2025年は昭和に換算すると、ちょうど昭和100年。ならば新年イッパツ目のバイク散歩は、昭和100年にちなんで昭和レトロな街へ行こう。そう考えて出かけたのが東京都青梅市。これは先週お伝えしましたね。今回はその続き。一週間後に「だるま市」が開催されると知り、これもぜひ見学したいと再訪したのです。いやあ、行ってみて良かった。というのが今回のお話です。
先週はバイク、今週は電車で
年明け最初、1月5日にクロスカブで訪ねた青梅駅周辺。
青梅駅前の歴史ある商店街はノスタルジックな景観だし、街角には古い名作映画をモチーフにした看板がたくさん掲げられていて、いい雰囲気なんですよ。
なので筆者は年に数回はバイクでブラついているのですが、その翌週の1月12日〈青梅だるま市〉の開催日はバイクじゃなく、電車で向かいました。
だって、だるま市のポスターに「駐車場が少ないので電車をご利用ください」と明記されているのです。
そもそも青梅駅周辺には、バイクの駐車場が「青梅駅自転車等駐車場」の一ヵ所しかありません(しかも駐車できるのは125㏄まで)。地元の方に「その日は電車で来てね」と言われているのに、わざわざバイクで行きます? 迷惑はかけたくありませんから、ここは素直に従い、青梅線の始発駅の立川駅で乗り換えます。
で、せっかく立川駅に来たのならば食べたい名物があるのですよ。
立川名物おでんそば
立川駅の青梅線。そのホームにある立ち食いそば屋の「奥多摩そば」。左の大きなポスターには「紅生姜天そば」や「豚肉白菜あんかけそば」とありますが、立川駅の立ち食いそばといえば、昔から多くの客に親しまれているローカルメニューがあるのです。
それが「おでんそば」(540円)。
立川名物、と記されていますが、正しくは立川駅名物です。立川市内全域でおでんそばが食べられているわけじゃありませんからね。
で、そのおでんそばは4種類ありまして、以下の4品から具を選ぶことができます。
①大きなさつま揚げ1枚
②がんもどきが2枚
③玉子が2個
④がんもどき1枚と玉子1個
筆者がよくいただくのは、①もしくは④。この日はこちらにしました。
さつま揚げです。でかいでしょう! けっこう厚みもあって、お腹も満足。さつま揚げに染みたおでんだしとそばつゆの相性は良くて、さらにはカラシですよ。
箸先でチョイと取っておでんに塗り、食べ進めていくうちに、カラシがそばつゆに溶け込んでいきます。
その味がまたいいんだなあ。
温かいそばを七味や一味で、冷たいそばをワサビで食べるのは当たり前ですけど、カラシで温かいそばって、食べたことあります? これが絶妙にうまいのです。みなさんも立川駅に来ることがあれば、ぜひお試しあれ。
青梅駅の構内に驚く!
ということで青梅線の電車に飛び乗り、いざ、青梅駅へ。電車は立川駅から中神、昭島、拝島、福生、羽村、小作などをつなぎ、約30分で青梅駅に到着。
ホームから改札口へと駅の構内を進んでいくと、なんと!
「最後の映画看板師」と呼ばれた青梅出身の絵師・久保板観氏の作品が飾られているではありませんか! しかも状態がすごくいい!
かつて青梅駅前の商店街には、久保板観氏の名作映画看板がたくさん飾られていました。けれども板観氏が2018年に亡くなられてからは修繕もできず、台風による影響で複数の看板に被害が及び、安全確保のため撤去されることに。
その後、看板は絵本作家、イラストレーター、画家、版画家として活躍している山口マオ氏による、ネコをモチーフとした映画看板へと架け替えられ現在に至るわけですが……。久保板観氏の作品は、青梅駅の構内にも飾られていたんですね。バイクでばかり来ていたものだから知りませんでした。
雨風の影響を受けない構内ですから、保存状態がいい。
それにしても、なんて迫力のある看板なのでしょう。絵のタッチ、色使い、レイアウト、書体、どれも素晴らしい。
久保板観氏の看板制作の様子をとらえた写真が、青梅の街角にパネルとして飾られていました。上の写真はそれを複写させてもらったものです。
昔は大判の印刷技術が普及していませんでしたから、映画館の看板はこうした手描きで制作されていたのです。
板観氏は中学生のころから独学で映画看板を描き始め、昭和30年ごろから青梅の映画館3館の看板絵師として活躍。最盛期には1日1枚という驚異的なペースで描き続けたそうです。
最後の映画看板師・久保板観氏の作品を今も大切に飾っている青梅駅の職員さんたちに感謝。
駅の看板に使われている書体も、レトロ調でいいですね。
青梅だるま市
駅前ロータリーから旧青梅街道へ。この日は交通規制で一般車両は入れません。
旧青梅街道は歩行者天国となり、大勢の客で埋め尽くされていました。青梅市民はもちろんでしょうが、筆者のような観光客、外国の方も多数。とにかくものすごい人出。
露店もにぎやかです。ベビーカステラ、たこ焼、お好み焼き、チョコバナナ、天津甘栗、焼きそば、りんご飴などなど、お祭りの屋台で考えられるメニューがひとつの漏れもなく揃っている感じ。
お焚き上げの会場となっている住吉神社に近づくにつれ、露店は飲食店からだるま屋さんへと変化。
旧青梅街道の両サイドにたくさんのだるま屋さんが続きます。
だるまは手のひらに乗る小さなものから、両手で抱えないと持てないほど大きなものまで、サイズはいろいろ。色もいろいろ。
住吉神社の境内には、だるまをお焚き上げしてもらおうと多くの客が長い列をなしていました。
そして順番が来ると受付で記帳し、寸志をお渡しして、だるまをお焚き上げの係の方に手渡します。
日々見守ってくださっただるまさんに、今までの感謝を込めて供養・償却する、住吉神社のお焚き上げ。
そして帰りには、新しいだるまさんをお迎えする。素敵な風習ですね。
そんな青梅の街を、映画看板もまた見守ってくれているようです。
ということで、2週にわたってご紹介した青梅の街。みなさんも昭和レトロな雰囲気を味わいにどうぞ。
ではまた!
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