バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回は高級なバイクの外装などに使われる素材『カーボン』をピックアップ。

そもそも『カーボン』とは?

独特の繊維模様が高級感を醸し出す『カーボン』ヘルメット。

独特の繊維模様が高級感を醸し出す『カーボン』ヘルメット。

 

前回紹介したFRPが正式にはFiber Reinforced Plasticsで、和名もそのまま直訳の“繊維強化プラスチック”。今回紹介する『カーボン』も、実はFRPの一種であり、正式に書けばCarbon Fiber Reinforced Plastics。CFRPとか、Carbon FRPということになる。普通のFRPが、繊維素材にガラスファイバーを使うのに対し、カーボンファイバーを使っているのが『カーボン』FRPで、一般的には『カーボン』と略されることが多い。

その特徴は、グラスファイバーより遥かに軽く強度の高いカーボンファイバーを使うことで、同じ強度のパーツなら『カーボン』の方がより薄く軽く作る事ができるというわけだ。

『カーボン』は、FRP同様複雑な造形が可能。

『カーボン』は、FRP同様複雑な造形が可能。高級なバイクのドレスアップパーツとしてよく採用される。

 

下世話な話をすれば、一般的なカウルに使われるような“樹脂パーツ”が一番安価で重く、グラスファイバーを使い製造に手間暇がかかる“FRP”がその次に軽く、値段も高め。『カーボン』は“FRP”にくらべてもさらなる軽量化が行えるが素材の値段が高く、製造方法の種類によってはべらぼうに高い。

『カーボン』なにが凄いの!?

とにかく高価でレーシングイメージが強い

……ってことだ。アルミなどの金属はもちろん、グラスファイバーFRPと比べてもとにかく軽い素材である『カーボン』。その“軽くて強い”という特性から、MotoGPマシンのカウルなどはもちろん、航空機や宇宙開発といった最先端の現場でも採用されている。特にバイクレースの世界では、カウルやカバー類に軽量な『カーボン』を多用するほか、フレームやホイールといった部分にも『カーボン』が使われることもあるくらいで、とにかく『カーボン』=レーシングスペックというイメージが我々ライダーには定着している。

そんな『カーボン』のレーシングイメージを逆手に取って、「どうだ! このサイレンサーのエンドカバーは『カーボン』だぞっ! スゴイだろ!?」というスペシャル感が演出できるというのが『カーボン』の最大の効用だ。そのため『カーボン』を使った製品は、ひと目でソレだとわかるように内部の『カーボン』繊維の柄を装飾の一部として見せる演出を行うことが多い。

『カーボン』素材を使ったヘルメット

ヘルメットなどは『カーボン』を使っていることをアピールするために、あえて内部のカーボン繊維が見えるうようにクリア塗装を吹いているような場合が多い。

 

ちなみに外側から見える『カーボン』繊維の柄は生地の織り方によって風合いが異なる。チェッカーフラッグや市松模様でお馴染みの“平織(ひらおり)”と、斜め縞のような模様が現れる“綾織(あやおり)”の2つが一般的だ。

“平織(ひらおり)”のカーボン柄

正方形が並ぶ市松模様が特徴の“平織(ひらおり)”

 

“綾織(あやおり)”

“綾織(あやおり)”のカーボン柄

 

根本である素材の特性の話をすれば、“平織”の方がより緻密な織り目となるのでより強度が高いらしい……のだが、ドレスアップの目的で『カーボン』素材を選ぶのならそんな細かいことはどうでもいい。“平織”でも“綾織”でも好きな柄を選べばいいというわけだが、実際の市場では“平織”よりも“綾織”の方が人気が高いのだとか。

『カーボン』FRPの種類にもランクがある

RC213V-Sに乗る筆者

最大限の軽量化が行えるドライカーボンの外装を採用するRC213V-Sは、なんとお値段2000万円! 試乗するのも超緊張だ!

 

ひと口に『カーボン』といっても製造方法の違いでいくつかの種類がある。市販のバイク用パーツやヘルメットでよく見かけるのは、グラスファイバーFRPの製造方法と同じように樹脂を浸透させた炭素繊維の布を重ねて固めたもの。

またMotoGPなどのレーシングマシンのカウルなどで使われる“本気”の『カーボン』は、オートクレープと呼ばれる圧力釜で真空加圧して余分な空気や樹脂を吸い出しながら成形を行っている。軽さと強度に関しては後者のドライカーボンの方が遥かに高性能であるため、違いを区別するため前者を“ウエットカーボン”、後者は“ドライカーボン”と呼び分けている。

また“ウエットカーボン”の中には、表面に見える上層一枚だけにカーボンファイバーを使いドレスアップ効果を高め、他の層はコストダウンのためにグラスファイバーを採用する複合材もあったりする。

RC213V-Sのシートカウルはドライカーボン製

MotoGPマシンをそのまま公道仕様にしてしまったRC213V-S。触るとカウルからビレットパーツまで、あらゆる部品が異常に薄かった。ちなみにRC213V-Sのシートにはフレームがなく、カーボン製のシートカウルがそのままシートフレームを兼ねている。カーボンによるモノコックボディ構造なのだ。

 

ただ『カーボン』の中でも軽量かつ強靭なドライカーボンは生産性が非常に低く、公道を走れるMotoGPマシンの異名を持つRC213V-Sのシートカウルは生産能力的に1日1個が限界で、それによりトータルの生産台数が決まったなんて話を聞いたことがある。詳しくは2016年取材当時の記事にて。

 

 

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