前編、中編に引き続き、「モトツーリング誌」(内外出版社)の編集ディレクター・マロ兄のツーリングロケ取材の持ち物と準備について紹介します。読者の皆様にとってソロツーリングの参考にでもなれば幸いでっス!
宿泊時の持ち物やトラブル対策用品を紹介!
後編では、宿泊時の持ち物や病気・ケガに備えた薬、車両トラブルを想定した工具などについて説明します。近年荷物の積みづらいバイクが増えたこともあって、かなり絞った内容となっています。その辺の“割り切り”具合についても話していきましょう。
■■■ 取材時 持ち物・準備(*)リスト ■■■
●前編で紹介
--------<取材用具>-----------------------------------
☐ 誌面ラフレイアウト・ペン
☐ 名刺
--------<カメラ機材>--------------------------------
☐ カメラ・ストロボ・電池・SDカード
☐ 三脚
☐ ワイヤレスリモコン ※予備電池
☐ タイマーリモコン ※予備電池
☐ PL・NDフィルター
☐ カメラ用レインウェア
☐ GoPro
☐ GoPro用マウント・バー/チェストマウント
☐ 料理用反射板ホワイト ※料理撮影時
☐ ストロボ用スタンド ※料理撮影時
--------<バイク装備品>-----------------------------
☐ ETCカード※車載器に挿入
☐ ETC車載器管理番号登録追加→割引プラン申し込み(*)
☐ バイク各部の養生(*)
☐ ナンバープレートフック(バッグのベルト固定用)(*)
☐ ラムマウント(スマホ固定用)(*)
☐ DCソケット・USBケーブル
☐ ツーリングネット
☐ スタンドマット
☐ 雑巾 ※バイク清掃用●中編で紹介
--------<ライダー装着品>--------------------------
☐ レインウェア(又はレインパンツのみ)
☐ ヘルメットの撥水・防曇
☐ ネックウォーマー
☐ 防風インナー(メッシュジャケット着用時)
☐ カイロ
☐ ペットボトルストローキャップ・水筒
☐ 薄手のグローブ(冬場)、レイングローブ
☐ 帽子(キャップ・防水ハット・ニット帽)
☐ 傘(折り畳み)
☐ 財布(現金)
☐ ウエストバッグ
●後編(今回)で紹介
--------<薬・制汗>-----------------------------------
☐ 薬(胃腸・風邪・花粉・殺菌消毒)
☐ 制汗剤(ボディ・足)
☐ タオル ※体用
☐ 熊撃退スプレー・ホルスター
☐ 虫よけ(ミストタイプ、ディート10~30%濃度)
☐ ヒルよけ
--------<宿泊用品>-----------------------------------
☐ 下着
☐ 就寝時用半ズボン・耳せん
☐ マグカップ
--------<充電機器>-----------------------------------
☐ 各種充電器+USBケーブル
☐ モバイルバッテリー(5,000mAh軽量薄型)
※車体から電力を取れない場合は10,000mAh以上
--------<PC携行時>---------------------------------
☐ ノートPC
☐ ノートPC用充電器・ケーブル
☐ マウス
--------<車両トラブル対策>---------------------------------
☐ パンク修理剤
☐ ジャンプスターター
☐ 工具類
☐ LED停止表示灯
一発アウト!? のトラブルに備えたアイテムとは
まぁ、一般的にツーリングロケの場合はハイエースなどのトランスポーター(トランポ)にバイクを積んで移動するので、移動中のトラブルはまず起きないし、仮に走行中に何かトラブルがあったとしてもトランポに積み込んでしまえば帰ってくることもできます。
しかし、いわゆる“自走取材”を行っているマロ兄の場合は、ツーリングロケと言ってもやってることは普通のソロツーリングと同じ。なので様々なトラブルにあう可能性を考えて、取材が続行できるよう最低限の準備はしておくのです。限られたスペースに厳選したアイテムを積んでいくには、経験を踏まえた“割り切り”も求められます。
薬(胃腸・風邪・花粉・殺菌消毒)

▲薬は小分けにしてウエストバッグやポーチなどに入れます。左の袋は殺菌消毒剤と絆創膏、目薬など、中央の袋は胃腸薬や風邪薬、右の袋は毒虫対策のポイズンリムーバーとマダニ用のリムーバーです
実は、取材中に薬を飲むことは多々あります。基本的な構成は、胃腸薬、風邪薬、花粉症内服薬、殺菌消毒剤の4つ。胃腸薬は主に食あたりへの対策です。過去、取材中の食事による食あたりを数度経験し、その重要性が身に沁みました。ちなみに夕食であたってしまうと深夜まで吐き続けて睡眠時間が取れず体力が回復しないまま翌日の取材となってしまいます。これはかなりキツイです。
個人的には生の貝(カキ・サザエ)があたりやすいので取材中にはなるべく食べないようにしていますが、大量の揚げ物でも胸やけに襲われるのでこうした料理を食べた後にはすぐに胃腸薬を飲むようにしています。
風邪薬は取材中に風邪をひくからということではなく、発熱やのどの痛み、せき、鼻水などの症状を抑えるための総合感冒薬としての携帯です。花粉症内服薬は2~6月くらいまで携帯しますが、フェキソフェナジンなど眠くなりにくい成分のものを使います。この時期は花粉・アレルギー用の目薬も必須ですね。
殺菌消毒剤は切り傷などに備えたものです。バイク乗車中の転倒・ケガというよりは、登山・トレッキング中のケガを想定しています。やぶこぎしそうな場合にはダニ取り用のリムーバーも持っていきます。この他には湿布も常時携帯していますし、冬場はリップクリームも持っていきます。
熊撃退スプレー・ホルスター

▲熊撃退スプレーとホルスター。めったに人が来ないような山中の移動時は腰にホルスターをぶら下げたまま取材をしています。まぁお守りみたいなものですが…
モトツーリング誌は自他ともに認める“秘境大好きツーリングマガジン”なので、とにかく山深いところに行くことが多く、野生動物が身近です(笑)。クマ出没注意の看板も見慣れたもので「このままではいつか〇ぬな」ということで、数年前から各員が熊撃退スプレーを携行しています。
幸いなことにこれまで一度も使用したことはないですが、登山・トレッキング・渓流釣りといったシーンでは専用ホルスターをベルトに通していつでも噴射できる体制で撮影しています。まぁ実際には早朝・夜間の“鹿アタック”のほうが100倍は怖いのですが、取材で〇なないための対策のひとつですね。

▲「熊 出没注意」の看板があるときは「本当に最近クマが出たんだ」と考えるべきです
虫よけ(ミストタイプ、ディート10~30%濃度)・ヒルよけ

▲上がヒルよけ剤で、下が一般的なディート入りの虫よけ剤。下の虫よけでもヒルよけの効果はあるものの専用品には及びませんね
さて、これもまぁ“秘境あるある”なんですが、バイクから下りた瞬間に虫に囲まれるということが多々あります。蚊くらいなら全然いいのですが(良くない)、ハチやアブにつきまとわれるのは厄介です。
ハチには数回刺されていて、いずれも知らぬ間に服の内側に入られていたというもの。ヘルメットをかぶる際には内側の確認を入念にしていましたが、まさか服の内側にいるとは… で、痛い目に遭いました。
こうした経験から虫よけは数種類を使い分けています。常時携行する虫よけ剤は「ミストタイプでディート10~30%濃度のもの」です。これを一旦手の平に吹いてから、首元や耳、手首、足首などに塗りたくります。これだけで大半の被害は防げます。
ディート剤のいいところは蚊、アブ、ブユ、マダニ、ノミのほかヤマビルにも効くところです。ディートの成分濃度は効果の持続時間に影響するので、30%(効果6~8時間)の薬剤なら半日は持ってくれます。取材内容によっては藪こぎすることもあるので、虫よけ剤は必携です。
なお、登山やトレッキングを長時間行う場合は、ハチ撃退スプレーも携帯します。実際に使ったことはありませんが、山を歩いていると意図せずハチの巣に何らかの攻撃を与えることがあるので万が一に備えてのものです。
さらに、ヤマビルの多いエリアに入っていく場合は、ブーツやカメラバッグなどにヒルよけ剤を吹きます。ヒルよけ剤は一般的な虫よけ剤よりも安心感は高いですが、プラスチックや合成繊維、ゴム部などを侵す(変色させる等)ので、帰宅後にふき取るか洗濯しなければならないのが少々面倒です。
下着・就寝時用半ズボン・耳せん・マグカップ

▲愛用しているチタン製のマグカップ。エスプレッソ用のカップで容量180mlと一般的なマグよりもかなり小さくて軽いもの
ここでは宿泊時のアイテムについて紹介します。下着はいわゆる普通の下着ですね。なお1週間くらい泊まり込みで取材を行うといった場合でも下着は3日分までしか持ちません。現地に洗剤を持っていって毎日洗濯してしまうからです。
また、宿泊・就寝時は旅館やホテルに置いてある部屋着(浴衣など)は着ません。就寝時は必ず半ズボン(七分丈で厚手のステテコのようなもの)を履いて、お腹を冷やさないよう注意しています。お腹をこわしてしまうと翌日の取材行程に大きな影響を及ぼすからです。
耳せんも必須です。立派な外観のホテルでも隣室との壁が薄いことは多々ありますので…。いやまぁ、いびきなどのうるささについてはお互い様なんですけどね(笑)。
小さめのマグカップも必ず持っていきます。道すがらにある湧き水を汲む、飲泉時の温泉を汲むといった場合に小道具として使うほか、宿ではお酒を飲むのにも使います。ちなみに、宿に入る前の買い出しでは冷えたビールを買っていきたくなるものですが、自分は小瓶のウイスキーを買います。「ぬるくなったビールを飲むくらいなら…」という割り切りです。
なんせ山間地では最後のコンビニ・商店から宿までに十数キロもあるなんてことはザラですから。これもメンタルコントロールのひとつですね(笑)。
各種充電器+USBケーブル・モバイルバッテリー

▲左はパワーデリバリー(PD)対応の10,000mAhバッテリー、右は安価な5,000mAhバッテリー。この2つを使い分けています
取材中はスマホのナビアプリで移動しています。車両にDCソケットやUSBソケットがある場合はそこから給電しますが、車体から電力を取れない場合は10,000mAhくらいのモバイルバッテリーから給電しています。
なお宿に入ってからの使用になりますが、スマホ、カメラ、インカムを充電するための充電器は基本ひとつでまかなっています。ノートPCにも充電できるパワーデリバリー(PD)対応の折り畳みタイプで、USBのタイプA・Cに対応しているためほとんどのデバイスを数十分で充電できます。
ひと昔前は、スマホ用、インカム用、PC用とそれぞれに充電器を携行していましたが、いまはほんとに便利な時代になりました。
パンク修理剤・ジャンプスターター

▲バイク用のジャンプスターター(ジャンパー)。6,000mAhのモバイルバッテリーとしても使用できるものです
この2点は車両トラブルに備えたものです。取材中の車両トラブルで最も怖いのは「パンク」です。「チューブレスタイヤならガソリンスタンドで直してもらえるよ」という意見はごもっともですが、いかんせんそこはモトツーリング誌。秘境と呼ばれるような山奥を走ることも多く、周囲数十キロにガソリンスタンドがないなんてこともザラです。
なので、本当に非常用かつ使いたくはないですが、パンク修理剤は常時携行しています。パンク修理剤はありがたいアイテムですが、使ったあとの処理(タイヤ内洗浄)が大変なので広報車両には極力使いたくありません。とは言え、背に腹は代えられないので、取材継続のための保険といったところです。

▲パンクは致命的なトラブルなので、万が一に備えてパンク修理剤は必ず携行しています。修理剤で応急処置をしたうえでガソリンスタンドまで走って本修理ができれば安心です
なお、それ以上に気をつけるべきは広報車両の「バッテリー上がり」です。撮影中は何度もエンジン停止・始動を繰り返すため、小・中排気量車の中にはあっという間に電圧が落ちていくものもあります。フューエルインジェクション車の多くは押しがけが困難ですから、ジャンプスターターとバッテリーにアクセスするための工具(BMWの場合はトルクスレンチなど)も常に携行します。
工具類

▲基本的には立ちゴケレベルの破損を応急的に直せること、バッテリーにアクセスできることを考えて工具を持ちます。BMWなどの外車はトルクスネジを使っているので、上のようなトルクスレンチを追加して持っていきます
工具はなぜ持っていくのか? 何を持っていくのか? という話です。工具を持っていくのは立ちゴケ程度の破損を直すためです。転倒の衝撃でズレたミラーやレバーのステーを元に戻す。その程度を想定しています。
なので基本は車載工具でOKですが、ネジをなめないように車載工具よりも精度の高い差し替えドライバーとコンビネーションレンチ(10mmを中心に)、カウル破損に対応したガムテープと結束バンドも携行します。さらに、BMWなど各部にトルクスネジを使っている車両なら、必要なサイズのトルクスレンチも追加します。
LED停止表示灯

▲三角表示板の代わりになるLED停止表示灯。エーモンの「パープルセーバー」は道路交通法施行規則適合品なので安心
取材では高速道路を使うことが多いため、万が一高速道路上で停止する場合を考えてLED停止表示灯を携行します。LED停止表示灯は各社から発売されていて、三角表示板よりもコンパクトなのでバイクでも荷物になりません。三角表示板や停止表示灯を設置せずに停止していると、故障車両表示義務違反(反則金6,000円、反則点数1点)となる可能性もあるため必携ですね。
以上となります。まだ紹介できなかったアイテムもありますが、基本的な取材用品と準備について説明しました。ひとつでも参考になればと思います。ではまた!
【ツーリング取材よもやま話】第5回:ツーリング取材の持ち物と準備は? <前編>
【ツーリング取材よもやま話】第5回:ツーリング取材の持ち物と準備は? <中編>
