昭和の匂いを残すスポットを求め、スーパーカブ110でダラダラツーリングする“昭和レトロ紀行”。道志みちでは、地の素材を使ったローカルな食事処と道の駅を探訪。やがて陽も落ちて、山中湖のすぐそばにある下宿風の宿に泊まったのだ。

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100台超のレアな自販機に感涙、さぁ喰いまくれ!【昭和レトロ紀行 神奈川編①】
創業50周年のふわふわ玉子サンドを実食! 小粋な古民家もあるでよ【昭和レトロ紀行 神奈川編②】
貴重なトラスフレームにして、戦時中の弾痕が残る橋へ【昭和レトロ紀行 神奈川編③】
元養豚家マスターの味わい深いサ店から道志みちへ【昭和レトロ紀行 神奈川編④】

道志みち沿いに佇む「昭和の食堂」、期待が高まる・・・・・・!

関東圏屈指のツーリングスポットである道志みちを、神奈川側から走り始めた。お気づきの人もおいでかと思うが、山梨県に入ったので急遽タイトルを「神奈川編」から変更しました(笑)。

まず思ったのは「意外と民家が多いな」ということ。道志みち(国道413号)は、山間を走る道志川に沿った道路だが、住宅が点在しており、生活道路としても使われているようだ。川に沿った山あいのため、見晴らしのいい広大な景色はほぼ望めないが、高所から川を見下ろしながら走れる場所もある。また、急激なアップダウンやタイトすぎるコーナーは少ない(道志みちの詳細は今後、別記事で執筆する予定)。

↑道志みちから道志川を望む。


道中、吊り橋をなどを見学していたら、15時を過ぎ、少し寒くなってきた。それにたまごサンドからメシを食ってないので腹も減ってきた。せっかくなので地産の名物を食べてみたいものだ。

調べてみると、山間の道志では、猪、川魚、クレソン、山菜などが名物のようだ。そこで入ったのが道中にある「ドライブイン道志宿」という食堂。山女(やまめ)や鮎を食べられるようだ。

おぉ外観はまさにレトロでイイ感じ。

↑道志みち沿いにある「ドライブイン道志宿」。四輪駐車場13台あり。■山梨県南都留郡道志村岩瀬6992 不定休 11~19時30分


店に入ると、エプロンをかけた妙齢のおばあさんが二人いらっしゃる。いかにも昭和な雰囲気が漂う。一人のおばあさんは、私が店に入ってしばらくすると、仕事を終えたようで店の外に出て行った。

↑厨房前の大きなテーブルに着席。イイ、非常にイイ雰囲気だ。

↑手書きのメニューもイイ! 猪鍋定食(2000円)、馬もつ煮定食(1000円)が気になる。そしてラーメン(600円)も恐らくウマイ奴だろう。

↑マンガが充実してるいるのは昭和の食堂テッパン! 『ミナミの帝王』に『ゴルゴ13』、弘兼憲史などが充実!

↑マスツーリングで重宝しそうな広い座敷。テーブル席と合わせて、合計40席ある。

↑奥の席から道志川が見える。この景色を眺めながら食事も可能だ。

アッサリとコクとサッパリの三重奏

結局、私が選んだのは山女重。塩焼きなら食べたことがあるけど、どんなカンジなのだろうか。

↑絵面にインパクトがある山女重は、焼き上げた山女にタレをかけ、重箱に詰めたもの。三枚に下ろした山女に、はしばみ(赤いヤツ)が載っている。1100円。


「臭みとかあるのか」「食べ飽きないだろうか」と少々不安になっていたけど、運ばれてきた重箱をつついてみると……大間違い。

ヤマメは臭みなどまったくない。それどころか、アッサリしているのに風味豊かで、若干甘くコクのあるタレも食欲をそそる。そしてご飯! しょうがときゅうりが混ぜ込んであって、サッパリしている。アッサリとコクとサッパリの三重奏でガンガン食べ進めてしまう。これは美味い。

↑サクッとした中骨のフライ(?)。これまたアクセントになっていて飽きない。「ご飯少なめ」でお願いしたのだけどボリュームも満点!

↑煮物も漬物も美味。まさに実家に帰ったような感覚だが、実家より確実にウマイ。

↑壁には山女の魚拓や写真も。


付け合わせの煮物、そしてらっきょう漬けが美味い。らっきょうはたまり漬けのような醤油漬けで、ごろっと大きく、コリっとしている。これだけでお酒が進んでしまいそうだ。

創業は昭和52年、今はおかみさんが一人で切り盛りしている

店員のおばあさんに聞いてみると、山女は道志川で採っており、足りない時は専門の店から買っているらしい。タレは自家製でもう何年も継ぎ足しているとのことだ。

「一度食べた方は二度三度と食べて下さります」
リピーターになるのも納得の美味さだから、それはわかる。

どれぐらいお店をやられているのか訊ねると「もう46年やってます」。
となると、取材時は2023年11月なので昭和52年頃(1977年頃)創業だ。おばあさんは74歳。「あちこち故障してますが」と笑う。

お客さんは、やはりコロナ禍以降、減ってはいる模様。以前は旦那さんと二人で切り盛りしていいたが、旦那さんは体調を悪くして店に出ていない。先ほどのもう一人のおばあさんは手伝いの方で、おかみさん一人で店を回しているという。

メニューについては、山女重のほかにも山女定食や鮎定食が人気で、猪鍋、鹿鍋が好きな人も多いそうだ。

「今も猪や鹿は出るんですか?」と訊ねると「鹿は凄くいるねー。今年は猪も出てきた。クマもたまに出てくる。クマだけはコワイね」とのこと。

「後ろ向いて逃げるとクマが追っかけて来る。前を向いたまま、後ろ下がりで助かった人もいる」とおばあさん。そこからクマ談義でなぜか少し盛り上がった笑。

今後も末永く頑張ってくださいと言って、店を後にした。

道の駅どうしでクレソンケーキ! お味は果たして!?

食堂を出たのが16時頃。11月末の山間とあって、周囲は暗くなってきた。ここから向かったのが「道の駅どうし」。距離は約5kmと近い。

↑「道の駅どうし」は道志みち沿い。相模原市の国道412号から入って約30kmの位置にある。山中湖を終点と考えると、半分よりやや後半にある。■山梨県南都留郡道志村9745番地

↑さすがにバイク駐車場が広い! 取材時は平日だったが、土日はさらに賑わうハズだ。

↑パンフレットによると「村民が大切に育て地元のお野菜を持ち寄って販売しています。また、山菜、川魚、漬物、刺身こんにゃくなどのお土産販売もしています」とのこと。売店の営業時間は9~18時(夏季は19時まで)。

↑売店を覗いてみると、名物のクレソンを発見!


道志村はクレソンの出荷量が国内トップクラスらしい。クレソンゆかりの食べ物がないかなーと探したら……「クレソンケーキ」なるものを発見!

↑さっそく購入したクレソンケーキ(カット 220円)。出てくるまで少し時間がかかったが、作りたてかもしれない。


パウンドケーキの中に細かいクレソンが練り混まれている。バターの風味が濃く、シットリとした生地に、ボソッとしたクレソンが絶妙にマッチ……していない!?(個人の感想です)。クレソンの味はほぼしないのだが、実に不思議な味わいだ笑。

山中湖畔の下宿・・・・・・ではなく民宿で夜が更けていく

陽がクレソン、じゃなくて暮れそうなので本日の宿に急いだ。知らない峠を夜中に走るのはなるべくなら避けたい。

やがて目の前に山中湖、そして富士山が見えてきた。夕焼けを背負って、実に勇壮な光景だった。

↑山中湖畔で一枚。


かなり暗くなったが、宿に到着。本日は山中湖畔に立地する民宿「朝富士」に泊まらせてもらう。

↑「朝富士」。こちらは翌朝のカット。写真左側の敷地内にバイクを駐車できた。素泊まり4000円~とリーズナブルで、夕食のみ、二食付きプランもアリ。私が選んだのは1泊朝食付き5000円~。■山梨県南都留郡山中湖村平野3262 https://minshuku-asafuji.com/


正直、他にもっと「面白そうな宿」があったのだけど、この時期はオフシーズンで、一人旅だと「お金がかかるからボイラーを沸かせない」などと言われ(どこかで聞いたのことのあるフレーズ笑)、結局まともそうな朝富士さんを選んだ次第だ。

中に入ると親切な主人のおばさまが迎えてくれて、さっそく部屋へ。

↑部屋は六畳の和室で、テレビ、テーブル、加湿器を完備。電灯が実に家庭的だ。二重窓と暖房でとても快適だった。

↑10分後には、学生の下宿状態に笑

↑廊下に通じるトビラは引き戸で、鍵はこんなカンジ。風呂やトイレ、洗面所は共同だ。


お客さんはどうやら私とお隣さんだけの模様。咳払いなどの物音やテレビの音はかなり聞こえてくるが、この値段ならナットクだし、全く寒くないのがイイ。

↑ちなみにお風呂もこんなカンジで、けっこう家庭的。


軽くビールを煽って就寝。なんだか長い一日だったなと回想する。松田さんは会議に間に合っただろうか。橋も心に残ったし、元養豚家のマスター、ドライブイン道志宿のおばあさんも印象深い。明日はザックリと富士吉田市周辺を回ろう。さて一体どんな一日になるか。

外はとても静かだ。隣室からかすかに流れてくるTVの音を聞きながら、すぐさま眠りに就いていた。
【続く】

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