※今回の検証は専門家の立会のもと、安全に充分な配慮をしております。あらかじめご了承ください。

 

先日お届けしたROMライディングレインスーツの大雨走行検証。
読んでくださった方には十分防水性能の高さがわかっていただけたと思うが、さらに追加で実験をしよう。

今回の記事でお送りするのは、高圧洗浄機を使った検証。ブシャーっと強烈に水をかけてもらい、浸水しないかどうかのテストというわけだ。

実を言うと、これは単なるROMライディングレインスーツの性能チェックではない。筆者 高木はるかのライターとしての意地をかけたバトルなのである。

勝負の相手は……そう、“あの男”だ!!!!

“あの男”との因縁

はじめに筆者 高木はるかと “あの男” の因縁についてお話しさせて欲しい。

あの男とは…バイク業界では知らない人はいないベテランライター、そしてForRのメンバーでもある谷田貝洋暁氏
彼と筆者のバトルが始まったのは昨年、2021年8月のこと。

発端となったのはヤングマシン公式YouTubeチャンネルにて、谷田貝氏が出演したこちらの動画だ。

彼は難燃性新素材であるアーマライトが使用されたライディングジーンズを履き、なんとお尻をガスバーナーで炙る実験を行ったのである。
なんとも危険な話なのだが、動画のインパクトは絶大!10秒もの間お尻を炙り続け、見事アーマライトジーンズの鉄壁の防御力を証明した。
(ちなみにアーマライトジーンズ、難燃性ではあるが断熱性は一切ない。どんな尻をしたら10秒も炎に耐えられるんだよ…!?)

動画が公開された当時、筆者は会社員を辞めてwebライターに転向したばかり。まったく無名のひよっこで、どうにかして頭一つ抜けたい時期であった。
そこで谷田貝氏の動画を見てこう思ったのだ。

「私だったらもっと長い時間お尻を炙れるし!!!!」

対抗して実験し、筆者が執筆したのがこちらの記事である。

【YouTubeの真偽を追え】有名バイク誌がお尻を炙って検証した「難燃&高耐久デニム」の性能を身体を張って確かめてみた結果…
https://rocketnews24.com/2021/08/20/1527439/

結論だけ言うと、どれだけ頑張っても炎が熱すぎた。5秒ほどしか耐えることができず、あえなく撃沈。

そこまでは良いのだ。筆者のお尻が繊細だったというだけのこと。
ところが記事を読んだ彼…いや、奴のコメントがコレである!



…………く、悔しい!余裕ぶっこきやがってぇ~~~~!!!!

圧倒的敗北。行け行けドンドンな駆け出しライターがベテランライターに、尻で、我慢で負けるなんて!
若手は身体を張ってなんぼだと思っていた筆者にとって、あってはならないことであった。



──長くなってしまったが、以上が谷田貝氏と筆者の因縁だ。
現在では奇しくもForRという同じ土俵にて記事を書かせてもらえているのだが、未だまったく相手にされていない実感がある。

ならば、こちらから仕掛けるまで。今日こそリベンジしてやろうじゃないか!

こっちは10分で実験だ!

以前ForRで公開された記事にて、谷田貝氏はROMライディングレインスーツの高圧洗浄機による5分間耐久テストを行った。

実験中の谷田貝氏。



ふ~ん、向こうは5分なのね。



……それならば!
こっちは10分でやってやろうじゃないかいっ!!!!


見てろよ!倍の時間、耐えてやるからなぁ~~~~~!!!!

高圧洗浄機バトルスタート!

まずは今回の検証についてご説明しよう。
ルールは簡単。10分間高圧洗浄機で水をかけられ、ROMライディングレインスーツが浸水するかどうかをテストする。良い子は絶対マネしないように。

谷田貝氏との違いは時間が5分から10分に伸びたこと、そしてヘルメットのシールドが無くなったことだ。

そう、筆者のヘルメットはSHOEI社製のEX-ZERO。
ゴーグルを装着しても隙間が多いので、追加の補助として首周りにタオルを巻かせてもらっている点はご容赦いただきたい。

それではさっそく、実験スタートです!




威勢よくスタートしたものの、早々に「ちょっと待って~!」という叫び声をあげてしまった。

先ほどもご説明した通り、筆者の弱点はシールドがなく防水性能皆無なヘルメット。ところが序盤から容赦なく上半身狙いで水がかけられるのだ。肩で跳ね返った水が嫌な角度でヘルメットに襲い掛かって来る。
こんなに顔にかかるものなの?嘘でしょう!?

視界は水しぶきで真っ白に染まり、ほとんど何も見えない。ヘルメットの中はまるで台風の真っただ中にいるかのような騒音だ。
身体にも強く水が押し付けられ、圧を感じるやら冷たいやら。

洗車されているバイクの気持ちってこんな感じなんだな。今後はバケツの水を使ってもっと丁寧に優しく洗ってあげた方が良いのかもしれない。
そんなことを考えてしまうほどに過酷な環境なのである。


「やめてぇ~~~!」と懇願する筆者。すると水しぶきの向こうから「谷田貝に負けてもいいのか!」という声がかかった。
声の主は編集部S氏。当時、尻を炙り負けた筆者をForRにスカウトしてくれた人物である。

もっとも筆者の視界は大量の水しぶきで塞がれているため、S氏の姿はほとんど見えない。ゴーグルの隙間から水しぶきと共に微かに声が聞こえてくるだけだ。

「いかに言ってもこれはキツいですよ!」…そう言いたくなったが、グッと飲み込んだ。
このままでは一生相手にされないままだろう。1年経ってようやくリベンジの機会をもぎ取ったのだ。勝って、若手の意地を見せつけるしかない。


「見てろよ!私が勝つんだからな!」


筆者が叫んでいる間も、ROMライディングレインスーツは淡々と仕事をこなしている。

表面には撥水加工が施されているため、高圧洗浄機の水はすべて丸い水滴となって地面へと落ちていく。

過去に実験をしてROMライディングレインスーツの実力を知っている筆者にとって、浸水の不安は一切ない。
生地越しに水の冷たさが伝わって身体が冷えていくのを感じたが、濡れているわけではないからと自分に言い聞かせてやり過ごした。検証が夏で本当に良かった…!

この検証の意味とは…?


5分が経過した。筆者にとっては折り返し地点であり、谷田貝氏にとってはチャレンジ終了の時間だ。
吹き荒れる風と水しぶき、嵐のような環境を耐えるのが苦しいことには変わりないが、終わりが見えてきたという安堵感もある。

──と、ふと心境の変化が訪れた。
このままただ耐えるだけで良いのだろうか?

ROMライディングレインスーツが高圧洗浄機でも浸水しないというのは、谷田貝氏の記事を読んだ読者の皆さまはご存じのことだろう。5分でも10分でもきっと結果は変わらない。
ただ座って残りの時間が過ぎるのを待つだけと言うのは、あまりにもお粗末じゃないか。

筆者にできることはなんだろう?


──そうだ。
ツーリング中のライダーは、状況に応じて様々な体勢をとることがある。バイクのカスタムの種類によっても違うだろう。
どんな体勢でも浸水を防げるのか?残り5分で検証するべきなのではないだろうか!


「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

「スタンディング!」

身体全体で水しぶきを受ける。レインスーツが風にあおられて激しく体に打ち付けて来るが、腹部がめくれ上がることはない。
腕や背中付近の生地を面ファスナーで調整し、フィットさせているため安心感がある。バタつきで運転中に気が散ることもないだろう。


「うおぉぉぉぉぉぉ~~~~~~!!!!!!」

エイプハンガースタイル!」

目の高さにグリップが来ることがあるほど、グイッと持ち上がったハンドル。アメリカンバイクのカスタムの中でもかなり特徴的なスタイルだ。
この体勢に移行した瞬間、直感的に「しまった…」と感じていた。

ROMライディングレインスーツの袖はかえしが付いた2重構造になっていて、雨水が侵入しにくく作られている。

しかし、いくらなんでも両手を上に向けてはダメだろう。
やらかしてしまったかもしれない。心にヒヤリ、水が染み込んだような冷たい感覚が走った。

筆者の焦りを知ってか知らずか、高圧洗浄機による攻撃の手はまったく緩まない。
それどころかボルテージは上がるばかり。

残り10秒になるとその場の全員がテンション高くカウントダウン。「ゼロ~~~っ!」というコールと共にようやく青空の元解放されたのであった。


高木、真っ白な灰になりました。

高圧洗浄機テストの結果は如何に!?

魂が回復してきたところでさっそく結果を確認してみよう。
慎重にヘルメットを脱ぎ、レインスーツのチャックに手をかける。


と、S氏より「大丈夫ですか?」と声がかかった。
この時の筆者は「なんのことだろう?」と思っていたのだが、後ほど写真を確認して理解した。




なんか、10歳ぐらい老けた感じがするな……。

検証前の闘志はどこへやら。生命力に欠けた虚ろな目、脱力した表情筋。乙女としてはネットに上げたくないほどに老け込んだ顔である。

……まぁ、そんなことはどうでも良い。


重要なのは首元もお腹周辺も一切濡れていなかったことだ。
状況的にはまずあり得ないと思うが、嵐の中バイクに乗ったとしても身体を守ってくれることだろう。(悪天候時は危険なので絶対にツーリングに出かけないように)


右袖は肘の手前まで浸水してしまったが、左袖は一切濡れなかった。

エイプハンガースタイルではさすがに浸水を防ぎ切れないようだが、逆に言うと両手を上に向けない限りは大丈夫と言うこと。実験をした意味はあったんじゃないだろうか。

もちろん下半身も一切水濡れナシ!安定して高い防水性能があることが証明された。

次なるバトルを待っている!


以上が高圧洗浄機、そして谷田貝氏とのバトルの全貌だ。
もちろん今回の勝負だけで勝ったとは思っていない。なぜなら彼からの「参った」が聞けていないからだ。

願わくば直接対決をして、次こそは文句なしの大勝利を収めたいと思っている。
待ってろよ、ギャフンと言わせてやるからなぁ~~~~ッ!!

※今回の検証は専門家の立会のもと、安全に充分な配慮をしております。ご了承ください。

 

 




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