前回、スズキ二輪による「SV-7GXプレス試乗会」の様子や開発陣のインタビューをお届けしたが、今回はいよいよ試乗インプレッション! 長年愛されてきた645cc 90°Vツインエンジン。その名機を積んだブランニューモデル・SV-7GXとは、一体どんなモデルなのだろうか? あまりにも長くなりそうなのでインプレッション編は「エンジン」「車体」の2回に分けてお届け!

一度はその系譜が途絶えたものの、市場や社内からの強い要望で存続が決まったスズキの645cc90°Vツイン。軽やかに高回転まで吹け上がり、しかもドコドコという鼓動感が味わい深いスポーツ系Vツインエンジンのお手本のような名機だ。

一度はその系譜が途絶えたものの、市場や社内からの強い要望で存続が決まったスズキの645cc 水冷4ストロークDOHC 4バルブ 90°Vツイン。軽やかに高回転まで吹け上がり、しかもドコドコという鼓動感が味わい深いスポーツ系Vツインエンジンのお手本のような名機だ。

 

電子制御スロットルを得て劇的進化を遂げた645cc90°Vツインエンジン

スズキの新型クロスオーバーモデル・SV-7GXを走らせる筆者(谷田貝 洋暁)。

スズキの新型クロスオーバーモデル・SV-7GXを走らせる筆者(谷田貝 洋暁)。

 

やはり、このSV-7GXでまず語るべきは、見事に復活した645cc 90°Vツインエンジンについてである。今から25年以上前の1999年、初代SV650に搭載され、DL650(現・Vストローム650)に採用されたり、フューエルインジェクション化されたりしながら25年かけて進化・熟成してきたが、排出ガス規制の影響で2024年に生産終了となってしまった……。そんな、名作エンジンが、SV-7GXの登場で見事復活を遂げたというわけだ。

90°Vツインエンジンは、前後シリンダーの角度が、ちょうど90度にレイアウトされている。その特徴は、①2気筒エンジンなのに単気筒並みにスリム。②軽量(挟み角を90°とすることで前後シリンダーの1次振動を打ち消せるのでバランサーを省ける)。……といったところ。

90°Vツインエンジンは、前後シリンダーの角度(挟み角)が、ちょうど90度にレイアウトされている。その特徴は、①2気筒エンジンなのに単気筒並みにスリム。②軽量(挟み角を90°とすることで前後シリンダーの1次振動を打ち消せるのでバランサーを省ける)。……といったところ。

 

久しぶりに味わう645cc 90°Vツインエンジンの鼓動感が心地いい。この645cc 90°Vツインエンジンを積んだ歴代モデルには、DL650を含めてすべて試乗してきているが、しっかり“90°Vツイン”らしさを残したまま復活してくれたのがとても嬉しい。

バイクに乗ってその感想を書く「試乗インプレッション記事」を担当することが多い筆者。そんな試乗を重ねていると、乗ると“やっぱりいいね! このフィーリング!”と毎度笑顔になってしまうエンジンがいくつかあり、このスズキの645cc 90°Vツインエンジンもその一つだ。

加速していく瞬間にドコドコというエンジンの鼓動感が強く感じられて、それでいて吹け上がりが伸びやかで、高回転までしっかりトルクを発揮する……新型のSV-7GXにもこの特性がしっかり受け継がれていて思わずニンマリ。歴代モデルに違わずスロットルを開けるのが楽しいバイクに仕上がっている。

これまでのワイヤー式スロットルではなく、電気信号で操作する電子制御スロットルとなった。これでインジェクションに電スロと、最新の電子制御化に必要なアイテムが揃った。

これまでのワイヤー式スロットルではなく、電気信号で操作する電子制御スロットルとなった。これでインジェクションに電スロと、最新の電子制御化に必要なアイテムが揃った。

 

びっくりしたのは、電子制御スロットル搭載によってエンジンマネジメントがものすごく緻密化されたというか、フィーリングが洗練されたことだ。その特性は、とくに「A(アクティブ)」の走行モードが顕著で、とにかくエンジンの吹け上がりによるパワーの盛り上がりに“華”がある。アクティブの名前のとおり、楽しくてついついスロットルをいつもより多めに開けたくなる。

それでいて、某オーストリアのバイクメーカーの“READY TO RACE”なマシンのように、“速く走れ! もっと開けろ!!”とエンジンに追い立てられ、いつの間にか目を吊り上げて走っている……なんてことがなくて疲れにくいのも、この645cc 90°Vツインエンジンの素敵なところ。

やる気になってスロットルを開けたときはもちろんだが、高速道路での巡航走行や一般道など、日常的な走行環境でも十分味わい深いというところがこの645cc 90°Vツインエンジンの素晴らしさなのだ。

電子制御スロットルの新採用によって得られたものは、①「A(アクティブ)」「B(ベーシック)」「C(コンフォート)」走行モードの切り替え機能、②シフトアップ/ダウン対応のクイックシフター。

電子制御スロットルの新採用によって得られたものは、①「A(アクティブ)」「B(ベーシック)」「C(コンフォート)」走行モードの切り替え機能、②シフトアップ/ダウン対応のクイックシフター。

 

走行モードを「C(コンフォート)」モードに切り替えてみてさらに驚いた。エンジンの基本的なキャラクターは変わらないのだが、ものすごく扱いやすくなる。単にスロットル操作に対するバタフライバルブの開き方が穏やかになるだけでなく、「C」モードでは最高出力73PSから61PSにまで抑えられる。このエンジン出力の穏やかさであれば、ビッグバイク初心者にも安心してオススメできる。

645cc 90°Vツインエンジンで手が入れられたのは、黄色で着色した箇所。主に発電を担うジェネレーターとトランスミッションギヤ。ギヤは、ギヤ比などの変更はなく、クイックシフター採用に伴う、耐久性アップの要件を満たすための改変だ。

645cc 90°Vツインエンジンで手が入れられたのは、黄色で着色した箇所。主に発電を担うジェネレーターとトランスミッションギヤ。ギヤは、ギヤ比などの変更はなく、クイックシフター採用に伴う、耐久性アップの要件を満たすための改変だ。

 

また同じく電子制御スロットルの搭載によって新装備されることになったクイックシフターは、スロットル全閉状態でもシフトアップ&シフトダウンが可能であり、スロットルを開けて加速している最中でもシフトダウンができる。従来のクイックシフターが苦手とする場面でもしっかり作動できるように作り込まれているから、操作時に違和感が少ない。

クイックシフターのフィーリングは、ツーリング用のカッチリ操作タイプという感じで、サーキット走行を前提としたモデルのような軽いタッチではない。またちょっと意地悪な使い方をすると入りにくいと感じる場面も多少あったが、このあたりは開発陣の言葉を借りれば「クイックシフターの“入りの良さ”と“耐久性”はトレードオフである」とのことで、タッチの良さよりも耐久性を重視したうえでの判断だろう。

645cc 90°Vツインエンジンはトラクションも掴みやすく、コーナリングでは安心してスロットルが開けられる、思い切ったスロットル操作ができる……もう、それだけでバイクは楽しい。

645cc 90°Vツインエンジンはトラクションも掴みやすく、コーナリングでは安心してスロットルが開けられる、思い切ったスロットル操作ができる……もう、それだけでバイクは楽しい。

 

この小気味良い加速の645cc 90°Vツインエンジンを活かすのは、しなやかな乗り味を作るトラスフレーム。このトラスフレーム由来の車体のお話は、次回「90°Vツインとトラスフレームの組み合わせが最高!  スズキ SV-7GXプレス試乗会 その③」にて!

 

 

スマートフォンコネクト機能も搭載しメーター機能も充実!

 

4.2インチカラーメーターには、速度、タコメーター、ギヤポジション、航続可能距離といった基本的な内容のほか、ライディングモード、トラクションコントロールシステム介入設定、クイックシフター設定など、多彩な情報を表示される。

中でも注目は、メーターにターンバイターン方式のナビゲーションを表示できること。スマートフォンアプリ「SUZUKI RIDE CONNECT+アプリ」とマシンをBluetooth接続することで使用できる機能で、電話やSNSメッセージの着信を通知したり、気象警報などを表示したりすることもできる。アプリ側では目的地検索のほか、駐輪位置や燃料残量、トリップなどが確認可能だ。

ナビのシステムはGoogleマップを使用し、次の曲がり角までの距離や進行方向、到着予想時刻、目的地までの距離を表示。地図画面が表示されるわけではないが、Bluetoothインカムと併用すると結構使える機能だ。

ナビのシステムはGoogleマップを使用し、次の曲がり角までの距離や進行方向、到着予想時刻、目的地までの距離を表示。地図画面が表示されるわけではないが、Bluetoothインカムと併用すると結構使える機能だ。

メーター左側には、Type-CのUSBソケットを装備。出力は5V/3A(15W)なので、ナビ使用時の補充電も十分可能だろう。

メーター左側には、Type-CのUSBソケットを装備。出力は5V/3A(15W)なので、ナビ使用時の補充電も十分可能だろう。

SUZUKI SV-7GXのスタイリング

写真のカラーリングは「ブリリアントホワイト/トリトンブルーメタリック」。このほか、「ブリリアントホワイト」「グラススパークルブラック」「パールマットグレージュ」がある。

写真のカラーリングは「ブリリアントホワイト/トリトンブルーメタリック」。このほか、「ブリリアントホワイト」「グラススパークルブラック」「パールマットグレージュ」がある。

 

全長2160 全幅910 全高1295 軸距1445 シート高795(各mm) 車重211kg(装備) ■水冷4ストローク90°V型2気筒DOHC4バルブ 645cc 73PS/8500rpm 6.5kgf・m/6800rpm 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量17L(レギュラーガソリン指定) ■ブレーキ F=ダブルディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ●価格:113万3000円/117万7000円

写真のカラーリングはブリリアントホワイト/トリトンブルーメタリック。価格は単色のブリリアントホワイトが113万3000円で、それ以外が117万7000円。

写真のカラーリングはブリリアントホワイト/トリトンブルーメタリック。価格は単色のブリリアントホワイトが113万3000円で、それ以外が117万7000円。

写真のカラーリングはブリリアントホワイト/トリトンブルーメタリック。価格は単色のブリリアントホワイトが113万3000円で、それ以外が117万7000円。

 

SUZUKI SV-7GXのディテール

兄貴分、GSX-S1000GXと共通のデザインコンセプトを採用し、ひと目でクロスオーバーモデルの“GX”とわかる。

兄貴分、GSX-S1000GXと共通のデザインコンセプトを採用し、ひと目でクロスオーバーモデルの“GX”とわかる。

調整方法がボルト式ではあるものの、スクリーンは3段階(最大50mm幅)で高さの調整ができる。純正アクセサリーには、+80mm伸ばされた「ツーリングスクリーン(2万5300円)」も。

調整方法がボルト式ではあるものの、スクリーンは3段階(最大50mm幅)で高さの調整ができる。純正アクセサリーには、+80mm伸ばされた「ツーリングスクリーン(2万5300円)」も。

セルスターターを押し続けることなく、ひと押しで始動できる「スズキイージースタートシステム」を装備。ハザードを備え、ブレーキレバーには握り幅の調整アジャスターも。

セルスターターを押し続けることなく、ひと押しで始動できる「スズキイージースタートシステム」を装備。ハザードを備え、ブレーキレバーには握り幅の調整アジャスターも。

吊り目に見えるライトはポジション灯で、ヘッドライトは下部のプロジェクタータイプのLED光源。1つの発光部でHI/LOを切り替える「バイファンクションLEDヘッドランプ」を採用。ハイビームには、夜のワインディングでコーナーイン側を見やすくする配光の工夫が盛り込まれている。

吊り目に見えるライトはポジション灯で、ヘッドライトは下部のプロジェクタータイプのLED光源。1つの発光部でHI/LOを切り替える「バイファンクションLEDヘッドランプ」を採用。コーナリングライトではないものの、ハイビームには夜のワインディングでコーナーイン側を見やすくする配光の工夫が盛り込まれている。

燃料容量17ℓを確保。この数値は、先代SV650比で+3ℓ、先代Vストローム650比で-3ℓとちょうど中間で、“GX”のキャラクターをよく表している。WMTCモード値燃費は24.6km/ℓで、計算上の航続可能距離は418.2km。燃料はレギュラー指定。

燃料容量17ℓを確保。この数値は、先代SV650比で+3ℓ、先代Vストローム650比で-3ℓとちょうど中間で、“GX”のキャラクターをよく表している。WMTCモード値燃費は24.6km/ℓで、計算上の航続可能距離は418.2km。燃料はハイオク指定ではなく、レギュラーなのもうれしい。

排出ガス規制対応を乗り越えて見事に復活した645ccエンジン。そのサウンドは90°Vツインらしい鼓動感がしっかり残っていた。

排出ガス規制対応を乗り越えて見事に復活した645ccエンジン。そのサウンドは90°Vツインらしい鼓動感がしっかり残っていた。

 

 

 

 

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