バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」……なんてことは今更聞けないし。そんなバイク関連のキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回は、近年バイクメーカー各社が取り組んでいる『多機能コネクティビティディスプレイ』をピックアップ。メールや着信の通知機能や音楽アプリの操作などなど。『多機能コネクティビティディスプレイ』にできることは色々あるがここではバイクのメーターをナビ画面化してしまう“ナビのミラーリング表示機能”について掘り下げてみよう!

カワサキやスズキ、BMW、KTMなどが採用するBOSCH社のmySPINと呼ばれる『多機能コネクティビティディスプレイ』の概念図。最近のバイク用ディスプレイはスマートフォンとつながることで色々なことが可能となる。
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そもそも『多機能コネクティビティ ディスプレイ』とは?

スマートフォンを有線もしくは無線接続することで、バイクで様々なことが行えるようになる『多機能コネクティビティディスプレイ』が大排気量モデルを中心に増えている。写真はホンダのNT1100。
近年、バイクのメーターは速度やエンジン回転数(タコ)や各種警告を表示するだけでなく、OBD (故障診断機能)の搭載が義務化されたり、トラクションコントロールシステムやACCなどのためにIMUや各種センサーからの膨大な情報を処理したりと、パソコン並みに高性能化している。“どうせだったら色々な機能も持たせよう”と多機能化も進んでいる。その中でもこのところバイクメーカー各社が力を入れているのがスマートフォンとのコネクティビティ機能の充実だ。
手持ちのスマートフォンと『多機能コネクティビティディスプレイ』のBluetoothペアリングを行うと、バイクのスイッチボックスの操作でスマートフォンのアプリを操作したり、走行距離や燃料残量、位置情報などのデータを吸い上げてアプリ上で確認できたりといったことまでできるようになっている。日本では車両への搭載はまだ認可されていないが、海外ではバイクが事故を起こした場合に救急車を呼んだり、特定の相手にSOSの連絡したりする機能もあるくらいだ。

写真はバイクのメーターではなく、ワイズギアの「GARMIN zumo XT2」だが、事故を検知した際にある一定時間内にライダーが解除作業を行わないと、事前登録した相手に事故の発生と場所を知らせるメールを送信する機能が付いている。
『多機能コネクティビティディスプレイ』のここがスゴイ!
スマホのナビゲーション情報を使ってバイクのメーターをナビ画面化!!

ヤマハのNMAXに2025年から搭載されたスマートフォン連携システムを使うと、「GARMIN StreetCross(GPSナビゲーションアプリ)」の画面をメーターに表示可能。
近年のライダーの傾向として、“バイクを購入してまずすること”と言えば、ハンドル周りに“スマートフォンを取り付けるホルダー&マウント”の設置と、“USBコネクタ増設によるスマートフォンの充電環境(ナビ使用前提で充電するなら5V/2.4A以上を推奨、できれば水濡れに強いType-Cのコネクタで5V/3A以上のものがオススメ!)”の確保だ。つまり、迷子にならないようスマートフォンのナビゲーション機能をバイクで活用したいと考える人が多いというわけだ。
ただ、バイクに乗れば雨にも降られるし、バイク特有の強い振動もあまりスマートフォンにはよくない。“バイクのメーターにスマートフォンのナビゲーション画面を表示できたらどんなに便利だろうか?”……なんてことは誰もが一度は考えるワケだが、そんな便利機能を実現してしまったのが『多機能コネクティビティディスプレイ』の画面ミラーリング機能だ。

技術としては2018年あたりから実用化されており『多機能コネクティビティディスプレイ』の画面ミラーリング機能には、バイクとスマートフォンを物理的コードで繋ぐ有線接続と、BluetoothやWi-Fiなどを使う無線接続の2種類がある。写真はトレーサー9 GT+Y-AMTで有線接続によってナビ画面をバイクのメーターに転送している。
バイクによって有線接続、無線接続の違いはあるものの、スマートフォンアプリのナビ画面をバイクのメーターにミラーリングして映し出すという機能は大体一緒なのだが、正直なところこれまであまり使い勝手のいいシステムがなかった。そもそもとして有線接続のシステムは雨などの外的要因に弱く、Bluetoothによる無線接続にしてもスマートフォンの機種や入っている他のアプリとの相性があったりして、休憩などでイグニッションをオフにして一度接続を切ると、乗車時に再びスマートフォンとの接続をやり直さなければならなかったり……。まぁ、実際に使ってみると、専用に作られたバイク用ナビゲーションシステムと同じレベルで常用できるレベルにまで昇華されてない印象のシステムが多かったのだが、2023年モデルのXMAXから順次NMAXやYZF-R6などで採用が進んでいるヤマハのスマートフォン連携システムが頭一つ抜けて使いやすくなった。
『多機能コネクティビティディスプレイ』のナビミラーリング機能の種類と特徴
ターンバイターン(Turn by Turn)式
ナビゲーションの進行・転換方向を矢印と距離だけで示す「ターンバイターン(Turn by Turn)」式のナビ画面。ラリー競技などのナビゲーションに使われるコマ図のようにバイクのメーターに表示するのは、転換点までの距離と矢印というシンプルな構成でより小さな画面やモノクロ液晶にも対応可能。地図表示がないため情報量は少ないが、Bluetoothインカムなどを併用して音声案内を聞けるようにすると思いのほか使い勝手がいい。

ホンダのHSVCS(ホンダ・スマートフォン・ボイス・コントロール・システム)はBluetoothインカムとの併用を前提としており、音声入力とスイッチボックス操作でスマートフォンの機能やアプリをコントロール。音楽再生機能や目的地検索などが音声入力で行えメーター画面には「ターンバイターン」を表示。転換点までの距離や方向などは音声(もちろん日本語対応)で案内してくれる。写真はXL750トランザルプ(2023年モデル)のメーター画面。
ただ、海外メーカーの「ターンバイターン」式ナビアプリは、音声案内や目的地検索の入力が日本語に対応してなかったり、日本語に対応していても、中国漢字が混ざったりややおかしな日本語を使ったりすることも。2021年モデルのドゥカティ Multistrada V4Sのナビでは。「次の“ツノ”を右です!」なんてことをナビに言われるからなんのことかと思ったら、なんのことはない“ツノ(角)”とは“カド(角)”のことだった(笑)。

ドゥカティのXディアベルV4(2025年モデル)のメーター。タコメーターの中心部分にターンバイターン式、進行方向や次の転換方向などを表示し、転換点までの距離や最終目的地までの距離や到着時間を画面左に表示。音声案内は2026年現在日本語非対応となっており、英語なら「Turn left now」といった音声が流れるが、使っているといずれ耳が慣れて聞き取れるようになる。

ロイヤルエンフィールド クラシック650(2025年モデル)のメーターは「TRIPPER」を搭載。矢印だけのターンバイターン式のナビ表示ならこんなクラシカルなメーターレイアウトにも自然に収まる。
有線によるナビ画面ミラーリングタイプ
Bluetooth無線による画像データのやり取りが難しかった頃に主流だった方式で、スマートフォンとバイクを通信ケーブルで物理的に繋いで大容量データを転送。同時にスマートフォンへの給電も可能だが、結局ハンドル周りにスマートフォンを設置、もしくは専用スペースに収納することになる。……ってことは“スマートフォンホルダーを付けてグーグルマップでナビゲーションしてるのとあんまり状況が変わらなくない!?”なんて身も蓋もなくなるようなことを思わなくもなかった。

ホンダのNT1100(2021年モデル)は、有線接続を行い「Android Auto」もしくは「Apple CarPlay」でスマートフォンやアプリをコントロール。音声入力にも対応している。1000kmほどのツーリングに使ってみたが使いこなすためにはちょっと習熟が必要だった記憶がある。
またこれは有線接続はもちろん、無線接続タイプのミラーリング表示でも同じことだが、休憩などでイグニッションをOFFにしたり、バイクから離れるためにスマートフォンを取り外したりするといちいちナビゲーションシステムが終了するため、再び走行する際には目的地設定をしなおす必要があるためちょっと使いにくいと感じることも……。またGoogleマップのプラットフォームを使うナビアプリに総じて言えることは、データの通信量が大きいうえにスマートフォンのバッテリーの減りが妙に早いと感じる。またナビのシステムが徒歩への案内を想定しているようで、クルマやバイクの速度で運用すると音声案内が遅れ気味で、曲がるべき交差点に進入した後に「右です」などと指示されるようなこともよくある。

ヤマハのトレーサー9 GT+Y-AMT(2025年モデル)のコックピット。Garmin製の専用ナビアプリを使うため音声案内などのタイミングは非常にいい。……のだが、やはり有線接続だと水濡れに強いUSB Type-Cであってもコネクター部分が雨に濡れると携帯電話側の保護機能が働く。写真は、北海道まで3000kmほどの自走ツーリングしたときのものだが、ナビのミラーリング機能が雨に降られてシャットダウンしてしまったところ。……まぁ、コネクタ部分が乾けばまた使えるんだけどね。
無線によるナビ画面ミラーリングタイプ

ロイヤルエンフィールド ベア650(2025年モデル)。こんなスクランブラースタイルのクラシカルなモデルでありながらメーター機能は最新。Googleマッププラットフォームの「TRIPPER DASH」を搭載している。
近年増えているのが、データ通信容量が少ないBluetooth通信でありながら地図の画像データもメーターに表示できるタイプのナビミラーリング機能だ。ナビゲーションアプリにGoogleマップのプラットフォームを使うことが多く、ナビの精度や性能に関してはGoogleマップのナビゲーションシステムに準ずるが、使えるナビ画面ミラーリング機能がやっと増えてきた。

ハーレーダビッドソン ナイトスタースペシャル(2023年モデル)のメーター。非常にコンパクトなメーターにこれでもかと表示機能を詰め込んでいる。

Garmin製の専用アプリ「StreetCross」を使うヤマハのスマートフォン連携システム。写真はNMAX(2026年モデル)のメーターで、画面はやや小さいが交差点案内表示なども非常にわかりやすい。
ちなみに国内外のモデルに搭載されたナビのミラーリング機能を色々試してきた筆者が独断で選ぶ2026年3月現在のベスト『多機能コネクティビティディスプレイ』画面ミラーリング機能は、ずばりヤマハのスマートフォン連携システム! その理由は、第一に「ナビシステムで有名なGarmin製の専用アプリを使っているためナビ機能そのものの使い勝手が非常にいい」こと。次に「スマートフォンとの接続性がよく、イグニッションをオフにしても再びオンにすれば勝手にスマートフォンも接続、目的地への案内も継続し続ける」こと。第三に「スマートフォンのストレージにあらかじめ専用地図をダウンロード(3.4ギガ/2024年度版は無料)しておくためデータ通信量が少なめで、スマートフォンのバッテリー消費もほどほど」と、とにかく使い勝手がよく感じる。
ということで近年日進月歩している『多機能コネクティビティディスプレイ』。ナビのミラーリング機能などにも注目してみると、先端技術に触れられて楽しいぞ!
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