連載企画の「ハンターカブで行く北海道ツーリング」
【出発編】
【上陸1日目】
【上陸2日目】
【上陸3日目】
【上陸4日目】はコチラです。

この記事が上陸5日目で準備編から数えると連載7回目となります。先にネタバレとなりますが、今回で「ハンターカブで行く北海道ツーリング」は最終回となります。

しかし、この日の朝の時点では、そんなことになるとは予想だにしていませんでした。何せ、帰りのフェリーの予約どころか帰る日すら決めていませんでしたから。

上陸して、5日目となる本日はレッドバロン旭川へ。走行中のハンターカブに突然エンジンがストールするという現象が現れたので、その解決兼メンテナンスで立ち寄ります。

レッドバロン旭川でメンテナンス

レッドバロン旭川に立ち寄った時の写真。「旭川」の文字がどこにも入らない、記念撮影になっていない残念な写真です。前日のうちに電話予約をしておいたので、スムーズに工場へ案内してもらいました。

サービス工場の受付で、症状とやってもらいたいメンテナンス内容を伝え、レッドバロン会員の証であるマイツーリングパスポートを渡してメンテナンス開始。こんなこともあるのでマイツーリングパスポートはいつも携行しています。

出発直前にレッドバロン江戸川でオイル交換したので、走行距離は約1000km。まだ早いかもしれませんが、せっかく立ち寄ったのでオイル交換もお願いしました。気軽にオイル交換できてバイクを労われるのが、オイルリザーブシステムの良さですね。

オイルドレンボルトのガスケットは毎回新品に交換してもらえます。

タイヤの空気圧をチェック。荷物が多いので指定値より、やや高めに入れてもらいました。

ドライブチェーンの遊び量をチェック。異常なしです。

ダートを走ったり、雨天走行をしたりで足回りが泥だらけ。油分が感じられないくらいパサパサに乾いたチェーンにオイルを注油してもらいました。

エンジンストールの原因は自分の想像通りで、サイドスタンドのスプリングが外れかかっていました。

スプリングの反力が弱いため、走行中にサイドスタンドが徐々に降り、サイドスタンドスイッチが作動。結果、エンジンの点火が遮断されてエンジンストール。つまりサイドスタンドが勝手に降りないようにすれば、解決するのです。

スプリングをしっかりかけ直してもらい、修理完了。これで北海道ツーリングをまだまだ楽しめそうです。

マイツーリングパスポートにオイル交換した日付と距離、残量を記入してもらいます。

オイルはまだ27.9リットルも残っていますが使用期限はありません。自分のペースに合わせて利用していこうと思います。

レッドバロン旭川のみなさん。購入した店舗ではないものの親切なご対応ありがとうございます! 全国に300店舗もあるレッドバロンだからこそのサービス。ロングツーリングに出かけた時ほど、レッドバロンで購入して良かったと実感できます。

タイミングが奇跡的? ツーリング界の重鎮たちとの出会い

季節的には少し早いですが、ラベンダー畑を見たいので、富良野へと向かいます(このツーリングは6月上旬)。天気予報を見ると、道東側が回復傾向。釧路湿原にも行きたくなったので、美瑛、富良野でラベンダー畑を探しつつ帯広経由で釧路を目指すことにします。

旭川市からJR富良野線を横目に走ることができる国道237号線を南下します。ふと、西神楽駅付近にあるHOKKAIDER BASE(ホッカイダーベース)というライダースカフェのことを思い出しました。

出発前に友人から「立ち寄ってみたら?」と勧められていたお店です。店主は、ツーリングマップルの北海道版を担当し、北海道を紹介するツーリング雑誌の奥付で名前をよく目にする、写真家小原信好氏。写真業の傍ら、現在は古いライダーハウスを改修しカフェを作ろうと奮闘している最中とのこと。筆者も数回挨拶をしたことがありましたので、訪れることにします。

旭川の街を過ぎると右手に可愛らしい木の看板が現れますが、どうやら営業はしていない模様。人の気配はするので、バイクを脇の駐車場へと進めます。

建物は第3期改装工事中。残念ながら営業はしていませんでした。しかし、たまたま小原氏は在宅しており、快く出迎えてくれました。

HOKKAIDERオフィシャルWEBサイト

 HOKKAIDER BASE
 北海道旭川市西神楽1線15号357-54 

そして奇跡的な出会いも。

旅行家である藤原かんいちさんです。ちょうど、ヤマハのE-Bikeで日本を縦断する旅をしていて、ゴールである宗谷岬を目指している最中で立ち寄ったとのことです。この日が29日目でゴールまで残りわずか! 

藤原かんいち
オフィシャルWEBサイト

右から、小原氏、藤原氏、そして北海道在住のライターであるsasu-rider氏。豪華メンバーが勢揃いした写真となりました。

なお、筆者が属するFacebookグループ「ハンターカブ キャンプ」のロゴマークは藤原氏が書いてくれたもの。この出会いにも藤原氏は驚かれていました。

お昼は小原氏が用意してくれたライダー麺をいただきました。北見市の製麺所がオホーツク地方の小麦粉にこだわって作り上げた麺を使用しています。特別に生卵をトッピングしてもらい4人でずるずるとすすります。ご馳走様でした。

美瑛、富良野。お花の季節にはまだ早かった??

濃いメンバーとの別れを惜しみつつ、さらに南下し美瑛、富良野へ向かいます。目的はラベンダー畑。季節的にまだ早いと分かっていましたが、これが全く見つからない。

広大な畑を抜けるパッチワークの路を走ると、途中に有名なセブンスターの木やケンとメリーの木を見つけます。

まだ少し早いラベンダー畑を探し、国道237号線へ戻りさらに南下します。

途中、上富良野でラベンダー畑の看板を見つけたので、東へ逸れます。日の出公園ラベンダー園で、ついに淡い紫色の花畑に出会うことができました。

公園の丘、全体がラベンダー畑となっていますが、このタイミングではその一部分のみ。しかし充分すぎるほどの多くのラベンダーが紫色の花を咲かせていました。ベタではありますが北海道らしい風景を撮影することができました。これで天気が良かったら最高ですが、頭上は終始どんよりとしています。

南富良野でまさかの電話

次に向かったのは南富良野。根本本線幾寅駅近くの「道の駅 南ふらの」を目指します。先ほど小原氏に教えてもらったツーリングスポットで、敷地内にはアウトドア用品ブランドのモンベルがオープンしたばかりとのこと。ちょうど今晩はキャンプをしようと考えていたので、残量が心細かったガス燃料を購入するために立ち寄ることに。

国道237号を南下するといつのまにか国道38号線にスイッチし、進行方向は東向きとなります。途中「ねこ横断注意!」と書かれた看板が多く立つエリアを、猫に注意しつつ通り抜けます。

ここからは山越え。樹海峠までぐんぐんと高度を上げていきます。荷物を満載したCT125は、ヒーヒーと言いながらも登り坂を登りますが、少しかわいそうになります。

峠を越えると道の駅まで下り坂。速度に注意しつつ、駐車場へ滑り込みます。

道の駅 南ふらのに到着です。道の駅の建物にモンベルショップが隣接。入店し、今晩のキャンプに備えてガス燃料を手に取ります。新しいシュラフが欲しいなと、悶々としつつ広い店内をくまなく物色。なんとか物欲を抑えることに成功しガス燃料のみの購入で済ませました。

ホットコーヒーを片手に駐車場でスマホをいじり、今晩の宿を探します。帯広まで行くつもりでしたが、日が出ているうちに到着できそうにありません。そこで道の駅からも近いかなやま湖畔のキャンプ場へ向かうことにします。ハンターカブで20分ほどの距離です。

道道465号線に入りクネクネ道を走っている最中に、不意に携帯の呼び出し音が鳴り始めます。バイクを道端に停め、スマホの画面表示を見ると名古屋の家族からの電話です。

スマホアプリのナビ音声や音楽を聴いたりするので、ヘルメットにはインカムを装着しています。もちろん電話にも出られますので、ヘルメットを脱ぐことなく応答できるのが便利ですね。

家族からの電話はあまり良い内容ではなく、急遽、実家のある愛知県名古屋市へ行かなければならなくなりました。今晩のキャンプができないどころか北海道ツーリングもこれにて終了という、尻切れトンボの残念な終わり方に。

とはいえ1週間も旅をして、北海道には5日ほども滞在できたので、良しとします。家族大事。

帰路はどのルート?

そうはいっても、ここは北海道。まずは東京の自宅に戻らなければなりません。フェリーの時間を調べると、苫小牧港で夜18時45分発の便と深夜1時30分発の便を見つけました。夕方の便に飛び乗れば、翌日の14時には大洗に到着でき、19時発の新幹線で名古屋へ向かうことができそうです。

しかし、ナビで経路を検索すると、どんなに飛ばしてもその時間には間に合いません。そこで深夜便に間に合うように、ゆっくりと安全運転で、さらにお土産を買いつつ苫小牧港を目指すことにします。フェリーのチケットはスマホ経由で購入。便利ですね。

余談ですが、太平洋フェリーの苫小牧〜名古屋便で直接名古屋を目指そうとしましたが、こちらも出港時間に間に合わない。しかも名古屋から東京まで下道を自走するのはきついので、却下としました。

フェリーの出港までたっぷりと時間があるので、アイヌの文化に触れたり。

味噌ラーメンを食べたり、それでも時間が大幅に余ったので、漫画喫茶で仮眠しつつ、苫小牧港に到着。

帰りのフェリーは、「さんふらわあ だいせつ」です。バイクを積載し、カーテンで仕切られた個室のコンフォート席で身体を休めます。夕飯を済ませていたこと、さらに寝酒のおかげで一瞬で眠りにつきました。

「だいせつ」には残念ながら、レストランやカフェがありません。つまり、食事は全てこの自動販売機で賄うしかないのです。知っていればコンビニで弁当を買ってきたのに……。冷凍のドライカレーをツマミにビールを飲んだり、風呂に入ったりしつつゆったりとした時間を過ごします。

苫小牧を出港し揺られること18時間。ついに本州へと戻ってきました。出発の日も雨でしたが、最終日も雨。でも北海道よりは暖かい。視界の悪い小雨の中、自宅まで走ります。下道で3時間弱。これが北海道ツーリング最後の道のりとなりました。

と、最後の最後で大好きなお店を発見。大好きなセイコーマートです。茨城県にもありました。

小腹が空いていたので、おにぎりにかぶりつきます。ホットコーヒーで米粒を流し込みながら、今回の旅を振り返ります。

最後は自分の意志とは関係ない形で旅は終わってしまいましたが、思いのほか充実した旅だったのでは、と考えます。

リベンジしたかった知床峠。乗ってみたかった観光船と遭遇してみたかった野生動物。そして小原氏、藤原氏との奇跡の出会い、など。大自然と人と触れ合えた、自分らしいひとり旅ができたのでは? 

2つめのおにぎりを噛み締めつつ、「次は釧路湿原でカヌー体験かなー」と次の北海道ツーリングのに思いを馳せるのでした。

〈了〉

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