きょかい【巨魁・渠魁】首領。頭目。(盗賊などの)親玉。頭領。……大ヒット作ニンジャ250Rの後継機として2013年型から発売が開始された「ニーゴーニンジャ」は、250スーパースポーツ界の親玉として市場を牽引していきます。前作の成功にあぐらをかくことなく攻めに攻めたフルモデルチェンジの内容で、さらなるファンの獲得に成功しました!
Contents
世代は変わっても強くあり続けるため「心臓を捧げよ!!」
アニメ『進撃の巨人』第1期が大好評のうちに放映されていた2013年、バイク業界の250㏄クラスではカワサキの本気(と書いてマジと読む)をまとって世に放たれた2代目ニーハン忍者(!?)、「ニンジャ250」がライバルを踏み潰す……いや、圧倒する快進撃を見せていました。
そのモデルの内容だけでなく、情報を公開していくタイミングにも、当時二輪雑誌モーターサイクリスト編集部にいた筆者は舌を巻いたもの……。
厳密に言えば車名こそ違うものの実質的に従来型となる「ニンジャ250R」は、2008年にデビューして2012年型で生産を終了。
実に5年間、メカニズム的な変更をほぼほぼ行わないまま、モデル末期に至るまでベスト&ロングセラーの座に君臨してきた巨魁の代替わりなわけですから2代目がどのような姿で登場してくるのか?
ライダー(予備軍)はもちろんバイク雑誌ギョーカイも興味シンシン、新型の動向を熱く追っていました。
私の記憶が正しければ2011年の秋ごろから「次期ニンジャ250Rは4気筒?」、「いや2気筒のままでも超絶パワーアップを実現!」などというエンターテインメント性にあふれる記事が掲載され始め、ニヤニヤしながら拝見したものです。
年が明ければ海外での実走行テストをパパラッチが撮影した画像なども流出(?)し始めたりして、2012年3月にニンジャ同様のフルフェアリングを備えた直接的なライバルとして登場したホンダCBR250R(MC41)にはABS仕様車も用意されて市場から好評を得ていましたから、スクープ系雑誌の月号が進むごとに「ニンジャにもABS仕様車が用意されるのは間違いない!」といった確度の高い情報も企画内に盛り込まれるようになっていき、新型への期待は否応なく盛り上がっていきました。
結果的に「他メーカーの対抗馬が出てもすぐに飛びつかず、次期ニンジャを待ってみようかな」と考えたバイク好きは相当な数にのぼったはず。
ライバルが並び立つなんて許さない。「駆逐してやる!!」
総仕上げ(?)として2012年の8月には「2013年型ニンジャ250のご紹介」といった公式リリースをカワサキ大本営がジキジキに全世界へ発信したのですから、日本デビュー直前に起きた東日本大震災の影響をようやく脱し、一層の飛躍を当て込んでいたガチンコ競合車CBR250Rにしてみればたまったものではありません。
なおかつ、その内容がまた凄まじかった……。
雑多な編集部のデスクでドキドキしながらプレス向けPDFファイルをクリックし、パッと出てきた外観写真に不肖・オガワ、まずは心を鷲づかみにされました。
「マフラーまで変えてくれて、ありがとう……」と画面に黙礼
従来車であるニンジャ250Rのよく言えばシンプル、悪く言えばチープさも少々感じさせたスタイリングが一新され「これって新型のニンジャZX-6Rだよ」と言われたら信じてしまいそうなくらい高級感が充ち満ちた堂々たる姿に! マフラーエンドの細部造形に至るまで開発陣の配慮が行き届いています。
切れ上がった目元も精悍な2眼式ヘッドライト先端から複雑な線と面がボディ表面を覆い尽くし、ハイライトの濃淡具合は従来型比3.7倍といった雰囲気です。
サイドカウルへ大胆に配された黒い無塗装樹脂パーツ部分もほどよいアクセントを演出しており、単色でもツートーンカラーのような趣きを感じさせました。
そして“ガワ”の中身も全面刷新!!
……最初に主要諸元をつらつら見たときには、原動機の型式名こそ“R”の「EX250KE」から「EX250LE」へと変更されているものの、ボア・ストロークに変化なし、最高出力31馬力を1万1000回転で、最大トルク2.1kgmを8500回転で発生するというパフォーマンスも“R”と無印はまったく同じ。
「ふ~ん、ここだけは手を抜いたのかねぇ」と、思いきや圧縮比に目をやると11.6から11.3に下がっているではあ〜りませんか!
開発責任者はあえて言った?「全然なってない、すべてやり直せ」
これは燃焼室の形状まで改良の手を施し、さらなる排ガス浄化効率のアップとスペック数値に現れない乗りやすさを向上させてきているということに他なりません。
慌てて詳細を確認してみれば、エンジンのシリンダー部分を軽量で放熱性の高いアルミダイキャスト製として、なおかつスリーブレスのメッキシリンダー化。
また、軽量化加工に加えて一部を硬質アルマイトコーティング処理したピストンを採用しつつ、FIサブスロットルバルブ大径化、エキパイ長のロング化などなどエンジンのありとあらゆるところに改良を施して結果的に低中速域のトルクまでアップ。
同時に1次減速比、2次減速比、6段ミッション内のギヤ比も細かく変更……と、開発陣の「執念」という言葉しか浮かんでこない鬼ブラッシュアップぶり。
そんな大改良を受けた心臓を包み込むダイヤモンド型のフレームは、無印ニンジャから海外向けとして同列に展開することとなった300㏄モデル(39馬力!)のパワーまで受け止めるべくハイテン材(高張力鋼材)を新たに採用した新設計の鉄製パイプフレーム。
エンジンとの締結部分にラバーマウントを導入することによって不快な振動を低減させるという、地味ながら効果的な改善まで施されているではあ~りませんか(←2回目。チャーリー浜さんリスペクト)。
キャスター角やトレール量も細かく見直され、リヤタイヤの太さも130→140へ……と、どこをとってもスキのない入魂ぶりがパソコンの画面からも伝わってきました。
ここまでやられてしまうと雑誌屋魂にも火が付くというもの。
発売開始は翌年(予定)だというのにモーターサイクリストはもとよりオートバイ、ヤングマシン、その他ありとあらゆる二輪誌で「ニンジャ250」の特集が組まれ、情報はネットでも瞬く間に拡散されることになり事前の盛り上がりは最高潮に……。
その結果、2013年2月1日に正式発売が開始されるや、3日で日本向けの年間販売計画台数、約6000台が売り切れてしまうという伝説が生まれたわけですね。
迷う友人へ「いいから黙って、全部ニンジャに投資しろ!」
本当に「カワサキ、うまいなぁ」と驚嘆したのは、その価格戦略。
ニンジャ250Rのラストを飾った2012年型のSTDモデルとSE(スペシャルエディション)が、それぞれ税込み53万3000円と55万3000円だったのですが、フルモデルチェンジを受けたニンジャ250でも全く同じプライスタグを付けてきたのですからビックリ(ちなみにABS SEは60万3000円)。
しかも、こちらの情報を解禁したのが2012年の12月1日という小刻みっぷり。その前に実車撮影会も行われましたので、またまた各バイク誌が相当なボリュームで詳細情報を紹介するというワケですよ……。
綿密な作戦も奏功したか、当然のごとく2013年度250㏄クラス販売台数のトップを獲得し(5923台 ※)、その後も進撃は止まらず翌2014年も圧倒的な連覇(5641台 ※ともに二輪車新聞様のデータより)を達成いたします。
いやはや、このまま幾久しくニンジャ250の天下が続くのか……と思いきや、ついにヤマハが立体機動装置……いや真剣で勝負を挑んできました!!
ごめんなさい。次回こそYZF-R25の登場前後やホンダとスズキの逆襲について述べさせていただきます。
m(_ _)m
あ、というわけで一時期は原付二種スクーターより売れまくった初代ニンジャ250。ワインディングを攻めてよし、カスタムして悦に入るもよし、ツーリングの相棒としてもオールラウンド超優秀という完成度の高さを誇り、中古車の台数も豊富という神バイク!? レッドバロンなら全国300店舗超の直営店が所有する豊富な優良在庫が瞬時に全車検索できますので、ぜひお近くの店舗へ足をお運びくださいませ~!
(つづく)