バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回はエンジンの吸気系用語の“ダウンドラフト吸気”だ。
そもそも『ダウンドラフト吸気』とは?
4バルブ、可変バルブ、ハイオクの記事でも触れたけど、排気量が一緒でも4バルブか2バルブかでエンジンのキャラクターは変わり、どれだけシリンダー内に混合気を充填できるか、どれくらい圧縮するのかでエンジンが発揮するパワーも変わってくる。
難しい言葉で充填効率なんていうけど、パワーの出る良いエンジンをつくるには、シリンダー内部にいかに効率よく混合気を詰め込むかが大事になってくる。同じ排気量でも充填効率が悪く、きちんと混合気を吸えないエンジンはそれだけ燃やす燃料が少なくなる。当然パワーも低くなるし、混合気の供給状況があまりに悪いとフケ上がりが悪かったり高回転まできっちり回らなくなったりと、そのエンジンの本来の性能が引き出せなくなってくる。
逆にエンジンが欲しがるだけの混合気を用意できれば性能を引き出せるし、さらにより多くの混合気をシリンダー内に詰め込むことができれば、排気量以上のパワーが引き出せるというわけ。
ダウンドラフトもそんな充填効率をアップするために考え出された工夫…なのだが仕組みはいたって簡単。シリンダーへと向かう混合気の流れが垂直、つまり真下に向かうようにレイアウトされている吸気構造をダウンドラフトという。
『ダウンドラフト吸気』のなにがスゴイの!?
混合気の重さまで使って充填効率をアップ!
…ってことだ。普段あまり意識しないことだが、1気圧下で温度20度、湿度65%の空気(標準空気)には、1リットルで約1.2gの重さがある。意外と重いと思うか軽いと思うかは人それぞれだが、エンジンで燃やす混合気にはこの空気にガソリンが噴霧されさらに重量が増している。
だったら混合気の流れは、エアクリーナーボックスからシリンダーへのラインをなるべくストレートにレイアウトして抵抗を減らすのはもちろんだけど、更にそれを垂直に立てられたら混合気自体の重さでよりスムーズに落ちていくからシリンダー内への充填効率も自ずと上がるよね……という単純な話である。
ただコレ、一昔前のキャブレター時代はすごく難しかった。現在主流のインジェクションであれば流れてくるフレッシュエアにガソリンをポンプ圧送して噴霧すればいいだけなのだが、キャブレターでは流れる混合気の負圧でガソリンを吸い出す必要がある。そのためガソリンは大気圧と一緒にしなければならず、構造的にキャブレターにはフロート室と呼ばれるガソリンを一時的に溜めておく場所が必要だったのだ。
このキャブレターがダウンドラフト吸気レイアウトではとても厄介。なにせフロート室にガソリンが溜まっているのだから横倒しにして取り付けできない。そのくせスロットルボディと呼ばれる流路はダウンドラフト吸気のためには垂直に立てたいというのだから構造的にものすごく大変だったのだ。
ただそれも今は昔。インジェクションはポンプによる圧送噴霧であるためフロート室が必要なくなり、ガソリンを噴霧するインジェクターは横向きだろうと縦向きだろうと自在にレイアウトできるようになった。
フューエルインジェクションが吸気システムの革命を起こした
フューエルインジェクションの登場によって吸気パーツのレイアウトの自由度は飛躍的に向上。ヤマハのYZ450Fの後傾エンジンは非常に極端な例ではあるが、必要であれば一般的な吸排気レイアウトとは逆の、前方吸気・後方排気のエンジンを作ることだって可能になったのだ。つまりフューエルインジェクション全盛の現在ではダウンドラフト吸気そのものが、技術的にそれほど難しいものではなくなっている。
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エンジン系:水冷、DOHC、ハイオク、4バルブ、可変バルブ、ダウンドラフト吸気、ユニカム、デスモドロミック、過給システム、ラムエア、ターボ、スーパーチャージャー、アシストスリッパークラッチ、油冷エンジン、
車体系:ラジアルタイヤ、アルミフレーム、ダブルディスク、ラジアルマウントキャリパー、ラジアルポンプマスターシリンダー、スポークホイール、倒立フォーク、モノショック、リンク式サスペンション、チューブレスタイヤ、シールチェーン、シャフトドライブ、プリロード調整、減衰力調整機構その①、減衰力調整機構その②、メッシュホース、モノブロックキャリパー、大径ディスク、ペタルディスク、フローティングディスク、
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