モーターサイクリスト編集部の大先輩がスクープしていた情報のとおり、2007年のパリショーにて「カワサキ ニンジャ250R」がアンベールをはたしました。全世界的に厳しくなる一方の排ガス&騒音etc……つまり環境諸規制の基準をキッチリ満たす、新時代を切り拓く250㏄スポーツとしての仕切り直しモデル。しかもなんとフルカウルではないですかぁ!?
前身となるZZ-R250についてはコチラから(以降も表記はZZ-Rで統一いたします)
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ニンジャRの登場なくして250スーパースポーツの隆盛なし!
令和となっている現在、大型二輪用品店や休日のサービスエリア、ワインディングに近い道の駅などバイクが多数集まるスポットへちょいと足を向けたなら、ホンダCBR250R/RR、ヤマハ新旧YZF-R25、スズキGSX250R、そしてR付き・Rなしのニンジャ250、さらにはニンジャZX-25RやKTMのRC250ほか、コンパクトながらシビれるほどカッチョええフルカウル250スーパースポーツが百花繚乱状態であることは理屈抜きに分かるはず(スズキGSR250Fも筆者判断で含めます)。
しかし、ほんの十数年前である2000年代の前半から中盤にかけて、250スポーツといえばノンカウルのトラッカーとネオレトロとネイキッドとモタード(とビッグスクーター)ばかりがデカい顔でノシている排気量クラスでありました。
流行りの(?)擬人化で当時の状況を語ってみますと……!?
ブオンブオン、パラパラパラと大声とクサい煙を吐きつつ長ラン(フルカウル)姿で徒党を組んでクラスを席巻していたレーサーレプリカ先輩は20世紀のうちに卒業して久しく、唯一ZZ-R250くんが旅姿に仕立て直した長ランを受け継いでいるのみ。
しかし風紀にうるさい先生(環境諸規制)に目をつけられ、「声が大きいわね、小さくしなさい!」、「出す息がクサいわね、炭化水素や窒素酸化物など有害な物質を減らしなさい!」と執拗なご指導が矢継ぎ早に……。
大企業のご子息で根が真面目なZZ-R250くんは厳しい条件を突きつけられるたび真摯に対応し、高くなる一方のハードルを何度も乗り越えてきたものの、昔ながらの肺構造(キャブレター)だったため2007年リミットの難関課題がクリアできず、あえなく自主退学の道へ。
20世紀のうちに卒業した先輩方と同じレーサーレプリカの心臓を持ちながら長ランを脱いでいた裸ん坊たちも同時期、根こそぎ風紀委員に退出させられます。
嗚呼、大排気量車への登竜門となるべき250㏄のロードスポーツクラスは、“キムタクドラマさまさまトラッカー”と“トコトコ懐古趣味シングル”だらけのペンペン草も生えない状態となってしまいました。
かくいうYOUはショック!な状況下に、突如として現れたのがケンシロウ……ではなく忍者、いや「ニンジャ250R」だったのです。
ビッグネーム“Ninja”が、しょぼくれていた250㏄クラスに喝!
2007年秋のパリショーで姿を現すや、バイク雑誌業界は大盛り上がり。
カワサキ広報が「世界戦略車ではありますが、まだ日本で発売するかどうかは分かりませんよ」と言っている段階から各社とも特集記事を組みまくり(笑)。
モーターサイクリスト編集部員だった筆者も、無理をお願いして参考出品車を借り出し撮影したり、兵庫県明石市にある川崎重工業株式会社まで日帰りスケジュールで乗り込んで開発者インタビューを敢行したり、初代iPhoneの登場に気を取られつつ、取材に東奔西走したものです。
お約束のとおり日本での発売も正式決定し、2008年4月5日、ついにゲームチェンジの瞬間が訪れました。
「50万円切り!」という超絶に戦略的な価格でデビュー
なななななななんとなんとなんとな(文字数)メーカー希望小売価格は、税込みで50万円を割り込む“49万8000円”!!!!
前年に姿を消したZZ-R250の最終型が同じく税込みで53万4450円でしたから、それより3万6000円以上お安くなっているというインパクトがギョーカイに巨大すぎる波紋を広げました。
ベースとなる水冷並列2気筒エンジンはZZ-R250を受け継いだものながら大規模な見直しと改良が行なわれ、さらにFI(フューエルインジェクション=電子制御式燃料噴射装置)とハニカムキャタライザー(排ガスを浄化する触媒装置)が新たに装備されて厳しい排ガス規制値もクリアしながらのプライスダウンですからメカニズムとコスト面にちょいと詳しいライダーならなおのことブッタマゲです。
フレームの素材こそアルミニウムからスチールへ変更されたものの、その形状は初代ニンジャことGPZ900Rのそれを彷彿とさせる高剛性ダイヤモンド型で性能的に全く問題なし。
250スーパースポーツデザインの原点にて最高地点(個人の感想です)
しかし何よりもバイク好きの心を鷲づかみにしたのは、クリーンで流麗、かつ精悍なそのスタイリングだったと言っても過言ではありますまい。
ミニマムツアラーを標榜していたZZ-R250から一転、自らがスーパースポーツを名乗り、兄貴分であるニンジャZX-10R/6Rのデザインエッセンスを取り込みつつも250㏄クラスであることを主張する軽快なフォルム。
個人的には初代TZR250に勝るとも劣らない傑作スタイリングであったといまだに思っております。
なお、上級スーパースポーツに憧れるナウなヤングたちを魅了するレーシーなフルフェアリング姿でありながら、ツーリング用途にも対応できる楽チンなライディングポジションを実現しており、ZZ-R250ロスに戸惑っていた層までキッチリ取り込んでいったのはさすがのカワサキ。
はたして人気は大爆発!
「納車まで1年待ちだぁ!?」という街の声(悲鳴)がちょくちょく編集部にも届いてきたものです。
次回はその伝説的な快進撃ぶりとライバルたちの対応についてお届けいたしましょう。
あ、というわけで爆発的な人気を得た“ニーゴーニンジャR”は、ゆえにバラエティあふれる程度と価格帯から中古車を選ぶことのできるモデル。国内直営300店舗オーバーのレッドバロンならアナタの狙いに一番近い車両がきっと見つかります。ぜひお近くの店舗に行ってイントラネット検索システムにて在庫を確認してみてください!
(つづく)