埼玉から新潟ツーリングに出かけた筆者。帰路の道中、昭和につくられたレンガ造りの橋を見に行った。さらにオートパーラーの聖地=群馬でも評判の「オートパーラー七越(ななこし)」にも寄ってみた! 長かった「昭和レトロ紀行 群馬~新潟編」、これにて終幕でございます。
<これまでのおさらい>
昭和レトロ紀行 群馬~新潟編①】日本一有名な? 「とうふ店」に寄ってみた!
ンマーイ、長岡醤油ラーメンの本家で優勝!【昭和レトロ紀行 群馬~新潟編②】
’70年代にトリップ、ディープすぎる「ホテル公楽園」に泊まった!【昭和レトロ紀行 群馬~新潟編③】
朝の公楽園は爽やか? バイク通学の高校生ナンパも【昭和レトロ紀行 群馬~新潟編④】
Contents
建造は昭和6年、90年の歴史に耐えてきた、風情ある橋
『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。』
川端康成の有名な小説『雪国』の冒頭だ。はっきりとした舞台は小説では示されないが、後に雪国の場所が湯沢温泉だったことを作者が明かしている。
国境の長いトンネルとは上越線の清水トンネルで、その先にあるのが「毛渡沢橋梁(けどさわきょうりょう)」だ。造られたのは昭和6年(1931年)。上越線の水上駅~越後湯沢駅間が開通した際に架橋されたという。ツーリングの道中に昭和レトロなスポットがないか探していた時に見つけた。いま流行りの聖地巡礼ってヤツだ(たぶん違う)。
また、TV番組で「日本の美しい鉄道橋」2位にも選ばれているという。
しかし、山奥で行き方がよくわからない。クルマなら道幅や路面、駐車スペースが心配になるが、スーパーカブ110ならどうとでもなるハズ、と行ってみた。
周辺をウロウロしてみると、立入禁止の工事現場に行き着く。来た道を戻って、さらに散策してみると橋の最寄りにまで辿り着くことができた。
せっかくなので道順を説明しておこう。
最初は単線だったが、複線化工事で新しい橋が完成。元々のレンガ橋は上り(みなかみ方面)、近代的な方が下り(長岡方面)になった。
越後湯沢観光ナビによると、レンガ橋は全長217.4m、高さ10m以上。JR上越線清水トンネル関連施設群として土木遺産にもなっている。
橋を眺めていると、なんだか重みを感じる。91年という時の重みなのか、レンガの重みなのか。あるいは『雪国』が醸し出す情緒のせいなのか。こうした古い建造物が残っているのは、とても貴重だし、胸を打つものがある。
電車が通る瞬間を撮影したかったけど一向に電車が来ない。その間、ぼんやりと景色を眺めながら、静寂に包まれて時間が過ぎていく。間もなく、にぎやかなオバサマ軍団が到着。ひっそりとした立地ながら、意外と有名なスポットなのかもしれない。
人懐っこいオバサマと会話した後、退散。自分としてもなぜか心に残る風景だった。
人気の「ドライブイン七輿」でレアな自販機ラーメン!
みなかみ町を越え、前橋市を抜ける頃には早くも夕暮れ時。群馬県には数多くのオートパーラーが今も残されている。物流の大動脈だからだろう。
私が選んだのは「ドライブイン七輿(ななこし)」。有名なオートパーラーのようだ。
建物は横に長い構造で、右手がゲームブース、左手が自販機ブース。全体的に小ぎれいな印象だ。
そして自販機ブース。珍しいラーメンの自販機をはじめ、天ぷらそば&うどん、ハンバーガー、カップめん、トーストとオールスターが勢揃いだ!
レアな“ピザトースト”にも心惹かれたけど、あいにく調整中。ここは(またしても)ラーメンでしょう!
黄金色のスープにチャーシューが2枚浮かんでいる。まず麺を口に運ぶ。ウ、ウマイ……。コシのある中太平麺にダシの効いた醤油スープが絡み、店で出るラーメンに近い感覚だ。
そしてチャーシュー。箸でつまんだら、ホロリと崩れるほど柔らかい。口に入れるとトロリと溶けて肉の旨味が広がる。……至福。
後で調べたところ、チャーシューは隣接の厨房で手作りしているという。このラーメンは自販機のレベルを超えていると思う。今まで食べてきた自販機の麺類でもナンバーワンだろう。
20歳前後と思われる若者4人組もラーメン、ハンバーガーと続々トライし、「美味い美味い」と大喜びしている。さらに年配夫婦、カップル、走り屋風あんちゃんと続々来店。平日ながらかなりの盛況だ。
今までのオートパーラーの中で一番賑わっている。立地がいいことに加え、ちょっとしたテーマパーク的な感じがあり、利用しやすいのかもしれない。
オリジナルステッカー自販機でカブを発見!
食後、さらに店内を物色しているとオリジナルグッズが販売されていた。こんなオートパーラーも珍しい! おっとカブのステッカーを発見。これはゲットするほかない。
アレ? ターレットが回転したらステッカーがカブではなく、隣のワーゲンバスに! 結局、ワーゲンバスのステッカーしか取り出せなかった。
事情を説明したら交換してくれるかも、と思い、管理人を捜したけど、この日はあいにく不在のようだ。まぁ仕方ない。
さらに探検してみると、有名人の色紙などを発見。
18時30分ぐらいだが、外はすっかり真っ暗。敷地奥には使われてない建物があった。
それにしても周囲は真っ暗だ。オートパーラー七輿のネオンだけがやたらに目立つ。
いやぁ大満足。埼玉の自宅に向けて出発しよう。今回のツーリングは、偶然にもオートパーラー(兼ホテルの公楽園)に泊まり、オートパーラーでシメることになった(笑)。
<まとめ>振り幅が大きい昭和レトロ、やっぱりオモシロイ!
今回のツーリングを振り返ってみれば、古いバイクとクルマを堪能した伊香保のおもちゃと人形・自動車博物館、苗場プリンスホテル、青島食堂、そしてホテル公楽園。今回の毛渡沢梁橋、ドライブイン七輿を含め、数々の昭和レトロを巡った。
それにしても一口に昭和レトロと言っても、振り幅が大きい。そもそも昭和は64年もある上に歴史の激動期。大きく文化や技術、生活様式が変わった時代だ。昭和の60年と、平成以降の60年を比べることができたとしたら、恐らく昭和の方がドラスティックだろう(平成から60年経っていないので、まだどうなるかはわかりませんが……)。
その振り幅を含め、当時を偲ぶモノが残って体感できるのは、まさに令和の今だからこそだろう。さらに時が過ぎれば、博物館には昭和レトロの物品こそ残るだろうけど、実際に“生きた”昭和レトロを体感できるチャンスは減るハズだ。
だからこそ、今のうちに昭和レトロなモノや場所を巡っておきたい、と強く思った。さて次はどこに行こうか。
<番外編>最後に燃費を計測、リッター54kmだった
給油回数は5回で給油量12.14L(いずれも1回の給油量は3L未満)。リッターあたりの走行距離54.13kmだった。サスガ! ただしスーパーカブ110としてはもう少しよくてもよさそうだが、峠越えがあったことを考えるとまぁまぁだろうか。