ここ数年、ホンダのレブル250の大人気が続いているところへ、このレブルをベースとした新型250ccモデル・CL250が登場。2023年5月18日より、レブルより1万1000円高い62万1500円で発売開始となった。
車名の“CL”とは、ホンダのスクランブラー系マシンに付けられるネーミングで、その登場は1962年のドリームCL72。ロードスポーツモデルのドリームCB72をベースに専用のアップマフラーや前後19インチのブロックパターンを採用することでオフロード適性をアップさせたマシンだった。
直近の“CL”系モデルとしては1998年登場のCL400が挙げられる。こちらのモデルは“CL”とは名前が付いているものの、あくまでスクランブラーの“スタイル”を取り入れたロードスポーツモデルというキャラクターだった。
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CL250はレブル250ベースのバリエーションモデル
久々の“CL”ブランドの復活というわけであるが、前述したとおりCL250はクルーザー系モデルのレブル250をベースにしており、エンジン&メインフレームを共用。そこに大径フロント19インチタイヤやサイドアップマフラーを組み合わせてスクランブラースタイルを作り上げている。
そんな出生もあり、てっきりスクランブラーなのは“スタイル”だけかと思いきや、ホンダの発表によれば、このCL250は「舗装路からフラットダートまで幅広い走行状況に配慮している」とのこと。開発陣の話ではダート適性をアップさせるためにまず重要なのは足回りだとか。CL250はフロント19インチの大径ホイールに加え、ダンロップのセミブロックパターンタイヤであるトレイルマックス・ミクスツアーを採用している。
サスペンションもフロント・リヤともにストロークアップして最低地上高をレブル比で31㎜アップの165㎜を確保。CL250は形ばかりの“スクランブラースタイル”ではなく、フラットダートレベルのオフロード走行が可能なスクランブラーとしてしっかり作り込まれているという。
CL250/主要諸元■全長2175 全幅830 全高1135 軸距1485 シート高790(各㎜) 車重172㎏(装備)■水冷4ストDOHC単気筒 249cc 24ps/8500rpm 2.3kg-m/6250rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量12ℓ ブレーキF=ディスク R=ディスク タイヤサイズF=110/80R19 R=150/70R17■メーカー希望小売り価格:62万1500円
シート高は790mm。レブルの690mmから100mmアップしているが、172cm・75kgの体格だと踵がわずかに浮く足着き性で、レブルほどではないにせよ十分足着きはいい。上半身のポジションはアップライトでほぼ背筋が直立するので長時間の運転も楽そうだ。オプションには座面が30mmアップすることでダート走行時に外乱が抑え込みやすくなるフラットシート(1万2540円)も用意されている。
レブル250と全く違う!! 元気なCL250の走行フィーリング!
エンジンに関しては、レブルとはちょっと味付けを変えており、最高出力と最大トルクの発生回転を引き下げることで、中低回転域のトルク感を上げている。
開発陣の話を聞くまでは、レブル250と同じように回転数でパワーを稼ぐというか……、割とフケ上がりのいいぶん回し系エンジンを想像していたのだが、エンジンをかけた瞬間にパルス感の強い元気な排気音に思わずニンマリ。
アイドリングからしてレブル250よりもエンジンが発するエンジンパルスが強めであり、スロットルをブリッピングすると「パパンッ!」と歯切れのいいサウンドが楽しめる。走ってみても常用域で感じられるこの鼓動感が実に心地いい。
音だけでなく実際にトルクも出ているようで低速域でよく粘るエンストしにくいエンジンに仕上がっている。スルスルと加速するレブル250とは雰囲気が違い、エンジンの力で地面を蹴って走る感覚がしっかりと味わえるようになっているのだ。
一方、車体は非常に扱いやすく、レブル250よりもCL250はさらに小回りが効く印象だ。片側38°と、レブルよりもさらにハンドル切れ角が3°も多く設定されており、最小回転半径はなんと2.6m。フロント19インチの大径ホイールを採用したことで取り回しが大変になるのでは? と勝手に予想していたのだがむしろ逆で、Uターンもしやすく駐輪時の取り回しも楽だ。
CL250は本当にダートセクションを走れるのか?
近年のアウトドアブームに対応すべく、“それなり”のダート性能が与えられたというふれ込みのCL250。もちろん純然たるオフロードバイクのCRF250Lのようなダートでスピードを出すキャラクターではないものの、「キャンプ場の入り口にあるジャリ道ぐらいは臆せず入り込める」くらいのオフロード走行は十分できるようになっている。
サスペンションのストロークに関しては、フロント150mmとレブルから10mmしか伸ばしていないそうだが、リヤのホイールトラベルに関しては、レブル比50mmプラスの145mmに設定。これにより最低地上高で165mmを確保できたそうだが、これだけの地上高があれば、乗用車が乗り入れられるようなフラットダートを走る分には困ることはないだろう。
試乗にあたっては、もちろんダート走行もしてみたが、“スクランブラー”として過不足ないダート性能が与えられていることが確認できた。確かにフロントアップしたり、ジャンプをするようなキャラクターではないものの、ツーリング先で出会った畦道やジャリ道をちょっと走るぶんには全く問題ない。
感心したのは、スタンディングした際のポジションのおさまりのよさ。ハンドルとステップなどの距離感もほどよく、とても自然にスタンディングのポーズが取れるようになっている。
多くの人が敬遠するジャリ道、ダートロードではあるが、CL250の扱いやすさをもってすれば、“ちょっとダートを走ってみようかな?”なんて具合にアドベンチャーマインドがくすぐられるに違いない。CL250を選べばツーリングの楽しさが大きく広がることは間違いなしってわけだ。
HONDA CL250のディティール
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