長かった猛暑の日々もようやく落ち着き、秋風が吹き始めました。いよいよツーリングのベストシーズンって感じです。なので郷里・岩手県盛岡市にクロスカブ110を運び、スーパーカブC125に乗る旧友Tを誘って八幡平アスピーテラインへ。この道は日本を代表する山岳ワインディングロードのひとつ。一番の高所は県境の「見返峠」で、1613mもあります。非力な原付2種でも走りは満喫できるのか!? いざ、出発!

岩手山パノラマラインへ

 原付2種は高速道路が使えないので、まずはシタミチの国道4号線と282号線を北上して岩手山パノラマラインへ。国道282号線沿いにある「道の駅にしね」を過ぎてすぐに丁字路を左折すれば岩手山パノラマラインに出られます。

 岩手県の主峰・岩手山の北部を横断するこの道は、行く手に広大な八幡平を眺めながら進む高原道路で、気持ちのいい風が吹いています。

岩手山パノラマライン

 この日は敬老の日で祝日だったのに交通量が少なく、2台のカブはトップギア4速のままストレスなくスイスイと移動。「道の駅にしね」から岩手山北麓のリゾート地・東八幡平までの約15㎞で、すれ違ったクルマは数台程度。
 東八幡平を抜ければ、いよいよ八幡平アスピーテラインです。
 アスピーテラインは人気の観光道路でもありますから、交通量は少しだけ増えてきました。ま、祝日ですからね。

松尾鉱山跡へ

 アスピーテラインへ入ると、道は徐々に標高を上げ、カーブが連続して現れます。こうなると2台のカブはギアを落とすしかない。
 必死になって走っていると、後方からCB1300SFが。邪魔をしちゃ申し訳ないので道路の左にバイクを寄せ、CBを先に行かせます。
 CBは僕らを追い抜く際、左手を軽く上げてお礼のサインをしてくれました。
 うれしいですよね、ライダー同士のこうしたコミュニケーション。
 しばらく走ると左手に、松尾鉱山の宿舎跡が見えてきました。

松尾鉱山跡

 松尾鉱山は昭和47年(1972)に廃山となるまで、日本最大の硫黄鉱山だったところ。最盛期には従業員4500人、住人は13000人に達し、いま目の前に建つ廃墟は当時の宿舎跡。水洗トイレやセントラルヒーティングが完備された鉄筋コンクリート製で、当時としては最先端のもの。そのほか小・中・高校や郵便局、病院、映画館まで完備されていたため「雲上の楽園」とも呼ばれていたそう。
「オヤジが昔、ここの病院で働いていて、帰宅するのは週に一回だけだったんだよな」
 旧友Tが、ポツリ。Tとは小学生のころからのつきあいであるにも関わらず、初めて聞きました。Tのお父さんは整形外科医で、昨年お亡くなりになる直前まで現役医師として勤められた名医だったのですが、そんな歴史があったとは。
 過去の遺物としか思えなかった廃墟が、急に身近な存在に感じられた一瞬でした。

※危険なので宿舎跡は立ち入り禁止です。念のため!

八幡平アスピーテライン

 松尾鉱山宿舎跡から、八幡平アスピーテラインの本線へ戻ります。走り始めは低速のヘアピンカーブが多かったものの、だいぶ標高を稼いできたため、中・高速コーナーが主体となってきます。

八幡平アスピーテライン

 ビュースポットのひとつ、源太岩(上の写真)がそそり立つ源太岩展望所を過ぎれば、秋田県側へ降りるまでの間はゆるやかなコーナーが続きます。
 2台のカブは、きつい上り坂ではギアを2速まで落としました。そして加速力を得て3速まで戻し、ようやく時速40キロをキープ。
 アスピーテラインの制限速度が40キロなので、まあ、よしとしましょう。

八幡平アスピーテライン

 道のピークとなる見返峠付近では、霧が山の斜面から吹き上がり、視界が悪く、気温も低下してきました。この時の気温は18.5度。メッシュジャケットじゃ寒くてたまらないので、レインウエアを重ね着して走ります。
 ああ、天気に恵まれていれば、最高の景色なのですが、今回は撮影できず。
 なので、以前に撮影した写真をお載せしますね。

八幡平アスピーテライン

 晴れていれば、こうなのです。
 まあ、それでも少し下れば霧がなくなり、眼下には見渡す限りの原生林や湖沼も眺められましたので、充分に満足です。
 下り道では、カブも元気に走ってくれるし、いうことなし。

八幡平アスピーテライン

レストハウスで休憩

八幡平アスピーテライン

 見返峠の「八幡平山頂レストハウス有料駐車場」には、バイク専用の駐車スペースがあります。駐車料金はバイクの場合、200円。
 この日は3連休ということもあり、他県ナンバーのバイクもいっぱい。

八幡平アスピーテライン

 見返峠は、秋田県と岩手県の県境。「ようやくここまで来たか」と、来た道を振り返るから「見返」なのでしょうか。
 ここにレストハウスがあるので、ちょっと遅い昼食に。

八幡平山頂レストハウス

 八幡平山頂レストハウス。
 平屋に見えますが、斜面に建てられた3階建てで、1階が休憩所、地下1階が食堂、地下2階がおみやげなどを扱う売店。
 1階と地下2階には清潔なトイレもあります。

八幡平山頂レストハウス

 地下1階の食堂でいただいたのは、カレーうどん(1000円)。稲庭うどんにレトルトカレーをかけただけ、なんでしょうけど、冷え切った身体にはありがたい。
 メニューは他にカレーライス(1000円)、牛丼(800円)、稲庭うどん(900円)、おでん(600円)など。メニュー表記が日本語の他に英語、中国語、韓国語、さらには音符記号がひっくり返ったり重なったりしたような外国語まであったので、それだけ外国人の観光客や登山客が多いということ。この日もたくさん見かけました。自転車の方もすごく多くて、感心します。それに比べればカブのほうがラク。
 ということで八幡平アスピーテライン。原付2種ライダーにもお勧めしておきます!

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