バイクに限らず、乗り物は走り続けていれば問題ないけど、動かさなくなると不具合が出たりする。バイクの場合、冬季の保管に失敗すると突然壊れる……なんてことはないけど、春先に「暖かくなってきたし、今日はバイクで出かけよう!」なんて、ときにエンジンのかかりが悪かったりして出鼻をくじかれることが多い。
今回はそんな寒がりさんのための冬季バイク保管講座の第2回目。第1回目では冬季保管を成功させるための準備をお伝えしたが、今回はよりコンディションよくバイクを保管するためのより効果的なハウツーを伝授!
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バイク冬眠術③ バッテリーは満充電で維持
春先の始動時に多いトラブルNo.1はバッテリー上がり。バッテリーは長期放置すると自然放電して電力が低下する。暖かくなって、いざエンジンをかけようと思ったときにセルスターターがしっかり回らないなんてことがとても多い。特にバイクを購入して、2年目、3年目の春は要注意なのだ。
以前、レッドバロンオリジナルのバッテリー充電器・ROM『オプティメート4DUAL バージョン3』のレビュー記事を書いたときにも説明したけど、このようなバッテリーの劣化を防ぐには満充電しておくのが基本。これは冬季保管でもまったく同じで、その際に必要となるのがバッテリー充電器。冬眠前にはバッテリーを一度充電しておくと春先に気持ち良く走り出せる確率がグンと上がるってわけだ。
また『オプティメート4DUAL バージョン3』にはバッテリーのコンディションを保ち続ける“フロート充電”に加え、バッテリーに刺激を与えて活性化を促すパルス充電機能も搭載されている。ただ、この機能はバッテリーをバイクに繋いだままでは機能せず、取り外してバッテリー単体で『オプティメート4DUAL バージョン3』と接続する必要がある。
バッテリー充電器はバイクと繋ぎっぱなしにできる“フロート充電”タイプが便利
僕の場合、バッ直(バッテリー直接接続)のアクセサリーソケットを車両に取り付けて、そこにシガーソケットタイプのコードで『ROM-オプティメート4DUAL バージョン3』を接続できるようにしている。駐輪時は常時接続しておき、長期保管中でも必要があれば勝手に『ROM-オプティメート4DUAL バージョン3』がフロート充電を始めてバッテリーを満充電にしてくれるのだ。
冬季、バッテリーはバイクから“下ろさない”方がいい!?
ここからのバッテリーの話は、ちょっと個人的な意見が強くなってしまうのでそのつもりで読んでもらいたい。
よく“冬季はバッテリーを下ろして室内保管した方がバッテリーのコンディションが保てる”なんて記事を目にするけど、僕はちょっとコレに対して懐疑的だ。確かに“バッテリーそのものは室内保存することで劣化を防ぐことができる”ことに間違いはない。ただ、バイクってバッテリーを取り外すと妙にサビやすくなる……というかサビの進行具合が加速するのも経験的に知っている。なんでだろう? といろいろ試している最中であり、詳しい方にもお話を聞けていないので確かなことは言えないのだが、屋外駐輪ではバッテリーを取り外すと電位差によるサビ(ガルバニック腐食/電食)が途端に促進してしまうようなのだ。難しい言葉で「異種金属接触腐食」なんていうけど、水気の多いところで電位の違う金属が接触していると金属の電位差で局部電池を構成して腐食が促進するというものだ。身近なところで言えば、ステンレスのシンクに鋼の包丁を濡れた状態で置いておくとわずか一晩で接触面に赤サビが発生するアレだ。
この「異種金属接触腐食」が、アルミ、鉄、ステンレス、チタンと電位の違う金属が大量に使われるバイクで発生しないハズがない。エンジンなどのアルミの母材に締め込んだチタンのボルトが固着して抜けなくなる……なんてアルアル事例の多くはこの「異種金属接触腐食」が原因だ。ただ、この「異種金属接触腐食」が局部電池を構成するプロセスって、考えてみれば鉛バッテリーとよく似ている……というかそのものだったりする。……だとすれば? 詳しい説明は省くけど、バイクにバッテリーを積んでおくことで、“バッテリーは消耗するかもしれないけど、そのぶん他の部位のサビを防いでいる”っていう逆説も成り立つのだ。
なので僕は、バイクを風雨にさらされる場所で長期保管するような場合には極力バッテリーを下ろしたり、端子を外したりしないようにしている。この電位差によるサビ&サビ止めに関しては、バッテリーとあわせてマリンの世界で使われる「防蝕亜鉛(アノード亜鉛)」なんかも試している最中なんだけど、はっきりとした確信を得るにはもうちょっと時間が必要な感じ。できれば詳しそうなところへ取材に行きたいところだ。
バイク冬眠術④ バイクカバーは必須!
バイクの長期保管にあたっては駐輪の仕方もとても重要になる。まず絶対に必要なのが“頑丈な”バイクカバー。実は冬って結構バイクカバーに負担がかかる。バイクカバーに限らず気温が低くなるとあらゆる物質は硬くなるもんだ。それに普段から頻繁にバイクカバー付けたり外したりして動かし、活性化していれば問題ないのだが、かけっぱなしで長期放置すると不思議と“硬化”するのも早かったりする。屋外放置で紫外線を浴び続けるバイクカバーはどんどん劣化し硬化していくのだ。
僕も今までたくさんのバイクカバーを使ってきたけど、バイクカバーは劣化すると生地が裂けたり、縫い糸がほつれたり。そんな不具合はたいてい秋口から冬にかけての気温が低下した時に起こる。3年保証がついているレッドバロンのオリジナルバイクカバー『ボディガード』なら、バイクカバーの劣化が進みやすい冬季保管においても安心。なにしろ買ってから3年の間にもし裂けてしまったり、穴があいてしまったら、1回にかぎり無償交換してくれるからだ。
駐輪はできればセンタースタンドで
またバイクを長期保管する場合に注意したいのが、サスペンションやタイヤのコンディション維持だ。センタースタンドがあるならセンタースタンドをかけて保管しよう。これはライダーが乗らずとも自重でサスペンションに負荷がかかっているからで、その負荷をセンタースタンドで少しでも抜いてあげるのだ。
またサイドスタンド駐輪の場合、バイクが傾いたままになるので左側のフォークに負荷が集中するのもよくない。センタースタンド駐輪しておけばバイクが直立。ハンドルロックもするので左右の負荷のかかり方に多少の差は出るが、負荷のかかり具合はサイドスタンドよりは遥かにマシな状況になる。最後はバイクカバー飛散防止と、盗難防止のためにロックをして越冬のための準備は完了となる。
最後に……
今回と前回の記事では、バイクの冬季保管ということで“万全を対策”を紹介してきたけど、正直ここまでのコストと労力をかけて長期保管対策できる方は少ないだろう。大抵の人が寒くなってきたからバイクに乗るのがついつい面倒で……と乗りっぱなしのまま長期間放置してしまうハズである(だって寒いんだもの……)。
なので、せめて記事で紹介した「ガソリン満タン」、「洗車」、「注油&シリコン塗布」、「バッテリー充電&フロート充電」、「バイクカバー」のうち、可能な限りでいいので実践してみよう。「バイクカバー」と「ガソリン満タン」は普段から心がければなんとかなると思うので、そのほかの作業の重要度を効果とコストを天秤にかけて順位をつけるとすれば、「注油&シリコン塗布」→「バッテリー充電&フロート充電」→「洗車」の順かな。僕個人的な意見としては、ちょっと初期投資はかかるけど「バッテリー充電&フロート充電」は、結果的にはバッテリーの寿命を延ばす節約術になるのでぜひバイクライフに取り入れて欲しいところ。
また春先のバイクライフ復活で注意してもらいたいのがタイヤの空気圧低下だ。タイヤやチューブに使われるゴムはわずかに空気の成分を通す性質があり、長期保管後には空気圧が低下している可能性が非常に高い。軽度の空気圧低下なら燃費が悪くなったり、タイヤの消耗が早くなる程度の不具合で済むのだが、極度に空気圧が下がった状態で走るとコーナリング中にタイヤがぐにゃりと変形したりして転倒の直接的な原因になることも。
ただ、レッドバロンユーザーならご心配なく。レッドロンのお店でタイヤに充填してくれるのは窒素ガス。この窒素ガスは、ゴムを透過しないという性質を持っており空気圧の低下が起こりにくい。もちろん長期保管後の空気圧チェックが必要ないというわけではないが、レッドバロンで面倒をみてもらっているバイクなら、冬季保管後の春先にも空気圧の低下が起こりにくく気持ち良く走り出せるってわけである。
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