「那須MSLライディングスクール」の体験記も今回でついにラスト。色々あったけど(汗)、果たして上達できたのか? さらに、メイン講師である中井直道さんのインタビューをお届けしよう!

アプローチとクリッピングのポイントを体に叩き込む!

前回「安全で速いのは直線的に立ち上がるライン!【ライテクUP講座3】でレクチャーされたライン取りを実践。コースを南北の2つに分け、ホームストレート側と、バックストレート側のグループに分かれて練習を行う。

コースにはアプローチ(倒し込み)を始めるポイントの目印として青パイロン、最もインにつくクリッピングポイントとして倒された赤パイロンが置かれている。これらを目印にコーナリングすれば、自然にスムーズなラインが描ける仕組みだ。

まずホームストレート側で練習。
やはり重要なのは「目線」。青パイロンからインに寄せ始めるのだけど、しっかりクリッピングポイントの赤パイロンを見ながらコーナリングする。これで、大きく入って小さく回るコーナリングが自然に身に付くのだ。

↑ホームストレートを抜けた先にある第1コーナー。奥の青いパイロンでブレーキを解除しながら倒し込みを開始し、イン側の赤いパイロン目掛けてコーナリングしていく。


ただし、速度が上がると思い通りのラインが描けず、アウト側にはらんでしまう場面も。

ここでポイントとなるのがブレーキだ。コーナー進入前にしっかり減速。フロントブレーキは一定の入力でギクシャクさせないよう心掛ける。さらに旋回中はリアブレーキを使って速度調整すれば、イン側に寄せやすくなる。

↑アウト側にはらみそうな時はリアブレーキを使ってラインを修正し、クリッピングポイントにバイクを寄せていく。

フルコースで1日の練習を思い出しながら総仕上げ!

ハーフコースでの練習に続いて、いよいよフルコース走行だ。

↑フルコース走行では、複数のグループに分かれ、数周ごとにグループ内での順番を入れ替える。そのため、講師のすぐ後ろでベストラインを学べたり、最後尾で自分のペースで走れたりと、メリットは大きい。


インストラクターの先導で、まさに1日の総復習のつもりで走る。最後には目印のパイロンも撤去され、体に覚え込んだアプローチ&クリッピングポイントを確認していく。

パイロンがあるのとないのとでは大違い。記憶があやふやになっているコーナーもチラホラあった。
また、目線に気を取られていると下半身のホールドが甘くなり、下半身を気にしていると目線が近くなったり、はたまた上体の前後の動きがおそろかになったり……と一進一退。それでもラストの方はかなり上手く走れるようになったと思う。
これも同じコースを繰り返し走って、様々な走り方を安全に検証できるサーキットならではのメリットだろう。

初めて走る公道や峠でライン取りを意識するのは難しいと思ったが、「大きく入って小さく回る」走りはやはり役に立つ。例えば見通しの悪いブラインドコーナーでも、ライン取りの自由度が高いため、有効だろう。

↑チェッカーフラッグが振られてコース走行が終了。サーキットならではの演出がうれしい。


時間いっぱいまでコースを走り、終了となった。朝よりバイクとの距離が確実に近くなり、思い通りに操れている気がして、とても楽しかった!

↑基礎の大切さが身に沁み、スマートな走りに少し近づけた気がします! 「目線」、「下を固めて上を抜く」、「大きく入って小さく回る」などを心がけて頑張っています(笑)。


閉校式で中井さんが皆さんにエールを送ってくれた。
「最初は遅い速度でしたが、徐々に速くなり、最後は相当速くなりました。こんな風に少しずつ身体を慣らしていくのが大事です。朝言ったような“自分を知る”余裕は、慌ただしくてなかったかもしれません。ですが今後バイクに乗る時にぜひ思い出してください。皆さんは朝より確実に上手になっているので、今日学んだことを安全運転に役立ててほしいです」

頭だけでわかっていても実践できないことを痛感!

こうして6時間にわたる講習が終わった。

長丁場かと思いきや、充実した内容のおかげでアッと言う間に終了した印象。それにしても、基本的なテクニックは頭ではわかっていても、実際は身についていないものだな、と痛感した。特に目線や下半身ホールド、「大きく入って小さく回る」ライン取りなど、理解はしていても実践できていないことが山盛りだった……。

そして内容は非常に即効性があり、日々のライディングに今すぐ活かせるのがうれしい。しかも講師はやさしく、的確な指導をしてくれる上に、参加者に目が行き届く人数を揃えている。これは体験する価値アリだし、忘れないよう定期的に参加したい。1シーズンに1回ぐらい参加してもいいかなと思う。なるほど、リピーターが多いのも納得だ。

↑スクール終了後、朝に撮影した集合写真が渡される。皆さん非常に上達されていました。

自分が上達すれば、長くバイクに乗り続けられる

スクール終了後、中井さんにマンツーマンでお話を伺うことができた。

↑中井直道講師。お疲れのところ、ありがとうございました。


――改めてスクールの趣旨を教えて下さい。
「レッドバロンさんとしては、バイクだけではなく、安全も提供したいとの思いがあります。バイクの楽しみは色々ありますが、長く乗れて飽きないためには“自分が上達すること”が一番です。
スクールの内容は、例えば街中でコンビニの駐車場から出てクルッと安全に曲がれるといったような、誰でもバイクが楽しくなることにつながっていく提案をさせてもらっています」

――会場はサーキットですが、内容は安全運転というのが面白いですね。
「会場は駐車場や教習所などのコースでもいいのですが、高いギヤでワインディングを走るような速度はサーキットでないと難しい。那須MSLはコースの規模もレイアウトもスクールにぴったりです。
特に午後の練習はサーキットならではのメニューだと思います。午前から段階を踏んでサーキットに慣れていくので怖くないはずです。また、周回コースなので失敗してももう一回トライでき、自分で走りを比較できるのもメリットです。もちろん路面がきれいでグリップ性も高いですし、コースの幅も広い。サーキットで行うスクールはとても贅沢だと思います。
また、自分はサーキットとは無縁と思っている人は多いですが、このスクールをきっかけに身近に感じてもらえればうれしいです」

なおレッドバロンによると、レッドバロンで購入した方のほとんどがツーリングなどの普段使いが目的。怖い思いをしてバイクを降りてしまう人や、しばらく乗っていなかったリターンライダーも多い。そこで「ずっと楽しく乗ってもらうために運転が上手になってほしい」との思いから、那須MSLでライディングスクールを始めた経緯があるという。

――最後に、この記事を見ている方へのメッセージをお願いします!
「スクールへの参加は、なかなか最初の一歩を踏み出せないと思います。しかし、決して敷居が高いものではないので、気軽にご参加ください。講師も参加者の皆さんもフレンドリーですし、“サーキットが会場だから”と気負う必要はありません。むしろ、サーキットが会場だからこそ、走りやすいのです」

――ありがとうございました!

充実した気分で、さぁ帰ろう……としたら、ここでForRの担当者から一言。
「沼尾さん、1か月後に“ライディングカレッジ”があるんですよ。引き続き参加してみませんか?」
なんと! もちろん二つ返事でOKした(笑)。

「那須MSLライディングカレッジ」とは、今回体験したライディングスクールをよりスポーティな走りに寄せたカリキュラムとなっている。さらに、その終了後、もう一つ、なかなかハードな企画が控えていることになるのだが……。詳細は順次、記事にしていくので乞うご期待!

これまでのおさらいはコチラ!

 全ての基礎、ライポジは直立→ジワジワで作れ!【ライテクUP 講座1】

大きく入って小さく回る。これぞ走りの極意!【ライテクUP講座 2】

安全で速いのは直線的に立ち上がるライン!【ライテクUP講座3】

次回はコチラ ライディングカレッジを受講すると本当に速くなる? タイム計測で実証!【ライテクUP講座5】

 

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