東北を、いや日本を代表する山岳ワインディングロードのひとつと呼んでも過言ではない、八幡平アスピーテライン。くわしくは2021.10.13の記事「絶景と秘湯と豪快ワインディング『八幡平アスピーテライン』」をご覧いただければと思いますが、実際に行くのなら、この道も走ってみてはどうかとお勧めしたいのが、八幡平樹海ラインです。

八幡平樹海ラインの場所は?

 なぜ筆者がそう勧めるかというと、八幡平アスピーテラインと八幡平樹海ラインは、道が直接つながっているんです。だったらそっちも走らないと、もったいないというもの。牛丼を注文したら、卓上の紅ショウガにも手を延ばしますよね? というより、牛丼は紅ショウガもいただくことによって、高い満足感が得られるもの(違います?)。アスピーテラインも、味わいの異なる樹海ラインを走ることによって、「八幡平を満喫できた」と感じられるものなのです。

八幡平樹海ライン

八幡平樹海ラインとは

 八幡平樹海ラインは、八幡平アスピーテラインのピークポイント「見返峠」のすぐそばから、秘湯「松川温泉」付近までを結ぶ約17㎞の山岳ワインディングロード。
 正式名称は秋田県道・岩手県道318号八幡平公園線で、愛称が八幡平樹海ラインとなっています。

八幡平樹海ライン

 その愛称が示す通り、道は八幡平の樹海をくぐり抜ける山岳ルート。標高の高い「見返峠」付近から走り始めて約2㎞ほどの区間は、見晴らしもよく周囲の山々を眺められますが(上の画像)、標高が下がるにつれ、道は樹海の底へと降りていきます。

八幡平樹海ライン

 アオモリトドマツやブナの原生林を駆け抜ける、信号機も交差点もないノンストップ・ワインディング。ライダーにとっては至福のひと時です。一気に駆け降りるのは惜しいので、途中で路肩にバイクを停め、ヘルメットを脱いでみてください。深い森が放つ自然そのものの空気に、感動を覚えるはずです。
 アスピーテラインが八幡平を見渡しながら走る道であるのに対し、樹海ラインは八幡平の樹海をくぐり抜けていく道、といった違いでしょうか。いずれにせよ、どちらも走ることによって、ライダーは八幡平を満喫することになります。
 冬期はもちろん雪で覆われ通行止め。走れるのは4月下旬~11月上旬で、秋は紅葉の名所としてにぎわいます。

日本初の地熱発電所!

松川地熱発電所

 八幡平樹海ラインを最後まで駆け降りると、そこは硫黄の匂いがぷんぷん、秘湯ムードの漂う松川温泉です。3軒の渋い温泉旅館がありますが、ここには日本で最初に作られた地熱発電所「松川地熱発電所」もあります。
 時は1952年、温泉でも掘るべかと開発を始めたところ、掘削した井戸から蒸気が大量噴出。これを活用しない手はないということで調査研究が進められ、1966年に日本初の商業用地熱発電所(世界でも4番目!)として完成したのだとか。
 目の前にそびえる巨大な冷却塔は、高さ46m。もうもうと吹きあがる蒸気が大迫力です。

バイクで行きたい人気食堂!

 旅先で食事するなら、その土地ならではの名物をいただく。これぞ旅めし。今回は、八幡平樹海ラインからちょっと離れてますが(松川温泉から約36㎞、46分)、玉山支所前食堂の「ホルモン鍋」をご紹介。
 盛岡冷麺の元祖「食道園」や盛岡じゃじゃ麺の元祖「白龍(パイロン)」ではなく、なぜ「玉山支所前食堂」なのか。それはこの名店が、バイクやクルマじゃないと行きにくい場所にあるから。場所は全然よくないのに、各種グルメサイトの評価も高いです。

玉山支所前食堂

 盛岡市のはずれにあり(旧・玉山村)、一番近い駅からでも6㎞以上離れていて、まわりに大型商業施設など、何か人を集める要素があるわけじゃないのに、食堂だけはいつもお客さんでいっぱい。
 つまり「玉山支所前食堂」そのものが、遠方からわざわざ人を集める力があるというわけ。そのため駐車場が充実。お店をはさんで3ヵ所もあります。みなさんクルマやバイクでやってくる。
 ラーメンやカツ丼などもありますが、一番人気は圧倒的にホルモン鍋。注文すると、こんな感じでテーブルに運ばれてきます。

玉山支所前食堂

 1人前650円で、写真は3人前です。鍋からあふれそうになるのを、ギリギリで耐えているキャベツ。がんばれ!
 よく見るとキャベツ、ものすごく新鮮なのが分かります。さすが高原野菜の産地、岩手県。

玉山支所前食堂

 鍋に火をつけて、待つこと数分。旨そうな匂いが立ち込めてきました。キャベツの下に身を潜めていたホルモンとスープが、いい仕事っぷりを見せてくれます。ナイス・ジョブ!
 サイコロ状に切られた木綿豆腐たちも、上から圧をかけ続けます。
 そろそろいいかな。軽く混ぜ合わせましょう。

玉山支所前食堂

 はい、完成! にんにくの香り(けっこうキョーレツ)が食欲をそそり、甘じょっぱいスープが染み込んだキャベツとホルモンに、箸が止まりません。ごはん(普通盛り180円)、大盛りを頼めばよかったかも(大盛り230円)。
 ホルモン鍋は、シンプルな味の組み合わせなのに、その組み合わせ方が絶妙。使い込まれた鉄鍋が南部鉄器というのも、味わいをより深めているのかも。一度この味を知ってしまうと、リピートしたくなるのは確実。
 このホルモン鍋は持ち帰りもできますから、キャンプツーリングの際には助かります。テントの前でクッカーで煮たら、缶ビールをプシュッ。食べ終わったら残ったスープで、うどんでも煮ましょうか?

 

 というわけで、今回は八幡平樹海ラインと玉山支所前食堂のご紹介でした。ではまた次回、いい旅を。

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