創業。■埼玉県東松山市本町1-3-6 http://www.kaminumaryokan.co.jp/
創業75年の歴史を誇るだけあり、建物は増築を繰り返しているような外観だ。気のせいか背筋に違和感を覚えながら、カブを停め、受付に向かう。

↑オシャレなエントランスで大量のスリッパがお出迎え。意外にも(?)お客さんが多いゾ!
入り組んだ廊下を進んで、受付に到着。やはり増築のおかげで内部はかなり複雑だ。40代ごろと思しき女性が出てきて、用紙に住所などを書き込む。
「朝飯は6時30分までになりますが、何時ごろにされますか?」とのこと。早ッ(笑)。朝食付きで予約していたのだけど、そこまで早いとは知らなかった。翌朝はノンビリ起きて、吉見百穴に向かうつもりだったし、早起きしても時間を持て余しそうだ。
もう少し遅くできないか交渉してみると、女性はどこかに電話をかける。何とか7時30分スタートにしてもらった(スンマセン)。
そんなこんなで2階の部屋へ。スリッパの底が外れている上に、階段に凹凸があるわ歪んでいるわで歩きにくい。それにしても館内は静かだ。

↑こちらが本日のお部屋。予想通りの実家風味。
さて、どうなるのか……。オラ、なんだかワクワクしてきたぞ(虚勢)!
以下次回!!
